あがり症は治せるのか?#1

あがり症は治せる!人とうまく喋るために必要な意識とは…!?

<イントロダクション>

人前で上手く喋ることができますか?
得意です!と自信をもって言える人は、少ないかもしれませんね。ですが、人は社会に出て仕事をするようになれば必ずと言っていいほど、人前で話をしたり、仕事仲間とコミュニケーションをとる必要に迫られます。
円滑な仕事をするためには、仕事仲間と円滑にコミュニケイトする能力は欠かせません。

ですが、この「人前で話す」ことに著しい困難を伴う人が存在します。
「対人恐怖症」…いわゆる「あがり症」の人たちです。
人前に出ると緊張のあまり硬直してしまったり、全く喋れなくなってしまう。
普通の人には何でもないことのような友達との会話すら、あがり症の人にとっては途方もない労力を必要とするのです。
そして「あがり症」は、自然に消えることはほとんどありません。
むしろ「あがり症」を抱えたまま大人になってしまうことで、公私でトラブルを抱えてしまう例も沢山あるのです。

では、あがり症は治せないのでしょうか?
そうではありません!
努力は必要ですが、あがり症は誰でも、必ず治すことが出来るのです。

西野ナナ … 社会人3年目。A食品会社の商品開発部に勤めている。あがり症で、人前で喋るのが苦手。
工藤良平 … 社会人4年目。ナナと同じ食品会社の企画部に勤める。元ナナと同じ大学の先輩。

ある日、A食品会社の新商品開発企画会議にて―

進行 え〜…では、商品開発部の西野ナナさん。お願いします。
ナナ は、はい!

 ナナ、前へ出る

ナナ あ、あの…

 ナナ、会議室を見渡す。強面の上司、他部署の面々、会議参加者の視線が彼女に突き刺さる。

ナナ (いけない、ちゃんとしなきゃ、練習した通りに…)それでは…あの…
進行 大丈夫ですか?
ナナ は、はい!
進行 時間も限られてますので、迅速な進行をお願いします。
ナナ も、申し訳ありません!(お、怒られちゃった、どうしよう…)そ、それでは…えっと…

 ナナ、頭が真っ白になり――

 場面変わり、昼の社内食堂。ナナ、頭を押さえ、大きな溜め息。

ナナ どうしてこうなっちゃうの…?

 そこへ工藤がやってきて。

良平 おっす。大丈夫か?
ナナ せ、先輩!は、はい!大丈夫、です…。
良平 いや大丈夫に見えないよ(笑)。いいよ無理しなくても。無理して大丈夫な振りしたって自分が辛くなっちゃうしさ。
ナナ すみません…。
良平 聞いたよ。プレゼン大変だったみたいだね。
ナナ 駄目なんです私……本当にあがり症が昔から酷くて…。
良平 ナナのこと聞いて、俺も入社したての頃思い出したよ。せっかく頑張ってプレゼン用意したのに全然上手く喋れなくてさ、途中からまともに聞いてる奴なんてほとんどいなかったよ。しかも偶然その時「揚げ足取りのオザワ」が一緒でさ、ちょっといい間違えたりしただけなのに「よく意味が分かりません。日本語は正しく使ってください」って言われて。もう何の為の会議なのか目的が分かんないよね。
ナナ でも、そんな中でも先輩は最後までやり切ったんですよね…。先輩は凄いです。
良平 まーね!ほら、俺って天才じゃん?

 良平、無駄なキメ顔。ナナ、少し笑いながらも肩を落とす。

良平 すみません、調子乗ってすみません。

 良平、土下座のようにテーブルに頭をつく。

ナナ そ、そんな!ごめんなさい!先輩はいつもそうやって周りに気を遣って明るく話が出来て…それに比べて私なんて…
良平 (雑学①)ビートルズのポール・マッカートニーって知ってる?
ナナ ?は、はい。
良平 あの人、極度のあがり症だったんだって。ステージ恐怖症が酷くて、それで何度も体調を崩したらしい。
ナナ えええ!全然そんな風に見えない…
良平 他にも(雑学②)レディ・ガガもあがり症が酷くて、不安を取り去るために何度も何度もリハーサルを繰り返すって聞いたことがある。
ナナ レディ・ガガって、あのファッションがヤバい人ですよね?凄い、全然知らなかった…
良平 確かに、凄い奇抜なファッションだもんね(笑)。でもこういう話聞くとさ、全然次元の違う世界の人達も、意外と俺らと同じ悩み抱えてるんだなって親近感湧くよね。
ナナ そうだったんだ…
良平 つまり、ナナが抱えてる悩みは、ポール・マッカートニーやレディ・ガガが抱えてる悩みと同じってこと。そう考えたら凄く素敵な悩みに思えてこない?世界のトップアーティストと同じ共通の悩みがあるんだから!
ナナ 先輩、凄く詳しいんですね。
良平 まあ、俺も自分のあがり症治すために、めちゃくちゃ勉強も練習もしたからね。

 ナナ、意外そうな顔

ナナ せ、先輩、あがり症だったんですか?
良平 意外だった?
ナナ ごめんなさい、先輩お得意の冗談にしか聞こえないです。
良平 おほーい!wさすがにその冗談はタチ悪すぎるでしょ!wまあ、今でこそこんな感じだけどさ、昔は本当に酷かったよ。国語の時間に当てられて一言も喋れなかったこともあったし。
ナナ 今の先輩からは想像つかないですね。
良平 頑張って克服したからね。
ナナ 私もなんとかして克服出来たら…と思ってるんですけど、なかなかうまく行かなくて…、先輩はどうやって克服したんですか?
良平 そうだなあ……ナナは、自分がどんな風になれたら一番いいと思ってる?
ナナ 私は…もっと話が上手で、面白い話が出来て大勢の前でも緊張せず話せるようになりたいんです。
良平 オッケイ。じゃあそうなる為にどうすればいいと思う?
ナナ もっと喋る練習をして、話すときはもっと上手に分かりやすく喋るように心がけて…
良平 半分正解、半分ハズレ。
ナナ え?
良平 よくプレゼンが下手な人に、「もっと分かりやすく丁寧にプレゼンしなさい!」って言う人がいるんだけど、俺はそれ、全く逆効果だと思う。(豆知識①)プレゼンで上手く喋りたいなら、分かりやすく丁寧になんて意識は捨てた方がいい。少なくとも喋ってる間はね。
ナナ ど、どうしてですか??
良平 例えばナナはどの季節が好き?
ナナ え?私は、……夏かな?
良平 へ〜なんで夏が好きなの?
ナナ な、何でって、皆でプールに行ったりするのが楽しいし、海に行ったり花火大会に行ったり、色んな楽しいことができるから…
良平 なるほど〜!確かにそうだよね!よし、それじゃあ今度は別バージョンでもう一度聞いてみるね。
ナナ は、はい。
良平 ナナの好きな季節って何?
ナナ 夏です。
良平 オッケイ。そしたら、なんで夏が好きなのか教えてくれる?ただし、具体的に、分かりやすく、丁寧に。
ナナ え、えっと、………………。
良平 難しいでしょ?つまり、「分かりやすく丁寧に」っていうのをあまりにも意識し過ぎてしまうと、「丁寧に喋らなきゃ」いけないっていう強迫観念が生まれてかえって緊張しちゃうんだよ。プレゼンの原稿や話す順番は予め考えておく必要があるけど、一度プレゼンが始まったらその事は全部忘れて、イモムシと喋ってる位の感覚でやった方がいい。
ナナ い、イモムシ……
良平 同じ部署の先輩にプレゼンの時は皆をジャガイモだと思ってるって人がいるよ。
ナナ でも、急には難しいです…
良平 まあ、そうだよね(笑)すぐには難しいと思う。でも言いたいことは、そんなに周りの人にどう見られてるかって事を気にする必要はないってこと。ナナが思っている以上に、(豆知識②)
周りの人なんて誰も自分の事を見てないもんだから、どうせ誰も気にしてないなら自分らしく好きにプレゼンすればいい。自由な気持ちでプレゼンする方が、結果的により分かりやすく面白いプレゼンが自然にできると思うよ。
ナナ ……クスッ
良平 ん?
ナナ そんな事言ってる先輩が、私の事をそんなに見てくれてたなんて、ちょっと嬉しいです。
良平 お困りの際は女性限定ですぐさま駆け付けます!いますぐお電話を!
ナナ プッ、何ですかそれ(笑)
良平 こないだ後輩が言ってて面白かったからパクった。内緒ね。
ナナ アハハ。

―1年後―

ナナ (…さぁ、自分らしく。)
進行 え〜、では、商品開発部の西野ナナさん。お願いします。
ナナ (自信満々に)はい!

終わり

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