ctlxy

草稿を燃やす ctlxy.com

葬式と電車内

もしいつか私が亡くなった時、おそらく葬式が挙げられるだろう。棺桶に入った亡骸は大抵目をつぶっている。その顔を見て参列者たちは、まるで安らかに眠っているかのように感じ、手を合わせる。

目をつぶっているということは、自分の周囲で何が起こっているかを一切感知しない、その現実の外にいるという様が見て取れる。葬式では、その目をつぶっているところから現世の外に行ってしまった私を読み取る。

電車の中だと目を

もっとみる

私というアルミの筐体

日差しがいいので公園で作業しようと思った。
芝生に座りこみラップトップを開けてみる。だんだんと作業に集中してくる。いま公園にいるという意識が頭から消えかけたその時。指先に何か気配を感じた。キーボードの間を子アリが歩いていたのだ。
それに気づいた瞬間。違和感にわなわなとなった。

私たちは道具を使って作業をしているとき、だんだんとその道具の存在が見えなくなっていく。
モニターやキーボードの存在が消え

もっとみる

水風呂の歌

水風呂。特にさくら湯。あのさくら湯の横暴なほどの湯加減、その極点にある、死の光を見せてくれる水風呂。
あたままでザブリとつかり。氷の上へ浮上するソ連の原水艦。熱せられた体幹は北極海に蝕まれてゆく。

小刻みな代謝は一点に収斂する。ドクンドクンとギアがゆっくりと沈降する。
思考が着陸するような感覚。おそらく脳内の電気抵抗がゼロになってゆき、超電導体になっているのだろう。

やがて息が舟をこぐように穏

もっとみる

地面からキャラクター

一元論的に言えば、この世界は数値でできている。木の分岐や葉緑体の量、石の組成と割合。たんぱく質の濃度勾配から生き物の前後、手足の形態ができ、とあるタイミングでこの世に生を受ける。変数が次々と渡されることで、自然は成り立っている。

この自然は地面があってこそ成り立っている。粉々になった星のかけらが集まり、そしてそこに太陽の光が当たったからこそ、最初の海が生まれ、最初の生物が生まれた。人間はその後に

もっとみる

カレーライスのそばの地獄

カレーライスが苦手な人がいた。どうしてと聞くと、混ぜるのが好きじゃないと言っていた。

飲食店でイヤホンをしながら食事をする人を良く見かけるが、自分はそれができない。食べ物をかむときの咀嚼音が耳に響き、それに気をとられてしまうからだ。そうなると自分が何を食べているのかわからなくなる時があって、それがとても気持ちが悪い。

食べ物というのは、見た目からすれば本来グロテスクだと思う。トマトの断面の生々

もっとみる