…――彼女は完璧超人だけど、残念な女の子だ。

容姿端麗で、今度、アイドルとしてデビューするらしい。しかもデビュー前から総選挙でぶっちぎりの一位を獲るほどの人気ぶり。センターは確実だろう。まあ、人気アイドルのセンターだからって可愛いとは限らないが、それでも凄いと思う。

ただし可愛いだけじゃ世の中は渡れないけどね。

それが僕の残念彼女。

勉強も学校で一番。いや、日本全国でトップの成績を収めるほどの実力者。それどころか小学生の時の書いた論文は学会でも高評価を受けていて、今度、世界初の高校生ノーベル賞受賞を果たすらしい。アインシュタインの生まれ変わりとも。

いくらあっぱれな天才ぶりでも、ほどがあるぞ。

それが僕の残念彼女。

もちろんスポーツもずば抜けていて男子に交じってもなんら遜色もなく今度のオリンピックでも十五個に及ぶ金メダルを嘱望されるほどの怪物ぶり。当然、ジャンルも選ばず、どんな競技でも最高の結果を叩き出す。

彼女が持つ世界新なんて両手があっても全然足りないくらいだ。

これはフラグではと思ってしまうほどのスポーツウーマンぶり。

それが僕の残念彼女。

そしてラブコメのお約束。料理や家事が苦手だという事もない。本職は家事手伝いなんじゃないかと思えるほどの完璧ぶり。料理なんか、もはや超絶プロの領域で美食漫画も真っ青な死ぬほど美味い料理を難なく作ってしまう。

週に一度、五つ星レストランの総料理長が彼女に教えを請いに出向いているほど。

本当に欠点がない事が欠点なのだと言われそう。

それが僕の残念彼女。

更に羨ましい事に商才も腐るほどある。親がフォーブスに載るほどのお金持ちなのは言うまでもないが、彼女自身、洗濯ばさみを商材に一ヶ月で五億円稼ぎ出せるだけの才覚がある。洗濯ばさみを商材に、どんな手を使うのかは分からない。

それでも洗濯ばさみを売るだけで時給換算で６８４，９３１円の大台を叩き出す。

本当にあり得ないぞ。

必死で家族の為働く世の中のお父さん連中の恨みを買うんじゃないかとさえ思う。

ここで疑問に思う。果たして、彼女は一体、なにが残念なのか？

ううん？　聞きたい？

うん。教えてあげる。

それは、彼女が二次元の中だけの存在って事さ。

でもね。そんな二次元の中にしかいない彼女を、死ぬほど愛しているんだけどさ。

俺の嫁って感じでさ。

ふふふ。