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また、きらきらを見るために

長い長い10日間だった。
フィンランドに来てから、2か所目の滞在先がどうも合わず、初日の時点で予定通り1か月間滞在するのは、無理だと思った。
その理由は自分の努力次第でどうにかなるものではなかった。

それでも、なんとか頑張ってみようと、前向きな気持ちで過ごす努力はしたものの、結果的に10日目にホストに別の場所へ移りたいと伝えることとなった。
ここに来てからの写真はほとんどないし、毎日書いている日記も辛い気持ちを吐き出すだけの場になっていた。

ただでさえ、英語力が乏しいのに、関係性が構築されていない相手にネガティブな内容を伝えるのは想像以上にハードルが高かった。1週間が過ぎた日から、今日こそは、今日こそはと、朝覚悟を決めたつもりでも、気がつけば言い出せないまま一日が終わっていた。

決してホストファミリーのライフスタイルを否定したいわけでも、彼らを傷つけたいわけでもなく、単純に自分には馴染むことができなかった、それだけだ。あれこれ考えても仕方がないので、できるだけシンプルな言葉で組み立てて、頭の中で何度もシミュレーションをした。
フィンランド人の友達からは、ネガティブな内容を伝える必要はないこと、ただ次の場所に移動することを決めたと伝えればいい、とアドバイスをもらって、実践した。
話しながら、赤ちゃんみたいな言葉しか話せない情けなさと、ようやく吐き出せた安堵で涙が溢れてきた。フィンランドに来てまだ20日あまりで、2度目の涙。(1度目は最初のホストとの別れ際)
幸いホストは特にあれこれ聞くわけでもなく、あっさりわたしのわがままな申し出を受け入れてくれて、翌早朝には彼らのもとを発った。

最後の夜に、英語音声、フィンランド語字幕でドラマを見る彼らを眺めながら食べた、レンチンご飯のさけ茶漬けはとてつもなく沁みた。どうやらしっかりお腹が空いていたみたいで、慌てて食べたら舌を火傷した。お腹が空くうちはまだ大丈夫。

大袈裟かもしれないけど、ここに来て最初の試練を乗り越える前、フィンランドに着いて間もない時に撮った自分の写真が、勇気をくれた。
わざわざここまで来たのは、うつくしい光に出会うため。心が枯れていては、そこに光があっても、見えなくなってしまう。いい光を身体いっぱいに浴びて、時折カメラでつかまえて。深呼吸して、さあ、進もう。

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