血液データ解釈のポイント(外来、整形外科の例を交えて)
理学療法士が血液データって読める必要あるの?
「当然、なくはないんだろう、、、」
とおもいつつ、臨床にでたら、「どう活用したらよいか、よくわからないな、、、」と思う場面が多いかと思います。
内科疾患をよく見る病院ならある程度当たり前と思いますが、整形外科領域で見れなきゃダメなの?とも思いそうですが、領域関わらず見れたほうがいいでしょう。というのが私の意見です。
特に今は高齢者に併存疾患があるのはほぼ当たり前の時代です。
血液データだけでなく、フィジカルアセスメントを含めた臨床所見の把握というのをこのNoteでやっていきたいと思います。
<今回のこのNoteは2021年夏に出版になった、「できるセラピストと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと」の補足記事です。>
今回はこのNoteで架空の症例について考えていきましょう。
今回わたしはこの書籍において「血液データの解釈」「治療薬の影響とその注意点」について執筆しております。
(他の「脳振盪」「収益構造」「がんリハ」についても執筆しております。よければお手にとって御覧いただければ幸いです。)
項目を解説の都合上、ページの量の都合上、どうしてもその単独の「血液データはこう読む」「治療薬はこういう影響がある」といった単発の話になってしまいました。
ですが臨床上本当に重要なのはそれら一つ一つ点になっている知識を線に繋げる作業です。いわゆる「統合と解釈」です。
また単発の知識はそれぞれ深める必要があります。他に素晴らしい成書がありますのでご覧になってください。
さてここからは架空の症例ではありますが、「血液データ」を主に考えつつ、臨床的の実際について考えてみたいと思います。
症例1:80代後半女性、自宅内転倒し、大腿骨頸部骨折の診断。右人工骨頭置換術を数年前に施行、当院のデイケアにてフォロー中だったが最近浮腫が増悪し、体力の低下を自覚している。
さて皆さんこういう症例がいた場合どうするでしょうか?
どう考えるでしょうか?
浮腫は術後のものでしょうか?
体力低下は年齢的に仕方のないもの、でしょうか?
個人情報を追加します。
ADLレベル:要介護1、訪問看護、ヘルパー利用、独居、術後より人工関節周囲の疼痛強く両手杖使用、約1年ほど前から当院デイケア利用
既往歴は以下の通りです。
既往歴:軽度の腎不全、高血圧の指摘あり、内科にて降圧剤の処方。
腎不全の影響からNsaidsの使用を制限されている。(人工関節部位に歩行時疼痛あり、本人は薬を処方を望んでいる)
この時皆さんはこの情報から何を疑い、どう情報収集するでしょうか?
浮腫み。と聞いたときに皆さんは何を想像するでしょう?
わたしは真っ先に疑ったのは心不全の徴候です。
デイケアでは毎回血圧を測りますが、血圧は特別変動なし。
sBP で140程度。
次に体重です。体重が直近のデータの体重より+3kg増えていました。
さて浮腫みだと他に忘れては行けないのがDVTです。
高齢者では特にADLレベルの低い人だと「トイレにいくのがめんどくさい」などの理由から飲水を自ら制限している人なども見られます。
(DVTに関しては高齢者に限らずですね)
DVTの時にチェックして置きたいのがホーマンズ徴候でした。
血液データではDダイマーでしたね。
上記の情報をもって当院(整形外科)Drに報告、エコーにてDVTは否定的、胸部レントゲン撮影。CTR算出から、心不全疑いとなりました。
CTRなど、ここまででわからない用語があった人は復習しておきましょう。
ご本人かかりつけの内科の定期受診はまだ先でしたが、
以上の状態ということもあり、整形Drから早急に内科を受診してもらうように本人話し、受診後、降圧剤の調整と利尿剤の内服が開始になったという症例でした。
内科からあとからもらったデータで答え合わせです。
心不全のマーカーはBNPでした。これもやはり上がっており、
BUN/Creも脱水などを示すマーカーになりますが、この数値も上がっていました。
腎不全も血液データから重症度が判断されます。
アルブミンの値、浸透圧からも浮腫みというのは考慮されます。
アルブミン値も4を切っていましたが、これくらいの年代の人であると一概にそれだけで低栄養状態と判断できないともいわれます。
栄養状態から倦怠感を疑っても良さそうですが、今回は軽度の心不全ということで良いとのことでした。
低アルブミンからも浮腫みが説明できます。
「浸透圧」という言葉を深堀りする必要があります。
さて、いかがだったでしょうか。
普段から内科領域にいる方にとっては物足りない情報量、解釈の仕方だったと思いますが、整形外科がメインにいる方にとっては「(内科疾患の併存が)なくはないが、どういう病態かわからない人がいる」ということはたまにあるのではないでしょうか。
その時、Drにどういう情報を伝えるのか、どういう経過なのかは言語化できたほうが信用として良いでしょう。
書籍の記事と合わせて読んでいただいたほうがより理解が深まると思いますが、今回のこの記事だけでも少し感じがつかめたら嬉しいです。
血液データ、レントゲン、(血圧や体重など)フィジカルアセスメントなどをあわせて「統合と解釈」していく、血液データで答え合わせをする、という今回の過程でした。
特に血液データはある時点での数値が残っていることもあるので経過の比較対象として用いられます。
入院中の症例であれば、術後や肺炎の急性期などでCRPが上がっているがその経過がどのように変化しているかをみることは非常に重要です。
まとめます。
わたしはもともと病院で4年間つとめていましたが、不安な材料があれば比較的早い段階でDrに相談し、必要があれば検査してもらいましたが、整形外科、外来、デイサービス、在宅領域となるとそうもいきません。
皆さんの中で血液データ解釈、フィジカルアセスメントの重要性が少しでもあがったのではないでしょうか?
今回なにげなくDrに診察に回すということを行いましたが、根拠を持って提示できることが重要になってきます。
リハビリをしてよいのか?悪いのか?「レッドフラッグ」という視点も大切になってきますので、別Noteに書いてありますのでご一読いただければ幸いです。
今回の記事が、若手セラピストの皆さんの少しでも助けになれば幸いです。
改めて書籍の紹介です。
プロフィール
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境田淳平
理学療法士、メディカルトレーナー
ラグビーを中心にトレーナー活動をしています。
高校ラグビー、神奈川県国体チーム成年男子(セブンス)
このNoteでは
「就職・転職活動のリアル」「理学療法士におけるトレーナー活動とは」
「理学療法士はどんなセミナーに行ったらいいの?」
「理学療法士の勉強の仕方」「資格って何をとったらいいの?」
実はラグビーのレフリーもできます。
C級ですが、、。ラグビーの安全管理にグラウンドレベルで関わりたいという思いから活動しています。
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