井川広太郎

映画監督。2006年、『東京失格』で監督デビュー。2015年に監督・脚本を担当した『キ…

井川広太郎

映画監督。2006年、『東京失格』で監督デビュー。2015年に監督・脚本を担当した『キミサラズ』を発表。2022年、監督最新作『終末の探偵』が全国劇場公開。

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映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』@試写

日本の片隅に突如として現れた化け物が巻き起こす狂乱を描くホラー・エンタテインメント ゴアでスプラッターなのは苦手であまり観ないんだけど、この映画は怖いのに笑えるどころか、驚くことに感動して泣いてしまう! タイトルからして真っ当なホラーではないわけだが、イマジネーションの洪水に飲み込まれ、奇想天外な展開に仰天し、まるで悪夢を見ているかのように恐ろしいのに愉快 血とか内臓とか飛び散りまくる中で歌って踊るし、途中まではなんでこんな映画を観せるんだ…って思ってたけど、最後にはラブレターをもらったかのような気持ちになった 自分は異物であるという自覚と哀しみ、孤独だからこそ辿り着ける優しさと愛がまるでティム・バートン! コイツはすげー映画だ!悪魔に感情移入させるなんて!! 2024年2月23日(金)全国ロードショー! 作品公式サイト https://harawata-ikenie.com/

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      監督作『終末の探偵』DVDリリース決定!

      私が監督した北村有起哉さん主演のハードボイルド・エンターテインメント映画『終末の探偵』、 2023年9月25日にセル・レンタルDVDがリリースされます! セル版はメイキングほか豪華特典映像付きで、ジャケットの北村さんがめちゃくちゃカッコイイです! 是非チェックしてください! 『終末の探偵』DVD詳報 https://t.co/iiLAIyigX2

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        映画『あしたの少女』@試写

        女子高生が研修先での勤務中に自死に追い込まれた謎を刑事が追う社会派のドラマ とても良かった 韓国では高校生が研修と称して一般企業で勤務する制度があるらしいのだが、その弱い立場に漬け込んで過酷な労働を強いている実態を暴く 目先の利益のために弱者から搾取するという社会構造は形を変えつつ、どこの国でもいつの時代にも存在するが、たとえどんな事情や理屈があっても、大人たちが寄ってたかって子供を追い詰めるというのは到底受け入れがたい この映画の力強さは、単に物語として描くのではなく、少女が悩み苦しめられていった状況や経緯をルポタージュのように詳細かつ緻密に紡いでいくところ 動画配信やメッセージアプリなどを利用する今の若者の日常や価値観や友人関係はどうだったのか、職場でどのように逃げ場を奪われネチネチと追い詰められていったのか、親や教師たちはそれにどう対処したのか、そして少女の悩み苦しみ揺れる心理や行動をつぶさに描く 煽ることなく感情的にならず分かりやすさに屈せず、現実を静かに淡々と追う描写がこの映画の根幹をなしていて、少女の境遇とそれを辿る刑事という表裏を為す構成が見事に効いている それを含めた全編に、実際の事件に真摯に向き合い、その上でどうしても作らねばならないのだと覚悟を決めた製作者たちの勇気がみなぎっている 一つ一つ誠実に丁寧に積み上げていくからこそ、ラストでたどり着く映画的な瞬間に押さえ込んでいた想いが溢れ出し、グッと胸が熱くなる ペドゥナの素晴らしい演技に圧倒される 2023年8月25日よりシネマート新宿ほか全国公開 公式サイト https://ashitanoshojo.com/

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          監督作『終末の探偵』レンタル配信拡大!

          北村有起哉さん主演のハードボイルド映画『終末の探偵』が本日、2023年7月1日(土)より、 Amazon Prime Video、DMM TV、FOD、Google play、Happy動画、 Huluストア、itscom 、JCOMオンデマンド、milplus、Paravi、RakutenTV、 TELASA、U-NEXT、ひかりTV、ビデオマーケット、などでのレンタル配信が開始されました。 この機会に是非ご覧ください!

        映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』@試写

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          映画『レンタル×ファミリー』トークゲストとして登壇

          渋谷ユーロスペースにて公開中の映画『レンタル×ファミリー』(阪本武仁監督)の6/18(日)20:50回上映後に、俳優で映画監督の牛丸亮さん、そして阪本監督と共にトークゲストとして登壇致します。 塩谷瞬さん主演の"人間レンタル屋"を巡る奇妙なドラマ、この機会にぜひチェックして下さい! 映画『レンタル×ファミリー』公式サイト https://rentalfamily-movie.com/

          映画『レンタル×ファミリー』トークゲストとして登壇

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          監督作『終末の探偵』配信開始!

          私が監督した映画『終末の探偵』、本日6月1日よりU-NEXTでの独占レンタル配信が始まりました 北村有起哉さん主演のハードボイルド・エンターテイメントです 子供の頃から憧れていた人間味があって存在感のある探偵、哀愁を纏った等身大のヒーローが活躍する映画をついに撮ることが出来ました 今の時代ならではの探偵映画になったと思います とにかく北村さんがメチャクチャかっこいいので、是非観てください! U-NEXT『終末の探偵』 https://video.unext.jp/title/SID0085091/

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          映画『縁路はるばる』@試写

          恋人を作るために香港を東奔西走する男の姿を描くラブコメディ アプリ開発をしている男は長らく恋人がいない 勇気を出して気になる相手にアプローチすると彼女は香港の僻地に暮らしていた 遠路はるばる会いに行くもののあえなく撃沈するが、幸運にも次の候補が浮上する しかし、なぜかその女性も遠方に住んでいて… 異様なまでにポップで軽いテイストなのだが、それは劇中でも言及している通り2019年以降の厳しい状況の反動らしく、香港の今を感じる意味で興味深い 映画で地図を作るという王道のアイデアも、劇中のアプリの画面を活かして地図そのものを表示するという今ならではのスタイル 個人的には香港旅行した際に訪れた場所やその近辺が次々と映って楽しめた 冴えない主人公の前に次々と美女が登場するのには嫉妬を禁じ得ないが、これぞ香港映画という華やかさ 何より、これからの香港は今までとは異なる表現意欲を得て、新しい作品や作家が出てくるのだろうというその息吹を感じる 5月19日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開 作品公式サイト https://enro.myprince.lespros.co.jp/

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          映画『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』@試写

          第二次世界大戦下の現ウクライナ西部でウクライナ人、ポーランド人、ユダヤ人の家族たちが支え合って生きる様を描くドラマ ”キャロル・オブ・ザ・ベル”は映画『ホームアローン』などでも使われたクリスマスソングとして有名だが、元はウクライナの民謡でウクライナの文化的なシンボルですらあるとか その歌や音楽を支えに、戦火で親と離れ離れになったポーランド人やユダヤ人の子供たちを預かり育てるウクライナ人夫婦の苦難が描かれる ほとんどが家の中の出来事でありながら壮絶な試練の連続に、ドイツそしてソ連と、大国に蹂躙され続けるウクライナの困難な歴史が垣間見える いずれにしろ戦争で辛い思いをするのは庶民であり、無力な子供たちが最も苦しめられるのだと痛感 ってか今もだぞ!と受け入れがたい現実とシンクロして心苦しい 劇中では恐らくウクライナ語、ポーランド語、ドイツ語、ロシア語などが入り乱れているはずで、それらをハッキリ聞き取れればきっともっと楽しめるんだろうな 7月7日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開 作品公式サイト https://carolofthebells.ayapro.ne.jp/

          映画『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』@試写

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          映画『私のプリンス・エドワード』@試写

          彼氏にプロポーズされた女性が偽装結婚していたという過去を隠蔽するために奔走するドラマ とても面白かった! 偽装結婚という重くなりそうなモチーフをラブコメのノリで描きながら、女性の自立という現代的なテーマとそこに対応し切れていない現実をあぶり出していく手腕が見事 香港の女性が、交際している男性からプロポーズされる 喜びつつも彼女には誰にも言えない秘密があった それは学生の頃に金欲しさに、中国⼤陸の男と偽装結婚していたこと 彼氏と結婚するために、その偽装結婚をキッチリ抹消しておきたいのだが… 軽いノリで始まりながら、結婚観や法や制度といった国や時代によって変化するものを行き来することで、あらかじめ決められた”幸せ”に対する疑問を投げかける この映画は2019年に香港で公開されたようだが、いま見ると中国という国と”結婚”することに対する香港の人々の戸惑いとシンクロしているようにも見える だが理屈っぽさは感じさせず、一人の女の真剣すぎるからこそドタバタで滑稽な姿にワクワクしハラハラして引き込まれる 香港の街の生活感も香り立つようにムンムンで、自由とは何なのかを問う社会派の切り口を持ちつつも気軽に楽しめるエンターテイメントとして秀逸 作品公式サイト https://enro.myprince.lespros.co.jp/

          映画『私のプリンス・エドワード』@試写

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          映画『ノートルダム 炎の大聖堂』@試写

          2019 年に起きたノートルダム大聖堂の火災の一部始終を再現して描くドラマ。 ドチャクソ面白い。 緻密な取材に基づいたリアリティでドキュメンタリーのような臨場感がありながら、ハラハラドキドキさせる極上のパニック映画のようでもあり、なによりジェットコースターのようなスピーディな展開と豪華絢爛なサービス精神に溢れた完全無欠のエンタメ映画なのである。 序盤では信じられないようなアホな偶然が重なり合ってこの事故が発生していく様をつぶさに見せることで行き詰まった社会の限界を徹底的に糾弾

          映画『ノートルダム 炎の大聖堂』@試写

          プロフィール

          井川広太郎(映画監督・脚本家)1976年、神奈川県出身。一橋大学在学中に仏文学者野崎歓の下で映画批評を学ぶ。同時に、学内のサークルにて学生映画の制作を開始。大学中退後は、自主映画の活動を展開。 2003年に劇場公開された『眠る右手を』(白川幸司監督)にて撮影を務め、続く2004年に劇場公開された『マチコのかたち』(白川幸司監督)でも撮影を担当。 その他、多くのインディペンデント映画の撮影を担いながら、フリーランスで映像制作業務を開始。 2006年、自ら脚本を執筆した監督作『東

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