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私と上司の愛について

私と上司の愛について、この1年にあった出来事とともに語らせてほしい。

私にとって「上司」とは

これまでの人生で、私にとっての良き上司とは、放置してくれる人のことであった。
私のすることにあれこれ口を出さず、やりたいようにやらせてくれる。
良く言えばお任せ、悪く言えば丸投げ。
近くで見てはいないので、トラブルがあってもサポートはできないし、私の仕事をアウトプットか数値でしか評価できない。
マイクロマネジメントされるような年齢でも職能でもないので、そういうものだと思っていた。

そして40になる年に、7年ぶり5回目の転職をした。
1次面接で今の上司と出会った。面接は育児の話やら共通の知人の話など、雑談が半分を占めた。めちゃくちゃノリが合うな!という印象。
シンプルに一緒に働いてみたいと思った。

転職ボーナスタイム

転職してすぐは、良い意味でも悪い意味でも注目されるため、自分は何者であるのかをアピールする絶好のチャンスであり、ボーナス期間でもある。

7年ぶりの転職で私はものすごく頑張った。めちゃくちゃに頑張った。ハイスピードでインプットしてハイクオリティでアウトプットした。積極的に発言して議論して、たくさんの仲間を作った。
入社2週間目で「何年目ですか?」と聞かれるほどの、怒涛のオンボーディング期間だった。

上司も働きぶりを評価してくれて、はじめての評価でグレードが上がった。
私は有頂天だった。

いつもの失敗をやらかす

しかし気づかないうちに失敗をしていた。
いつもの事ではあるが、物事を合理的かつ効率的に進めようとしすぎて調和を乱していた。そして目立つと敵を作りやすい。
私は終わったと思った。今までもそうだった。一度でも失敗するとアウトだ。
何があったかなど背景は考慮されず、揉め事を起こした使い勝手の悪い年増の女など一発退場だ。

しかし、私の上司は違ったのだ。

私の大事なあなた

あなたのことを見ていた、周囲の人にヒアリングもした、決して間違ってはいなかったと思う。
ただし周囲との相性の問題はある。私の大事なあなたが評価されない環境で辛い思いをするのは、私が我慢できない。だから異動してほしい。

泣いた。いや大人だし仕事中なので泣かなかったが、心は涙の海だ。
今までそんな風に、私が起こした面倒事に向き合って、全力で肯定してくれた上司はいなかった。
一生着いていきます!と誓った。

突如組まれた1on1

その後異動したものの、上手く気持ちの切り替えができず、なかなかトップスピードが出なかった。
移動した先はタレントが揃っている比較的安定した組織で、穏やかに働くにはちょうど良かったものの、アドレナリン中毒の私は徐々に物足りなさを感じ、淡々と仕事をするようになっていた。

そんなとき、突如1on1が組まれた。
「たるんどる!給料泥棒!」と怒られるのかと予想した。
しかし蓋を開けてみると、ぶっちゃけ物足りないんじゃない?というようなことを問われた。お見通しである。
ここ数ヶ月会話していなかったし、表向きは毎日元気に仕事をしていたにも関わらず、である。

SOSだと思った

なんでも、定期的にやっていた組織の健康状態を測るサーベイツールで、チームの満足度が徐々に下がっていたことから端を発したとのこと。

誰が下げているのかまではわからないが、この数値が下がるということは、誰かがSOSを上げているということだ。
私はあなただと思った。
心が涙で大洪水である。

上司といってもなかなかの大企業の執行役員で、部下は数百人いるだろう。
私だけが特別なのではない。この人はひとりひとりに対してこのきめ細やかさで接しているのかと思うと気が遠くなる。
しかも仕事はピープルマネジメントだけではない。プロダクトや経営に関する課題も山盛り抱えているはずだ。
そのキャパシティの広さは想像を絶する。

組織を支える愛

組織を支えるのは、人に対する愛だ。
子供でも恋人でも部下でも、愛が伝わらないと人は離れていく。
一人一人と向き合って、その人が欲しい言葉で、あなたのことが大事で愛していると、伝え続けるのだ。

ちなみにこの上司、ただただ甘やかしてくれるわけではなく、ぬるいアウトプットを上げたりするとちびりそうなくらいに怖い。
そんなところもたまらなく愛がある。

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