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日本にもきっと、あったけど

重い荷物を運んでいると、“Can I help you?”と声を掛けてくれる人たち、
通りすがりに視線が交わり、にっこり微笑んでくれる女性、
うつくしい旋律を歌うかのようにさえずる小鳥、
寒さを忘れ、いつまでも眺めていたくなる静かな湖。

日本にもきっと、あったけど、気に留めていなかった些細なこと。
決してフィンランドが特別なのではなく、気持ちを、身体をリセットするためにすべてを置いてきたから、見えていなかった世界が見えるようになったのだと思う。

はじめての海外だから、ちょっとしたことがとてもうれしい。スーパーで買い物ができたこと、図書館のカードを作れたこと、バスの乗り換えを間違えなかったこと、銀行の口座を開けたこと。子どもに戻ったみたいに、毎日できることが増えていくのが新鮮だ。

大人になるとできないことに目が向いて、自分を褒めてあげることなんて滅多にない。海外に来たというだけで、すべてのハードルがぐんと下がって、心の中で小さくガッツポーズを決めている。英語がカタコトなせいで、カフェではアイスコーヒーがアイスラテに、スモールドーナツがレギュラーサイズになったりしているけど。

渡航日に友達が「いろいろ心配なことが多いと思うけど、出発した時点で大成功なのでもう大丈夫」と連絡をくれた。

“出発した時点で大成功”

この言葉をお守りみたいに胸に刻み、よちよち歩きで明日へと進む。

図書館カードを作った。現地の日常に少しだけ近づけたようでうれしい。
駅には改札がなくて戸惑った。フィンランドの鉄道会社はVR。JRと被る。
Pyynikki展望台の麓のカフェ。光の差し込み方、内装、名物のmunkki(ドーナツ)、全部気に入った。

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