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若きウェルテルの悩み(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)読書感想文

 題名からイメージしていた内容は、おそらく青年であられるウェルテルくんが、愛だの恋だの自己実現だのに苦悩する、まあ、爽やかな青春小説のようなものだと思っていた。
 ところがどっこい!
 ドロッドロ。
 ウェルテルが恋したロッテにはアルベルトという許嫁がいるんだけど、そんなことにはお構いなしに足繁くロッテのもとに通うウェルテル。自分のロッテに対する想いは兄妹愛のようなものだと思いこませ、ロッテが結婚したあとも頻繁に彼女のもとに通う。ロッテもロッテで、結婚してんだから少しは自重すればいいものを、逆に喜んで部屋に上げてしまう。この二人、最後まで肉体関係はないのだけれど、それにしたって常識外れなんじゃないのか? アルベルトが気の毒でならないわ。
 ただまあ、どんなに相思相愛であれ、思いが遂げられることは決してない関係であることには変わりはなく、ウェルテルは自分の想いを、熾火においたシチューのようにグツグツと煮えたぎらせ、そしてついには最悪の結末を迎えてしまう。

 最初のうちはウェルテルの若者特有の純粋でまっすぐな感情が爽快ですらあったんだけど、どんどん感情のベクトルがマイナス方向に向かっていくから、だんだん怖くなってきた。過去の自分の、消してしまいたい色恋沙汰なんかも思い出しちまったよ(笑) 俺にとってはホラー小説だわ、これ。
 実際、この小説が発表された当時に、ウェルテルの真似をして自殺する若者が何人も出てきたとか。

 ただ、読後感はよくないものの、インパクトはスゴイ! 多分この内容は一生忘れないと思う。 
 

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