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日本美術を杉本博司、橋本治、ドナルド・キーンから学ぶ/一日一微発見348

僕はコンテンポラリーアートにどっぷりつかっているけれど、最近は、やればやるほど日本美術に魅かれていく自分に気づく。

しかし誤解しないでもらいたいのだが、歳を食って日本に回帰したくなったとか、高速で変容する「現代アート」に疲れたから、というのではない。

また、クールジャパンやスーパーフラットにあらためて共感しようという話でもない。

異質性の最たるものであるコンテンポラリーアートをやればやるほど、かえって「異質」なものとしての日本美術を非伝統的に見ることの面白さに気づいていく、という感じなのだ。

むろん保田與重郎のような筋金入りの愛国・伝統主義者、民族主義者の本も興味深く読みはするが、僕は勝手に、3人の「先導者」を設定して、日本美術の旅に出ているのである。

それは、杉本博司、橋本治、ドナルド・キーンの三氏である。

杉本博司さんとはもう何度もインタビューしたり、対談もさせてもらってきたが、彼が資生堂の企業文化誌『花椿』で随分前に対談をやった時に、

「神社というのはウツの場所に神が宿る。海の写真にも神が降りてくれないかと密かに願っているんです」
と言ったときのことをよく覚えている。

「コンテンポラリーアートとしての写真」に神が宿る。そんなことをマジで言う人は、ついぞいなかったからである。

彼はその時にさらにこう言った。

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