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映画の前にブレイキング・バッドを復習していく シーズン3編

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世界が広がっていくシーズン3

ガス・フリングや双子の刺客の登場によって、関わる世界の範囲が広がっていくシーズン3。
今回ももちろん面白い。

怒涛のシーズン2に比べると、前半やや停滞か

ついにスカイラーにバレたり、双子の殺し屋の登場や、メス制作の新しいラボの登場、新キャラゲイルなど、世界観が広がっていく様子が前半に描かれるのですが、その分物語の進行はやや停滞している印象です。

しかしそれをひっくり返すかのような後半戦が壮絶。
6話のキャンピングカーでハンクと鉢合わせるくだりからは緊張感の高さをキープし続けます。
ハンクがジェシーをボッコボコ、ハンクへの双子の襲撃、ガスの手下によって仲間が殺されたと知ったジェシーの復讐、からの驚きのウォルターのドライビングテクニック。ラストのゲイルの抹殺まで、バイオレンスの派手さは増していく一方です。

(ちなみに、7話のハンクにボコボコにされたジェシーが、病院でウォルターにハンクへの恨みを語るシーンが、アーロン・ポール曰く、続編映画を見る上で重要だそうです。どう関わってくるのでしょうか。)

冒険のシーズン3

世界観の広がりに関して、攻めた描写も見られるのがシーズン3の特徴です。
特に印象的なのがラボでひたすらハエを殺そうとする10話です。行動としてひたすら捕まらないハエを殺そうとするだけなのですが、ここまでストイックな物語を見ると自然と、ハエは何の象徴なのか、と考えさせられます。邪魔する者を処理するのは困難、という比喩なのか、はたまた悪事を止めようとしている誰かの意思なのか・・・。こんなエピソードも作れますよ、という王者の余裕すら感じさせます。ちなみに、後のとあるエピソードにもハエが出てきます。その時の状況を考えると、なんとも示唆的です。
さらに表現で冒険しているのが、1話から出てくるトゥコの従兄弟である、双子の殺し屋のキャラクター造形ではないでしょうか。思い切った設定が多いこのドラマの中でも、このフィクション性の高いキャラクター描写はわりと攻めているのではないでしょうか。世界観から逸脱するかしないかギリギリのとこかと思います。
暴力の激しさを増しながら世界観を広げ、攻めた表現にも挑戦した、わりといびつなシーズンだったのではないでしょうか。


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