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映画レビュー『カラオケ行こ!』(2024)ヤクザが中学生にレッスンを受ける?



ヤクザが中学生に
レッスンを受ける?

原作のマンガが以前から
気になっていました。

(以前、『アメトーーク!』の
 「マンガ大好き芸人」で
 紹介されていた)

それが映画化して、
今年の1月に公開され、
もう配信になっています。

最近は配信になるのが
早い作品も多いですね。

そんなわけで、
原作も読んでいないのですが、
本作を観てみました。

「マンガ大好き芸人」で
紹介されていた時から、
本作のことが印象に残っていたのは、

やはり、その設定のおもしろさです。

本作のタイトル
「カラオケ行こ!」は、
作中でヤクザの男が
言っている言葉なんですよね。

何を隠そう、この物語は、
中学生男子(合唱部)に
ヤクザの男がカラオケで
歌のレッスンを受ける話なのです。

どうですか、
この突拍子もない設定、
ものすごく
おもしろそうじゃないですか。

気になった方は、
このレビューを読まずに、
本作を観てみるのも
いいかもしれません。

「歌ヘタ王」になった組員は
刺青が彫られる

なぜ、ヤクザの男(綾野剛)が
中学生男子に歌のレッスンを
受けるにいたったのか、

それは「組」で毎年行われる
組長のお誕生日会で、
カラオケ大会が催されるからです。

このカラオケ大会で、
「歌ヘタ王」に認定された組員は、
組長の超絶に下手な画力で彫られる
刺青がプレゼントされます。

(昨年、ヘタ王に認定された
 組員の手の甲には
 キティちゃんを真似て描いた
 ブレブレのネコが彫られた)

そこでこの男は、
合唱部なら歌がうまいはずと見込んで、
男子中学生を捕まえ、

無理やりカラオケ店に
連れていきました。

どうですか?
この展開、おもしろそうでしょう?

ここでおもしろそうと思った方は、
このレビューを読むのをやめて、
本作を観た方がいいですよ。
(2回目のふるい)

世代も属性も超えた友情物語

ここまで読んだ方には、
本作が合唱部の男子中学生が
ヤクザに歌唱の極意を伝授する

スポ根的な展開を
予想されたかもしれません。

しかし、本作を観ると、
この中学生が技術的な面を
教授する場面は、
それほど多くなかった気がします。

「裏声が気持ち悪い」とか、
「手を上げて歌う
 意味がわからない」とか、

技術よりも、中学男子から見た
素朴な感想が述べられるのが
痛快なんですね。

そして、このヤクザの男は、
歌の技術を磨くことよりも、
この中学男子と友情を
育んでいくのです。

世代も社会的属性も超えた
ひそかな二人の友情が
見ていて心地いいんですね。

コメディー主体の
作品ではありますが、
設定の奇抜さに比べると、

笑いの要素は自然な範囲に
収めているところが
逆にいいと思いました。

そして、終盤には
驚くべき展開が待っています。

本作のように、
「設定自体」に
おもしろさがある作品は、

映画のような長尺の作品になると、
ダレてきてしまう
場合も多いのですが、

本作の場合は、それに当てはまらず、
最後まで緩急のきいた作品に
なっています。

その緩急の「急」の部分は、
やはり、メインの人物の一人が
ヤクザであるのが
大きいかもしれません。

観終わったあとの
爽快感も素晴らしく、
ラストまでいい作品でした。


【作品情報】
2024年1月12日公開
監督:山下敦弘
脚本:野木亜希子
原作:和山やま
出演:綾野剛
   齋藤潤
   芳根京子
配給:KADOKAWA
上映時間:107分

【原作】

【同じ監督の作品】

『リンダ リンダ リンダ』
(2005)
『天然コケッコー』
(2007)
『オーバー・フェンス』
(2016)

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