体当たり人生マニュアル

世の中には知らない事がたくさんある。

知らなくていい事もあるし、知りたくない事もあるし、経験でしか知れない事もある。

しかし、生活する上で知っといた方が良い事が山ほどあるのに必要な事を教えてもらえない、あるいは知ろうせずに大人になる場合も多い。

自ら疑問を持ち知らない事に気づける人ならさほど問題ないが、ボヤボヤ生きてる人間にはそもそも疑問を持つ概念がない。

つまり、問題にぶち当たるまで気付かない。

例えば、排水溝の構造、洗濯槽や排水ホースの外し方、浴槽にはエプロンがあり外せる事、炊飯器の内蓋は洗う事など生活の知恵的なものは知らなくてもまぁ、生きてはいける。

けれど、知ってたらもっと早くやったのにとゆう事も多いし、知っていてやらないのと知らないでやらないのは大きな差がある。

知らない事が多すぎる私はとにかく体当たり人生で
当たり前に失敗が多い。

できる事なら誰にも経験しないで頂きたいダークでハードな痛み経験や、歯列矯正にタトゥーやボディピアス
煙草のフィルターで皮膚を焼くなど、痛み=気合いでどうにか!という謎の根性論で生きてきたのでビビりなりに痛みには強い方だと自負している。  

今思えば、何で?の連続だが過ぎた事は仕方ない。

そんなとても我慢強い私が本気で恐れているのが
産婦人科の体がん検査だ。

まず、まな板の上の鯉状態から機械で足パカされる工程とポージング自体に抵抗感がすごい。

構造上仕方ないんだけど、羞恥ポーズ第二位。

何故に自ら下半身を晒し快楽の代償でもないのに
臓器を機械でカチャカチャされなきゃいけないのか...

子宮に限らず内部掻き回す系は全部怖いから
胃も大腸も全部採血で解決してほしい。

そんな事を呟いたら、どうやらあるにはあるらしい

何となく噂で耳にした程度だが費用が高いらしく
目の前の生活で精一杯なのでなるたけ安く済ませたい。

やはりお金は大切で、検査代を払えないと病気を知る権利すら与えてもらえない。

検査を後回しにした事により取り返しのつかないケースだっていくらでもあるし、検査をしても見落とされてしまうケースも...

全ては自己責任と運という世の不条理。

私は元々生理不順なのもあり子供を欲しくなった時なるべく後悔しないよう、若い頃からわりとマメに検診に通っていた。

超音波、頸がん検査は定期的にし三十過ぎて初めて体がん検査をした。

頸がん検査は定期的にしてるけど、そこそこ痛い。

我慢できなくはないけど、できればやりたくない。

体がん検査はあれより多少痛い位かな?とナメきっていたら本当に、地獄だった。

検査自体は頸がんと同じくスタートし不快な時間が早く過ぎるのを祈った


【おや...あ、無理かも...え...?待って無理だわこれ耐えられない!!!無理無理無理無理痛い痛い痛い!!!】


冷や汗かきながら心で叫んだ

恐怖で上手く声が出せない。
そもそも大の大人だし叫ぶ訳にもいかない...

手の甲をぐっと爪で引っ掻いても耐えられず肘置きの様なものを全力で掴むとどうしても力んでしまい刺す様な体験した事ない痛みだけが続く

イメージ的には拷問、命と天秤レベルで安心の保険と
引き換えにできる様な痛みではない。

目を血走らせながら何とか検査を終え、結果は特に問題なくもう二度とやらないと誓った。

それから数年後の定期検診、けろっとした感じで
そろそろ体癌しときましょうか〜と言われ固まった。

二度とやらないと誓ってはいたが、多少の不安要素あるし年齢的にやはり気になる...

しかもちょうど転職前で仕事もなく、存分に休んでられるし検査するならばチャンスだ。

あの時は初めてで動揺したのもあるし、次はうまくいくかもだし、未来を考えればやっておいて間違えない
得意の根性みせるなら今だ。

意を決し二度目の体がん検査の予約をいれた。

前日からひどくブルーだった
熱いと分かっていて熱湯に手を突っ込むのと同じだ全く意味が分からない。

知人や知らないインターネットの人の体験談をみて
なるべくリラックスし下半身を力ぬく練習をした

まず力を抜かなくては話にならない...

あの時は力みすぎたのかもしれないしきっと今回は上手くやれる。

あまり深く考えないよう意識を逸らし、厚手のタオル地のハンカチを握りしめて病院へ向かった。

病院に着くと妊婦の方が何人か居て、きっと出産に比べたらこんなのマシだよね?この位は皆普通に耐えれて当たり前だよね?たぶん私が大袈裟なだけ、よし大丈夫。

心を整えると覚悟を決めてあの椅子に座った


全然、大丈夫では無かった。


前回を上回る痛みに、かなり序盤から騒いだ

もう大人だからとかそんな余裕はない。

前回より成長したのは声が出せた事位でむしろ次の痛みが予想できてしまう分、恐怖で足が突っ張る。

力をぬこうとしても痛みと反射でどうしてもぬけない...

女医で人気の予約がなかなか取れないで有名な病院だ、突然の出産タイムに予約しても待たされるのは常で何より後がつまっているので私の検査ごときに時間くってる場合では無さそう...

終いには看護婦二人が足を押さえ、たかが検査が
出産現場のような壮絶シーンとなった。

「出産はこんなもんじゃないわよ!!」

「足!力ぬいて!出産より全然マシだからこの位は耐えれないと、赤ちゃん産めないわよー」

ならば、産めなくて、結構です!!!!!!!

そう心で叫びながらもう耐えれそうにもない

「すみません...もう無理です」

私のストップで検査は中断となった。

結果のでない検査代を払い、領収書握りしめながら
病院を後にした。

あれに耐えれなきゃ出産は無理なら私には無理かもだし、もう検査いいや...

皆はきっと検査くらい我慢できてるはずなのに...

そう思うと実に情けなく、安心を得るため行ったのに数日間不安と恐怖でパニックで落ち込んだ。


それから多少の出血や気になる事があっても検査が怖くて病院へ行けず、その度に不安が募る。


そして今回、見過ごせない量の出血がありお腹も痛い...
これはさすがにマズイと思いながらもトラウマによる憂鬱で迷いに迷い、朝一で病院へ電話した。

長年診てもらっている病院を初めて変えてみた。

親切な女医さんで人気だし不満も何もないけど変えてみたら痛みが多少違うのかも...という淡い期待だけで。

家を出る前に冗談抜きでガタガタ震え、恐怖で下腹部の様子がさらにおかしい。

もし体がん検査するなら麻酔とか何か相談しよう...

気になる事は度々あったが検査痛かったのが怖くて中々これなかった事を告げ、いざ検査スタート

覚悟してきたけど、やっぱり怖い

今まで何とかできてた頸がん検査ですら力んで上手くいかず難航してたら、看護婦さんが優しく手を握って励ましてくれた。

大の大人が怖がっていても呆れた感じもなく、怖くて当たり前みたいに接してくれて泣きそうなにる

ようやく頸がん検査が終わりいざ体癌、となった時医師の手が止まった

「あ、入ってかない!無理だね!はい、おしまい」

え......?


あの恐怖の検査をしなくていい安堵とそもそも検査すらできない不安で急いで服を着るとすぐに診察室のドアをあけた

「あの...私が力んでるから検査ができないのでしょうか?」


「いや違うよ、出産してないからそもそも入りずらいんだよ」

え......

そんなの、知らなかった!!!!!

そら痛い訳だ、と納得しながらずっと検査すら我慢できない自分を責めていたので少しホッとした。

今も書きながら思い出しては下腹痛むし、実際検査結果が出るまで何も安心はできないけど...

【体がん検査、出産未経験、痛くて当たり前】


痛みは個人的あるだろうし、何とも言えないけど
体当たり人生マニュアルにまたひとつ追加された。
























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