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実際、沼津で子育て どうなのか?(過去最長文注意)

3月下旬、たまたま沼津市が移住者のインタビュー動画(リンク)を上げていたので見てみると、子育てママを取り上げていました。

正直なところ、役所が作るものなので大本営発表しかできないのは仕方のないことなのですが、移住の経緯とか触れていないとどういう属性の移住者かとかつかめないので、物足りないかなあ…とはいえまあ仕方ないでしょう。やれる範囲ではやったのかなと。素人が聞く限界ですよね。

あと幼稚園よりは保育園に行ってる子のパパママは取材候補にいなかったのかな?仕事との両立が現代的課題かなと思うんですよね。

というわけで実際移住してきて、1歳4カ月、目下風邪ひいて落ち着いたと思ったら胃腸炎で全く両親に仕事をさせてくれない我が子の育児と仕事の両立を踏まえ、沼津市における移住者の子育てについて考えてみます。

※長々と10項目7500文字にわたる投稿ですので、項目ごとに気になるところから読んでいただければ幸いです。

 

No.1 制度は十分先進的、東部はほぼ横並び

まず見ていくのは、お金に関わること。補助など制度面はどうかということですよね。

静岡東部は長泉町の子育てが進んでいる…と言われるのですが、特徴的なのは第2子保育料無償化くらい。1人目を産むかどうかが子育ての境界線で、どこも医療費は無償化しているし、東部は横並び。沼津も決して劣っていないと思います。イメージ先行で沼津が選択肢として排除されるのはもったいないです。制度面は沼津に住むうえでは概ね心配ありません。以前住んでいた枚方市は医療費はワンコイン500円、これは後述の理由で無料よりも僕は行政として正しい姿と思いますが、沼津のように無償の方が親が楽ではありますよね。
沼津で特筆すべきは、育休明けの保育所入園の場合めちゃくちゃ猶予があるということです。育休明け翌月末までに仕事に復帰する条件で保育園に入所できます。
つまり4月に復帰予定であれば、3月に入園できるということ。加えて月末まで慣れ保育するための期間が長く確保でき、子供の体調も鑑みながら4月半ば復帰を目指すとかもできるわけです。翌月1日までにという自治体はそれなりにあるのですが、翌月末までというのはなかなか見ないです。 

No.2 最大のネックは保育所


これは沼津に限らずなのかもしれませんが、医療費無償を先行している自治体は率直に言えば政治的パフォーマンスなので、起きるのが「待機児童問題」。箱を確保せずに客を呼び込むのは、自治体にもリスクが大きいんですよね。煽りを受けるのが保育園探しの問題です。
沼津は自称ここ数年「待機児童ゼロ」なのですが、こちら4月時点の数字です。つまり一番枠に対しての子供の数が少ない時期に表面上ゼロになっているだけです。
事実、2,3月と落ちて、4月に受かりました。
結局のところ、子供が集まるのは災害の少ない駅北、特に金岡や門池なのに対して、保育園はかなり点在。むしろ駅南に多めな感じですので、駅北は超激戦です。
で、待機児童施設に入ると少し点数が上がるのですが、これ、3施設以上応募が必要でかつ待機施設希望中に選考過程にかかってしまうと(締め切り時点とは書いておらず時期はアバウト、役所の割にいい加減)希望園が変えられません。4月応募は遅くとも1月に締め切られてしまうので、2月のうちに3月選考落ちてしまって待機施設に入ると、4月応募の希望園を減らせず。僕の場合4月から職場復帰だったため、3月ならちょっと遠いけど慣れ保育のための余暇があるから行けるだろうという園に応募していて、4月にその縁に入園が決まったため、慣れ保育にかける時間がないという…役所とはもめました(苦笑)。
しかも、点数制の入園なのですが、生活保護世帯は2点、シングルマザーは3点加点で…都市部に多い企業主導型園児は1点、移住世帯は加点なしです。普通に育てようとすると入園するためには点数差で勝てません(笑)。
ちなみに我が家は広く園を応募していましたが、それなりに絞ると入れず、市から肩たたきがあり全然希望もしていない園を「どうですか」と提案されることも…。まあこれも実話です(笑)。
保育園は家から夫婦ともに無理せず通えるところを3施設ぴったり出すのがリスクヘッジ的には一番良い気がしますが、難しいところですね…。

No.3 子供向けの施設は駅北に集中、駅南でミルクは大変


これは駅近に早くイオンとか複合施設作れという話です(笑)。おむつ替えができて遊べるスペースというのは、主にららぽーと沼津、サンウェルぬまづ、各子育て支援センターで、特に遊ぶうえではサンウェルぬまづは無茶苦茶おもちゃあるし充実しています。ただご飯を食べることまで考えるとはっきり言って、ららぽ一択です。
沼津には水族館がありますが、頻繁に行くものではないですよね。土日死ぬほど混んで行くだけで疲れるららぽ沼津くらいしかなく…。
実はキラメッセの授乳室もそこそこキレイなのですが、駅がまだ簡単には南北を通れないので、駅南の商店街とかでイベントがあると、生後数か月の時は駅前の「ぽっぽ」でおむつ替えとミルクだけやりに行くというかなり非効率な行動パターンになります。
正直、イオンがイシバシプラザの跡地に…なんて話もありますが、僕個人としてはアーケード名店街の店をテナントとして入れる条件であのあたりを一気に複合型施設にして、サントムーン的なものにしてしまった方が、子連れ世帯中心に集客も利便性もよいものが見込めるのではないかと思います。
そういう意味では、清水町は遊べるところと着替えるところと食べるところがある意味集約されているのでうらやましいですよね。沼津市民も結局利用しているのはサントムーン…。
あと、沼津市の子育て窓口は基本的に忙殺されているのはわかるのですが、こういうソフトな子連れ向けの施設を案内できるように広報手法も含めて見直さないと、サンウェルぬまづ含めせっかくの宝の持ち腐れと思います。僕が教えてもらったのは「沼住クエスト」さんにお邪魔したときでしたからね。行ってなかったら知らないままでした。

No.4プロパン地雷の光熱費と優しくない家族向け住宅の家賃

子育てしていく上では基本的に手当てで補えないくらい出費が出ます。これが未婚率につながっているわけですが…。その上で、ぬまづ暮らしで一番高さに驚いたのが、光熱費、特にガス代でした。なんせ、子供がいると風呂に入るのも一人増えるし、料理も子供分を分けるため、調理時間も伸びます。
そして沼津は絶妙に静岡県内でも光熱費が不利です。なぜならば富士川以東は東京電力で原発動かせず割高、市内はかなりの地域でプロパンガスを利用、自由競争と言いつつ賃貸は丸抱えのプロパン業者なので、殿様商売です。(詳細はこちらの記事
電力は覚悟していましたが、ガスはやばいです。地獄を見る高さです。大阪にいるときよりも光熱費は高く、首都圏以外からだと光熱費はプラ転、下手すると首都圏からでもプラスを覚悟しなければならないかもしれません。
後は家賃。一人暮らし向けは安いところも多いですが、家族向けは、さすがに子供もおり、洪水や氾濫の危険性を無視するわけにはいきませんし、最低限子供の部屋は確保する必要があります。で、結局持ち家が多いのもあり、家族向け賃貸は少ないし、まあまあ高いです。
今13万円なので補助で半額補っていますが、大阪時代は枚方で10万円。正直実質そこまで生活がよくなるわけではありません。家族向け賃貸は安くはないという認識でよいと思います。
また、移住者向けのサービスというのがあるかというと、ありません(笑)。賃貸仲介も管理会社も正直足下見てくるなあというところも多いかなと思います。移住者に本気で向き合ってくれるところもありますので、僕は利用できなかったけど、そこは頑張って探しましょう。
うちの管理会社深夜対応ない地元業者で、管理する気ねえじゃんという…。 

No.5病院、薬局は意外と困らない?産院は少し不安も…

ちょっとネガティブ気味な話題が多いので、少しポジティブな話。小児科ですね。最近小児皮膚科を専門とするクリニックができて、子供は皮膚の病気も多いですから本当に助かりますね。予約とれないけど(笑)。枚方時代は子供向けのものとか割と置き方控えめのところが多かったですが、沼津の小児科は子供にとってパラダイスみたいにアンパンマンとか絵本とか置いてあります。
しかも先生は優しいだけでなく、かなり診察の内容の説明が丁寧なんですよね。スタッフの方々も優しい印象です。うちの妻はいい加減な耳鼻科に1度当たってしまいましたが…小児に関しては本当にどこも素晴らしい先生だなあと思います。本当に子どもは病院にかかることが多くて大変なのですが、意外と病院に行くと心も落ち着きます。
あと病院は結構どこも予約システムとかがしっかりしていて、全くDX対応の遅々として進まない役所の子育て窓口とは好対照ですね。親世代もほぼデジタルネイティブなので、さっさとDX化してほしいものです。
薬局は、この間ついに「はなまる薬局」さんで処方してもらう機会があち、我が子はAqoursが見れて大満足(笑)。めっちゃ歩き回ってましたね…すみません。小児アレルギー専門と伺いましたので、今後定期的に利用させてもらおうかなと思っています。僕は調剤薬局については素人なので、何が良いとか断言できるものではないですが、やっぱり薬局にラブライブがあるのは楽しいので、「また今日も子供に色々時間つぶされた畜生」っていう感情が浄化されていきます…(笑)。

で、まだ経験していないものの不安は産科ですね。というのも、大阪に住んでいた時は口は悪いは腕がいい産科の先生(うちの夫婦は好きだったw)のところで無痛分娩で無事出産させてもらったのですが、意外と近場に産科が多かったのです。沼津はどこのクリニックも車で行くところにあり、しかも3軒くらいでかなり限られるうえ、病院(クリニックとは違い大病院の意)だと面会制限が厳しくコロナ禍以降は正直病院出産はなしですね。
今からそんなことはちらっと不安に思っています。

No.6 飲食店は駅前の「VANSAN」に期待

子供を連れて外食に行くこともままあり、大食漢の僕は奥さんに迷惑をかけるわけですが、子供が遊べるスペースなんかがあると奥さんも僕も気楽にご飯を食べれて本当にありがたいんですよね。そういった店は近隣市に比べると少し少ない気がしていて、またそういった店を網羅してまとめたものがもっとあれば普通に金出してでも買うと思うのですが…難しいですかね。
個人的には駅前に昨年オープンしたイタリアン「VANSAN」さんがおすすめです。子供向けに離乳食の提供サービスもあるし、普通にパスタも食べれそうなものがあり、飲み放題で子供向けのものも。キッズスペースも広くはないですがちゃんと子供を楽しませられるものがそろっていると思います。子連れ向けの会員サービスもありますし本当に良い店ですね。
あとは設備は少ないですが、めっちゃおいしいし子供向けに対応もしてくれている沢田のラーメン屋「次男坊」さんも好きです。
ただ、沼津全体では家族連れがいる地域にそもそも飲食店があまりなく、あってもチェーンです。せっかくクラフトビールとかのお店も増えて、こじゃれた店もちょくちょく出店しており、個人店こそ、キッズスペースがあると街の飲食店として使いやすいので、増えてほしいですね…。
枚方にいたころは、住んでいる地域が子連れが多く、キッズスペースがあったり、子供用の椅子どころかおもちゃも用意されていたりする店があり、子連れでも気軽に楽しんで飲みに行けました。需要は少なくないと思うので、特にこじゃれた居酒屋とかなんか今風の物を作りたい飲食店主の皆さんには期待しております。

No.7一番の強みは街の人たちの子供への暖かさ

条件面や設備面も当然大事なのですが、その街の人たちが子供や子連れ世帯をどうみているのか、またどう感じるのかという面も大事かなと思います。そういう意味では、沼津の人は基本的に子供にやさしい人が本当に多いなあと思います。
我が子は割とアピール上手ですが、「かわいいねえ」を言ってもらわない日はないんじゃないかというくらい、街に出れば優しさに触れる機会が多いです。ちょっとした会話が生まれるだけでも、親としては気が晴れる思いになります。
枚方のときは子連れが多すぎて、大阪だから優しさがないわけではないけど、子連れ同士だと自分の子が優先なので、そこまで構ってもらうことはありませんでした。沼津に来てからはわが子を見て笑顔になってくれる人がこんなにもいるんだなあということに、幸せと、普段腹立つことがあっても許せる気持ちが生まれる気がしますね。
割と地方の人にありがちな一見するとつっけんどんに見えるけど実は気にかけてくれているという人が多い土地柄ですが、子供がいると最初から距離が近くなるので、会話しやすいなというのも感じます。 

No.8 オタク教育(笑)は楽しい!沼津に子育てオタク増えないと困るワケ

ラブライブ!サンシャイン‼の聖地で、ラブライバーが子育てする一番の魅力、それは街中でいくらでもAqoursを見れるので、子供を洗n…教育しやすいということですね(笑)。
もともと100周年ポスターを見せて、推しを選ばせていたりしたのですが、JR沼津駅のAqours看板を見て、「あっ」とか「ぱぱぁ」とか言ってるのを見て、順調にラブライバーを育てている実感がでてきます(笑)。
あえて横柄な物言いをしますが、僕は聖地移住者こそ子育てした方がいい、なんならできる人はすべきじゃないかと思っています。
そのために伴侶を探す努力が大変だと思いますが、そのあたりは僕もめっちゃ苦労はしたので悩みは共有できます…。
で、なぜそう思うか。政策決定に与える力がないと、聖地移住に役所が本腰を入れてくれないし、自治体再生にもつながらないと考えるからです。結局のところ、観光から巡礼(リピート)、巡礼から移住という好循環を生み出しているものの、沼津市の移住定住PRの類を見ていても、なんかキラキラ系とか自然派的な意識高い系を狙った上滑りをしているんですよね。
キラキラ自然派移住みたいな妄想世界の住人が沼津に来たらきついだけだと思うのですが、結局地元に収まっちゃった人が役所は往々にして就職しています。特に東京に下手に近く、東京から人を呼びたがるし「5年落ちの東京」を移住定住施策でも実現しかねない危惧があります。それでは、ミスマッチを生みかねず、また、利便性だけで来られても子供世代まで沼津に地元愛を受け継いでくれることはないのではないかと思うのです。
あくまでも沼津という街、人、その食などに触れて魅力を感じてきてもらうことこそが転入ではない移住の魅力だと思いますし、それを体現する一つの形が聖地移住なのかなと思います。
ただ、独身ばっかり、特に男性ばかりきても、中年でこどおじになったら正直扱いづらいです。地域に何かしら貢献する活動をされている方はともかくとして、同じようなレベルならまあ子連れも来てもらったらとりあえず活気が出ているように見えるし子供の数も増えることになるし…別にオタク来なくていいやとなってしまうんじゃないか、政策もそちらに優位になるのではないかという危惧はあるんですよね。
別に結婚も出産も自由なのですが、現実問題として長いスパンで沼津という街が好きで、そのために何か貢献できればという思いは聖地移住者には少なくない思いだと思います。本来はめちゃくちゃ良い移住の形なのに、独身というだけで政策決定の中枢から避けられるのはもったいなく、下手に意識高い系の街になろうとしてもあくまでも型落ちの東京にしかなれないので、沼津という街を親子で愛して、親子で考えてくれる、そんな素敵な形を生み出せる一つの移住者の類型として、子育てオタクは是非増えてほしいなと思っています。

No.9日本一の高い山と深い海、自然豊かな広い公園…定番の魅力は言及を避ける理由

先の沼津市の動画、不満なのはなぜ沼津?というところがないんですよね。結局なぜ沼津に来たかという理由がないと話が始まらないと思います。
実際後付けで富士山がとか、海の幸がとか、ありきたりの魅力(本当に好きならそれでいいけど)を語ったり、公園が広くて遊具があっていろんな動植物が見れて…みたいな典型的な田舎っぽさを売ってみたり、これってわかりやすい移住理由だけど、漠然としてて正直説得力がないんですよね。
別に富士山はどこでも見れるし、自然を本当に感じたいのなら沼津じゃない気もしますし。
で、肝心の子供にとっては海は海に過ぎず、富士山は少し大きくなるまで認識すらできません(笑)。自然の中で子育ては十分条件なんですが必要条件にはなり得ないなと思います。だから沼津での子育てを語る上で魅力として強調するのはちょっと違うなあと思うのです。
公園の遊具についても門池公園の遊具、ほぼうちの子遊べないし。公園も我が家は絶妙にどこも遠いです。ぬまづ暮らしにおいてこれらをメインに打ち出して、変に「便利だし自然もあるからいいか~」というノリで人を集めても定住への不安や、住んでからのギャップに苦しむことにもつながるのではないかなと思います。

No.10 沼津の街が好きで(好きになって)移住した方がよい

No.9で指摘した点もひっくるめてにはなるのですが、沼津の街が好きな人、好きになってきた人が移住するのが一番良いという当たり前の結論が家族移住、子育て移住にも言えると思います。
結局、純粋に子育て環境だけで言えば、沼津である必要はないです。悪いわけではありませんが。僕も保育園入園ではえらい苦労しましたし、今もいろいろ苦労しています。多分純粋に自然のなかでの子育てに関心があって…で移住していたら心は折れてると思います。
つまるところ、ラブライブ!サンシャイン‼がつないでくれた縁から始まり、沼津の街が好きで毎日沼津の魅力を何かしら街を歩くたびに発見することが楽しいので、子育てがうまくいかないときでも、この街でAqoursが育ったことに思いを馳せつつその空気を感じ、街の変化を味わい、街の目玉を楽しみ、それが楽しいから住めると思っています。
母子手帳ラブライブコラボのデザイン作ってくれたら、子供できないと使えないしいいんじゃないですか?(笑
という半分冗談も交えつつ、聖地移住×子育て移住をお勧めできるような環境整備が進むよう、沼津市役所には、ハードよりもソフト、制度よりも細かなサービスの充実を求めたいですね。

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