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【理屈と膏薬】顔も重要と言ってほしい

 どうも。いかたこです。

 今週から「理屈と膏薬」というシリーズを、月に1回のペースで投稿します。屁理屈をこねにこねまくります。タイトルの由来は「理屈と膏薬はどこにでも付く」です。「ひねくれてるな~」や「そういう考え方もあるのね」と思いながら読んでいただけるとうれしいです。


 ある日の昼休み、生徒と恋愛の話になった。といっても、生徒の恋愛相談を受けていたわけではなく、私に恋人はいるのかという質問から話が始まった。「今はいないよ」と答えると、「ずっといないでしょ」と言われたので、「そんなことないわ!」と今までの恋愛話を披露していた。付き合った回数を聞かれたので、自信満々に右手でピースサインを作って見せつけた。

「でも、先生は恋人を顔で選ぶタイプでしょ? なんかそんな気がする」
 生徒がニヤッと笑いながら、いじわるな口調で言ってきた。偏見だー、名誉毀損だー、と思わず叫びそうになったが、冷静になってみるとあながち否定することでもなかった。
 恋愛においてパートナーの顔と性格、どちらを重視するかというのはよく話題になる。こんなとき、「いやいや性格が大事でしょ!」と答えれば、質問を無難に切り抜けることができたのかもしれない。しかし、その時は嘘をつきたくなかった。そして、なんとなく自分の考えがその子にも伝わるような気がした。
「まぁ顔も大事だよね」
 少し挑戦的にも思えるこの回答。ポイントは「も」だ。さぁ、伝わってくれ! と心の中で祈った。すると、相手は呆れたという表情で諭すように話した。
「あのね先生、恋愛に大事なのは心なの。顔は関係ありません」
 あっ、ミスった。全然伝わってないわ・・・。
「いや、もちろん顔だけで好きになるわけじゃなくて、心も大切だよ。でも、相手の顔も大切だと思うんだ」
「なるほどね。先生は面食いなのね」
 ありゃりゃ、そうなるのか。結局、私が面食いということで話が着地した。もう一度説明しようとも思ったが、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。でもまあ、私が面食いであるかはいったん置いておくとして、間違ったことは言っていないだろう。私はやっぱり、恋人の顔も重要だと思うんだ。

 どちらかというと、恋人の顔を重視するというよりも、性格を重視しているほうが良い印象になる傾向があると思う。芸能人の恋愛報道でも、「お相手のどのようなところが好きですか?」という質問に対して、「優しいところです」や「おもしろいところです」など相手の性格を好いているというコメントが多い。もしここで「顔です!」とはっきり言ったらおそらくネットが荒れることだろう。

 もちろん、相手の性格に恋をすることは素敵なことで、それに一切の疑問も不満もない。その流れに乗って、「恋愛に顔は関係ない」と言いたくなる気持ちもよく分かる。というか、私も何度か言ったことがある気がする。

 でも、「顔なんて気にしない」と言う人がいたら、私はこう問いたい。

 本当にそんなこと言っていいですか?

 これは嘘をつくなよということではありません。そんなこと言うなら、イケメンや美人と付き合うなよとかそんなことではありません。

 その言葉は、あなたの大切な人を傷つけませんか?

 「顔なんて気にしない」と言うのは自由だと思う。自分は相手の中身をしっかり見る人だと主張できるし、周りからの印象も良いに違いない。でも、その人の恋人は自分の顔を否定されていると思うかもしれない。
 「性格が合うなら顔は妥協してもいい」と平気で言う人もいる。いや、顔も大好きであれよと思う。恋人なら、自分の理想とか好みのタイプとか、そんなのねじ曲げてでも好きであれよ。「自分の顔が嫌いだ」と相手が言っても、あなたは相手の顔を好きでいてよ。
 自分の顔も性格も、生き方だって好きでいてほしいと思う。わがままなんです。どうでもいいなんて言わないし、言ってほしくない。

 「性格なんて気にしない。顔が良ければいい」という人もいるのかもしれません。その言葉はきっとたくさんの人を傷つける。けれど、「顔なんて気にしない」はそれと同じくらい暴力的な言葉だと、私は思うのです。


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