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育児休暇は、いつ取るの?


2021年、夫が3か月の育児休暇を取得した。


え?1週間ではなく?1カ月でもなく、3か月? 


 これは私にとって大きなサプライズだった。
 基本的に仕事人間の夫は、平日の夜も土日もPCやスマホに向かって仕事をしている。そのうえ人付き合いがあまり得意ではないし、今の会社に転職してからまだ一年未満。 

 だから、育児休暇を取得してくれたら助かるんだけどなぁ、と思いながらも私は強くリクエストできなかったし、もし取得できたとしても1週間くらいかなぁ、なんて考えていた。

そんな彼が3か月の育児休暇を取得したのは、子どもが生まてもっと一緒にいたいと気持ちが変化したとか、私が介護と育児・家事で想像以上に辛そうだとか、会社に育児休暇制度があるからとか、もちろんいろんな理由がある。 

 けれども彼に「どうして取得しようと思ったの?あんなに躊躇していたのに」と聞いてみると、意外だけど単純な答えが最初に返ってきた。


「いつ休むの?って聞かれたんだよね」


え?それだけ? 正直なところ、何か大きな事件のようなものがあって彼の心境が変わったと私は思っていた。 けれども実際に彼の背中を押したのは、登場人物2人の小さな出来事。週次の1 on 1 meetingで上司が夫に言った一言。 

 取得するの?しないの?という質問ではなく、取得が前提の「いつ?」で始まる質問だった。


 夫は、こう質問されたことで「この会社は育児休暇が当たり前のカルチャーなんだ」と一瞬で実感したし「取得したい」と素直に言えたらしい。 

 育児休暇は個人の権利とはいえど、誰かの迷惑になるかもしれない、数か月も休むと自分の居場所がなくなってしまうかもしれない。そんな不安を抱えていると、言い出しにくいと考える人も多い。 だからこそ取得していいんだよ、当然なんだよ、と伝わるようなコミュニケーションがあると、安心して踏み出せる。 


 もちろん休暇制度があるのが大前提だし、その運用のためには経営層や上司から変化しないといけない。 けれども、誰もがもっと働きやすくするためにできることって、思っていた以上に簡単で、たくさんあるのかもしれない。 目指す理想があって、実現のための制度があって、一致した言動がある。その積み重ねが、文化につながる。それを実感したストーリーだった。

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