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~第172回~「氷川神社と南極観測

日本各地には様々な祭礼がありますが、国外でも、日本人が粛々と祈りを込めて行う祭礼があります。
その一つが「赤道祭」。
これは、南極観測船が赤道を通過する際に船上で行う、航行の無事を神々に祈る祭りです。

南極観測船は文部科学省国立極地研究所の南極地域観測隊の輸送・研究任務のための船です。
日本の南極観測船の運行は昭和31年から始まり、「宗谷」(第1~6次隊)、「ふじ」(第7~24次隊)を経て、昭和58年の第25次隊からは初代「しらせ」が、平成21年(2009)からは現在の2代目「しらせ」が活躍しています。
南極観測船と氷川神社に何の御縁が…と思われるかもしれませんが、実は「ふじ」の時代に御縁があります。
当時の活動を記したものに、以下の記録があります。
『昭和45年11月20日
昭和44年の第11隊次南極観測に同船した大宮市土手町在住の石原正男一等海曹が氷川神社に南極の石を奉納し、その御縁で当時の宮司が、赤道祭に使う神職の装束一式を贈呈した。
そのお礼にと、大森正雄艦長代理・同艦気象長 浜田真人 二等海佐他3人が氷川神社を訪れた。』

土手町は現在のさいたま市大宮区土手町。
『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』によると、村域に当たる場所は古くは中世末期より存在した高鼻郷に属していたとのこと。
なお、高鼻郷は天正19年(1591)より氷川神社の社領となった地域でもあります。

話が逸れましたが、武蔵一宮氷川神社が、赤道直下で行われる祭礼「赤道祭」のための装束をプレゼントしていたことはあまり知られていません。
また、航海任務が無事に終了した感謝を込めて氷川の神様に奉納された南極の石は、神職が祭典奉仕前に参集する和室「菊の間」に安置されております(※一般公開はしておりません)。
どちらも後世に語り継いでいきたいですね。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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