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~第133回~「猪目(いのめ)の話

神社にお参りした際、ハートを逆さにしたような形を目にしたことはありませんか。 これは猪目(いのめ、いめ)と言い、古墳時代から存在する日本古来の文様です。
氷川神社に限らず、火防の魔除けとして、災いを除き福を招く意味があり、全国の神社やお寺などの建築物に見られます。
寺社の建築物以外にも、巫女の持つ神楽鈴や茶室の窓(猪目窓)、猪目の形をした茶碗(猪目茶碗)、さらには刀剣や小刀の刀装具などに彫られることもあります。 古くより存在する猪目ですが、猪の目に似ているから「猪目」と呼ぶという説がある一方で、形は心臓(ハート)型。
なぜハート型が「猪の目」なのかを解明した定説はありません。
また、出雲市に「猪目洞窟」という、猪目(いのめ)湾の西側に東向きに開口している国指定史跡の洞窟があるのですが、こちらは、洞窟の対岸のくぼみが猪の目に見えることから猪目と呼ばれるようになったそうです。 猪などの動物は天敵が多く365日24時間警戒していないと天敵にやられます。
それに倣い、猪目の装飾には、盗賊などの人災はもちろん、木造建築にとって一番恐ろしい火災にいち早く気づくようにとの想いが込められています。 古の監視カメラのようなものですね。
神社やお寺、茶室、武具などにも広がった猪目。
古来、魔除けのマークとして日本人が信じてきたことの証です。 神社で猪目の紋様を見つけたら、それは同時に、今に息づく古の日本文化を見つけたことでもあります。


〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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