万国パンツの大脱出(閲覧すこし注意)全5話
(https://randommmm.com/country/ ホームページで遊びながら書きました。笑 初めはどこかの職場のトイレのつもりで書き始めたけど、これは駅の外や公園のトイレだね。 追記:さすがに6時間も書いたから疲れた。)
第一話「便意」
「便意が、、、」
突如、猛烈な便意を感じたおれは括約筋に力を入れながらトイレに走った。
大学で数理心理肛門学を専攻し、卒論は「括約筋の謎」のおれにはわかるが、この便意、きっと便器を詰まらせる。そんな悪い予感がした。
便座にまたがったおれはズボンを脱ぎ、自慢の日の丸🇯🇵パンツを下ろして、括約筋を解放する。
「ストップ!!」
咄嗟に括約筋に力を入れ直すおれ。先端の出かかった大黒様に反発する存在に気がついて、急きょ排便を中止したのだ。
「おい、まだパンツが脱げてないじゃないか!!」
おかしい。まだしっかりとパンツを履いていた。臍が隠れるまでパンツをずり上げている。
しかし、日の丸パンツ🇯🇵は足首に引っかかっていた。
おれは、日の丸パンツ🇯🇵の下に、知らない国🇫🇯の柄パンを履いていたのだ。(後で調べたらこの国はフィジーだとわかった)
「こんなパンツは買った覚えがないぞ!?」
パンツはゴムが伸びて、履き古した感がある。パンティー、スキャンティーなら嬉しいサプライズだけど、男ものの臭い柄パンなんてまったく冗談じゃない。
「ぎゃおう!!🇫🇯」
おれは個室で奇声を上げながら、🇫🇯パンツを、靴と足元のズボン、日の丸パンツ🇯🇵ごと脱ぎ捨てた。
「ぐお!!🇨🇮」
🇫🇯パンツの下は、再び知らない国🇨🇮(コートジボワール)の柄パンだった。
もちろんパンツを脱ぎ捨てる。
🇫🇮(フィンランド)→🇱🇦(ラオス)→🇷🇺(ロシア)→🇪🇬(エジプト)→🇺🇸(アメリカ)→🇳🇵(ネパール)→🇵🇭(フィリピン)→🇴🇲(オマーン)→
パンツは脱いでも脱いでもキリがなかった。しかもすでにどのパンツにも、おれの糞が少しついている。
脱いだパンツを個室の外に投げ捨てたのが良くなかった。
ざわざわ、、、ざわざわ、、、。おれのいる個室の外に人だかりができている。
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第二話「チンピラ」
「おい、トイレで万国旗を使った宴会芸の練習をしているやつがいるぞ・・・」
「うわっ!糞つきパンツだ!!」
「しまいには鳩🕊️まで飛び出すんじゃないのかー?笑」
「ピューーーイ!」囃し立てる指笛の音。
バサバサバサバサバサバサバサ🕊️🕊️🕊️🕊️「うわあ!!?」バサバサバサバサバサバサバサ🕊️🕊️🕊️🕊️🕊️
おれのいる個室の便器から白い鳩が一斉に飛び出した!!この便器はマジシャンのシルクハット🎩か何かか!?
個室の外でも、突然の鳩に驚きの声が上がった。
「す、すげえ」
「ほ、ホントに鳩が出てきやがった!」
どうやら、やつらのリクエストに応えてしまったようだ。
万国パンツや、鳩の群れ、このトイレはいったいどうなってるのだ?
ドンドンドンドン!
チンピラどもが乱暴にドアを叩き、「ミスターマリック出てこーい!」「もっと鳩だせ、鳩ー!!」「ウンコマン」と囃し立てる。
糞はもうちょっとどころか、漏れていた。こうなったら糞つきパンツで、とことん応戦してやるまでだ。
おれは🇮🇸(アイスランド)→🇨🇲(カメルーン)→🇱🇻(ラトビア)→🇵🇾(パラグアイ)→🇱🇹(リトアニア)→🇹🇴(トンガ)→🇲🇪(モンテネグロ)→🇿🇼(ジンバブエ)→🇬🇦(ガボン)→🇨🇾(キプロス)→🇨🇿(チェコ)のパンツを個室の隙間からぶん投げてやった。
おれはチンピラどもとの戦闘に思わず、力が入り肘でトイレ用擬音装置「音姫」を押した。ところがなんとザーザーという排泄音をかき消すための音声が、マジックでお馴染みのBGM「オリーブの首飾り🎶」ではないか!!
おれも、これからどんなマジック🎩が起こるのだろうとドキドキしていると、
再び、
バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサ🕊️🕊️🕊️🕊️🕊️
便器から勢い良く鳩が飛び出しチンピラどもをつつきまくった。天井のスプリンクラーまで作動して、やつらをびしょ濡れにした。
チンピラ「おうおう、おもろい手品持っとるのー💢💢💨」
やまないBGM🎶はさらなるマジックを予感させたが、やつらの神経もいっそう刺激し激怒させた。
チンピラ「おら、出てこんかい!!!」
チンピラはドアを蹴飛ばし、金属バットのスイングで、個室と個室を隔てるフレームが歪み、わりと頑丈な扉が凹んでいる。天井は高く、人一人がよじ登って侵入できない隙間しかないのが、今のところ幸いしている。だけど、やつらがトイレの壁を突破するのは時間の問題だ。隣の個室からも、壁を突き破ろうと試みているチンピラがいる。絶対絶命のピンチだ!
👮「お前ら何をやっているか!!」
チンピラ「やべ、ポリだ。逃げろ!」
👮「待て、逃げるんじゃない」
チンピラ「離せよバカヤロー」
おれ「じ地獄でホトケーーー!」
チンピラどもはまとめて連行された。うわはははいい気味だ。
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第三話「刑法92条」
👮「個室に誰かいるのか、出てきなさい。ところで何だこの糞のついたパンツの山は!?」
やれやれだぜ。トイレから出て、チンピラどもが可愛そうなおれに働いた蛮行の数々を洗いざらい話すしかあるまい。
その時。
外から、キキーーッと急ブレーキの音。ガヤガヤと騒々しい人たちがトイレに殺到した。
😎「ドキナサーーイ、ドイテクダサーイ。ホンダラ国ノ国王ガ、アリガタイコトニモ糞ヲシテアゲルデアリマース」
🤴「ワタシハイマスグ糞ガモレルデアリマース。アナタハソレガキットウレシイデスカ?」
ホンダラ国だと!?そういえばホンダラ国の国王とやらが、日本を訪問するというニュースは耳にしたが。
どうやら王様が移動中に、どうしてもトイレがしたくなったらしい。騒々しいのは、護衛の者がたくさんいるのだろう。
🤴「ナンテコトデショー!!トンデモナイブジョクデスヨコレハ!」
外で、国王がわめいているのが聞こえた。警察と奴らが揉めている。
どうやらおれが投げた糞つきパンツの中に、ホンダラ国の国旗の柄のものが混じっていたらしく、運(ウンだけに)の悪いことに、それを国王が見つけてしまったから、自国の尊厳が傷つけられたと怒っているのだ。
国王は怒りのあまり便も引っ込んだ様子である。
刑法にはたしかに、「外国国章損壊罪(92条)」がある。外国に対して侮辱する目的で、その国の国旗を損壊したり、汚したりすることで、成立する犯罪だ。本罪は外国政府が請求しなければ、公訴を提起できない親告罪だが、目の前で怒っているのはまさに、ホンダラ国の国王その人だ。
おれに侮辱の目的はまったくなく、便意と、何枚も脱いでも脱いでもなくならない万国パンツの不思議が引き起こしたアクシデントだが、おれの弁解(便解!?)は果たして、この外人に通用するのか?
これは下手すると外交問題に発展する!?
お巡りさんも当初は、糞まみれで、不幸なおれをトイレから救い出し、事情の一つや二つでも聞いてやろうくらいにしか考えていなかったのだが、目の前で異国の国王が怒り、現場にはホンダラ国のものだけでなく、万国の糞付きパンツ!
トイレに潜伏しているのは、あらゆる国家を糞尿の海に転覆させようと目論む、「ウン国際テロリスト」に違いない!!
サッとホルスターから拳銃を抜き、「カチリ」撃鉄を起こす音が聞こえた。
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第四話「グレネードランチャー」
一難去ってまた、一難。引田天功ばりの大脱出をしないと、おれの助かる道はない。先ほどの、便器から鳩が飛び出すような奇跡で、おれを安全な場所までテレポートさせてくれないか。
ホンダラ国王も、侮辱されたのは自国の国章だけではないことから、怒りが収まり、隣の個室でプリプリと金粉の混じった糞をひり出すと(王様の食い物には金粉がまぶしてある。猫のトイレ砂みたいに糞に金粉をかけて臭い消しまでする。糞の消臭をするよりも、早く流せよ、、、なんで金ぴかの糞をそのままにしようとするの、、、)おれの逮捕に国王自ら協力してやろうとはりきりだした。
🤴「ニッポンノオマワリサン、ニューナンブナンテヒンジャクナテッポウハフトコロフカクオオサメクダサイ(日本のお巡りさん、ニューナンブなんて貧弱な鉄砲は懐深くお納めください)」
さすが、国王。平和的な対話で解決をはかろうというつもりなのだろう。「懐深くお納めください」なんて、ヤクザの親分と子分が、盃を交わす口上が混じっているのは気になるけど、話し合いで事が丸く収まるなら、ありがたいことだ。おれはドアの錠前に手をかけた。
🤴「ワタシタチニハモットキョウリョクナサブマシンガンガアリマス」
話し合いで済むなんて考えが甘かった。個室の中のおれに外の様子はわからないが、ホンダラ国王のサングラスにスーツの護衛の中でも、とりわけでかい大男が、黒塗りの車からアタッシュケースに入ったサブマシンガンを持ってきた。
🤴「サブマシンガンデハチノス二スルノモイッキョウデスガグレネードランチャーデアトカタモナクフキトバシテアゲマショウ」
😎「オヤブンガカラスハシロイトイッタラシロイ。カール・ルイスモシロイ」
国王の護衛は日本のヤクザの組長への絶対服従の言葉(カラスは白い)を唱えながら、マシンガンの銃身下部にグレネードランチャーをカチャカチャと手際よく取り付け始めた。いくら国王といえど、こんなとんでもない武器を日本に持ち込んでいいのか不明だが、おれを跡形もなく吹き飛ばす準備が着々と進んでいるのがわかる。
おれは一発逆転の小道具や、個室からの大脱出の奇跡を信じて万国パンツを脱ぎまくった。
→🇭🇷(クロアチア)→🇦🇺(オーストラリア)→🇳🇴(ノルウェー)→🇪🇨(エクアドル)→🇲🇽(メキシコ)→🇰🇷(韓国)→🇮🇪(アイルランド)→🇬🇳(ギニア)→🇵🇦(パナマ)→🇰🇮(キリバス)→🇦🇩(アンドラ)→🇨🇷(コスタリカ)→🇬🇹(グアテマラ)
ついに日本が国家として承認していようと、未承認だろうと関係なく、独立国として存在する205の国の万国パンツを脱ごうとしていた。205枚目のパンツを脱いだその先に、この危機的な現状を打開する、必殺武器や大脱出の奇跡が起こるに違いない!
おれは205枚目のパンツを脱いだ。
なんと現れたのは日の丸🇯🇵パンツだった!!万国パンツの無限ループ!!お、終ったーーー!!また、🇫🇯(フィジー)、🇨🇮(コートジボワール)と一から始まるに違いない。
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最終回「大脱出」
死を覚悟したおれは日の丸🇯🇵パンツを脱いでみた。なんと、その下は真っ白なブリーフだった。万国パンツではない。白ブリーフは、白地に茶色い糞💩がべちゃっと付いている。この無地の国旗はどこの国のものだろう。
おれは糞つきブリーフを脱いだ。なんと、ブリーフの下はすっぽんぽんだった!
その時、バラバラバラバラとヘリの音が聞こえた。
ホンダラ国王と、その護衛もおれを吹き飛ばす準備を中断して、トイレの外に飛び出した。
屋外トイレの上空で低空飛行しているのは、国籍不明の、白地にウンコマーク💩の旗を掲げた攻撃用ヘリコプターだった。
「王子ー助けに参りましたーーーもうご安心くださいーーー」バラバラバラバラとヘリコプターのすさまじいプロペラ音にかき消されそうだが、メガホンから確かにそう聞こえる。
ヘリコプターは機体の底から、巨大な鈎爪のついたワイヤーを投下した。
シュルルルルルルルル ガシャーン!!メキメキ
おれのいるトイレの個室の壁が両側から、空から降ってきた巨大な鉄の爪にガッチリと掴まれて、メキメキと床から剥がされて持ちあがっていく。個室は床と、電話ボックスのように一体になってはいないから、天井と底の抜けた四角い筒だ。便器と一緒に取り残されるわけにはいかない。おれは壁とこれ以上作動しない鉤爪にしがみついて、空高く舞い上がった。
「明智くんまた会おう!わはははははは」おれは上空で安定した姿勢を確保すると、投げテープのようにトイレットペーパーを華麗に展開した。
🤴「ヘリコプターゴトグレネードランチャーデフキトバシテシマエバイイ」
ホンダラ国王の護衛がヘリめがけてグレネードランチャーを発射した。
シュルルルルルルル ぱあああああああ
「たまやーーーー!!!🎆」擲弾はなんと綺麗な花火になって、夜空をきれいに彩った。
ヘリコプターはワイヤーを巻き取り、個室ごと機内に回収した。
「王子ご無事で何よりであります」トイレットペーパーのホワイトカーペットで丁重にお出迎えしてもらったおれの前で、王国の家来たちが恭しくかしこまっていた。
「なんのことかさっぱりわかりませんが、危険なところを助けてくれて、ありがとうございました。」ぐーーーーー
命が助かったとわかったらお腹が空いてきた。直ちに特別な機内食が用意された。おれは、ワクワクして待ったが、出されたのはプレートに並べられたいろんな動物のウンコのてんこ盛りだった。
おれは、白地に💩のマークの国旗をもつ、地球のどこかにある、突如発生した206番目の新興国に拉致され、二度と日本に戻ってくることはなかった。
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