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#005「陰も陽もイチブトゼンブ」エネルギーの蓄積と解放を語る

1.ネガティブとポジティブは一体

1)陰と陽の関係性について

皆さんこんにちは。井戸です。
#003では「欠落があるから、才能として輝く」
#004では「劣等感があるから、才能に結実する」
という理論でお話しさせていただいた。

どちらも抽象化すると
『ネガティブとポジティブは一体』
ということになる。

  • 不当に人種差別されたガンジー

  • 戦時中に栄養失調になったオードリー・ヘプバーン

  • 吃音症に悩み苦しんだデモステネス

すべてはネガティブな出来事や宿命からスタートし、その事実を受け入れた上で、どうやったらそこから抜け出せるか必死にもがいて考えて行動した結果、「インドを独立に導いた」り、「ユニセフ親善大使の活動で幸福感を得た」り、「巧みな演説で大衆を魅了」するといった、ポジティブな結果を手に入れている。

一般的に欠落や劣等感はネガティブな印象としてとらえられるが、「ポジティブになるための必要条件」だと考えると、ネガティブとポジティブはセット。本来良いも悪いもなく、どちらも自分や世界を形成する要素として共生している。そう考えられないだろうか。

2)陰と陽の共生とは

アンパンマンの作者・やなせたかしさんは、こんな言葉を残されている。

バイキンは食べ物の敵ではあるけれど、実は、パンだって酵母菌がないとつくれない。バイキンも、食べ物がないと繁殖できない。つまり、パンとバイキンは、敵だけれど味方、味方だけど敵という共生関係にあるわけだ。

やなせたかし著「明日をひらく言葉」

アンパンマンとバイキンマンは共生関係ーーー
確かに、アンパンマンはバイキンマンを絶対に”殺さない”。毎回、アンパンチを喰らわせるものの、結果的に家まで送り届けているだけに過ぎない。(終電後のタクシーかな?)
左脳で判断したのか右脳で判断したのか知るすべはないが(左アンかな?右アンかな?)、アンパンマンというヒーローも、バイキンマンという悪役の存在なくしては成り立たないことを理解しているように感じる。

パンという発酵食品があるのは、菌という腐敗要素があるから。
光があるから、影ができる。
長所があれば、短所もある。
ポジティブになるには、ネガティブな経験も必要。
幸福を感じるのは、不幸な体験をしたから。
才能があるのは、欠落があったからこそ。

陰陽太極図:陰中の陽、陽中の陰

すべては共生関係であり、互いが補い合う相補性だ。良い部分も、悪い部分も、自分。自分の中に無駄なものなんてない。ネガティブも自分のイチブであり、ゼンブだから。

すべて何かのイチブってことに僕らは気づかない
愛しい理由を見つけたのならもう失わないで
愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに

B'z「イチブトゼンブ」歌詞

2.エネルギーの蓄積と解放

1)ブランコと弓

ネガティブもポジティブも、自分の一部ということはわかった。でも、大きな欠落や劣等感を経験すると、その反動で成功を手にする事例が多数あることを鑑みると、ネガティブとポジティブは「お互いを補い合う対等な関係」というだけでなく、もっと大きな力が働いているように思う。
そこをうまく言語化してくれた、ある本からの引用を紹介しよう。

悪魔「ブランコは常に『今いる場所から1番遠い場所』を目指すように力点が働く装置だ。これは、ブランコの宿命ではなく、貴様ら人間の宿命なんだよ。『前』だろうが『後ろ』だろうが、今いる位置からもっとも遠い場所へ揺り戻すエネルギーがブランコ全体に貯め込まれているのだからな。エネルギーも『プラス』と『マイナス』の2つでセットだ。『プラス』だけを貯めることなど絶対にできない。前へ進めば、逆向きのエネルギーが同量だけ内部に貯まるのさ。」

さとうみつろう著「悪魔とのおしゃべり」

この台詞は、モヤモヤしていた陰と陽の関係性をスッキリさせてくれた。欠落や劣等感などネガティブな状態や感情を経験しているとき、ブランコは後ろへ大きく引かれ、「前に進むエネルギーが貯えられている状態」にあたる。エネルギーが臨界点を超えたら、はずみが付いて前へ進み、成功や才能に置き換わる。「すべての状態は、逆側へ回帰するエネルギーを貯め込んでいる」とも言える。
この『ブランコの法則』は、弓矢にも似ていると思った。

ブランコも弓も、一度後方へ引く動作が必要

弓に固く張ってある弦を、矢じりと一緒に後方へ引き伸ばし、弦の弾性エネルギーを解き放つことで矢を前方へ投射する。これも逆側へ回帰するエネルギーの蓄積と解放に等しい。

2)モチベーショングラフも蓄積と解放の集合体

僕も所属する(株)ジコリカイが提供する「自己理解プログラム」に、モチベーショングラフを作成するSTEPがある。3年間の記事なので会社名など一部古いが、以下記事からプログラム創設者・八木仁平さんの言葉を引用する。

ステップ2ではモチベーショングラフを作成します。これを作成することで過去の重要な経験を棚卸しすることができその後の質問に答えやすくします。その後自分にとって大事なことは何か(=何のために働きたいのか)?などの問いに答えていくことでやりたいことを見つけるという流れになっています。

U-29記事「自己理解研究家・八木仁平が語るやりたいことの見つけ方」

今までの人生に起きた出来事(事実)と、そこで感じたこと(感情)を時系列で書き出し、出来事別のモチベーションをマイナス100~プラス100で自己採点する。そうすると、人生全体を通しての、自分の行動原理(どんなときに感情がプラスに振れモチベも上がるのか/逆にマイナスに振れモチベが下がるのか)が見えてくる。非常に骨太なワークだが、やりきった後の達成感と充実感はハンパねぇ
このモチベーショングラフにおいても、先ほどの蓄積と解放に置き換えて考えることができる。

モチグラのプラスもマイナスも、自分の一部

人生におけるマイナスやネガティブな体験は、それ単体で評価できる絶対的なものではない。マイナスに落ち込んだ後、そこから何かを学び、改善や変化を繰り返し、プラスに転じる”はずみ”になっているはずなので、やはり自分を相対的に見たときの一部でしかないのだ。
ブランコを引くように。
弓矢の弦を引くように。
エネルギーを後ろに蓄積し、一気に前に向かって解放するまでが1セット。
こう考えると、人生の捉え方も変わってこないだろうか。今がドン底だと感じていたとしても、それはエネルギーを蓄積しているだけで、必ず次は前に向かって大きなエネルギーを解放でき、人生が好転する。その視点があるだけでも、人生は明るく前向きになるはずだ。

3)井戸の蓄積と解放史

最後に、僕の黒歴史を晒して締めよう。
僕ももちろん自己理解プログラムでモチベーショングラフを作成したが、人生前半~中盤はほとんどマイナスだった。#004でお伝えした吃音に加え、絶望的にイケてなかったからだ。
ダサい、暗い、キモいなどのからかいやイジメは常に受け続けてきた。特に中学に入ってからは見た目だけではなく、周りとの学力や運動神経、コミュ力の差も顕著に開きはじめ、どんどん自信喪失していった。だが心のどこかで「俺の人生のピークはもっと後半じゃ!お前ら覚えとけよ!」という復讐心を煮えたぎらせていた。まったく根拠のない自信ではあったが、それに支えられて必死に自分磨きを行い、まあなんとか自分が納得できるまでの見た目や中身にはなれた気がする。

底抜けに暗く、ブルーだった学生時代

思えばこの現象も、ブランコ理論の逆側へ回帰するエネルギーの蓄積と解放だったのだろう。
以来、基本ネガティブな姿勢や思考は変わらないが、「いつか必ず揺り戻してポジティブに転換するから、大丈夫」というマインドで、今まで生きてこれた。

まとめよう。
ネガティブもポジティブも、すべて自分の一部。だからネガティブだけを極端に恐れたり、避けたりすることはない。
チベーショングラフのマイナスも自分の人生の一部。ネガティブを恐れず、むしろ俯瞰でじっくり眺めてその意味を考えてみると、より深い次元で自己理解できる。
たとえ今苦しい状況だとしても、今まで蓄積されたエネルギーは、いつか前に向かって解放される。
その時を楽しみに、今ここを生きよう。
それではまた!

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