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マンガレビュー『進撃の巨人』諫山創(2009~2021)哲学的なテーマも感じさせる奥深いストーリー


今さらながらイッキ読み

超人気作なので、
今さらではありますが、
全巻読みました。

昨年、アニメ版も終了した際に、
本作の大ファンである妻から
「読みなよ。絶対おもしろいから」
と強く勧められ、

イッキ読みすることに
なりました。

数年前の私のブログを辿ると、
2017年くらいにも

「妻からの強い勧めで、
(当時の)最新巻・21巻まで
 イッキに読んだ」
という記録が残っていました。

当時の私の感想を見ると、
途中までは、まずまずな感じで、

(先に実写の劇場版を観ていて、
 多少ストーリーを
 知っていたせいでもある)

「12~13巻あたりから
 おもしろくなり、
 そこからは止まらなくなった」
というような記述がありました。

しかし、私自身は、
その記憶がほとんどなく、
もう一度、
1巻から読み直すことにしました。

忘れられた頃にやってきた巨人

本作のことを
まったく知らない方は
いないと思いますが、

一応、知らない方のためにも、
どんなストーリーなのか、
ざっくり書いておきましょう。

物語の舞台は、
中世ヨーロッパを彷彿させる
架空の世界になっています。

主人公・エレンの住む町は
城壁に囲まれており、
壁の外には巨人がいる
とされていました。

ところが、100年以上も
巨人の姿を見た人はおらず、

この話は、なかば
「おとぎ話」のような
扱いになっています。

しかし、エレンが10歳になった頃、
壁の高さをはるかに上回る
超大型巨人が現われ、
壁に穴が開けられてしまうのです。

そこから続々と入ってきた
巨人たちに町は破壊され、
多くの市民が餌食となります。

「餌食」と書きましたが、
ここで重要なのが、
「巨人は人間を食べる」
というところです。

のちに物語の中で
明かされるのですが、

巨人は生きるために人間を
食べているのではありません。

(巨人は何を食べずとも
 生きることができる)

さらに、人間以外の動物には、
一切、危害を加えることも
ないのです。

この時の巨人の出現によって、
エレンの母も犠牲になりました。

母は、エレンの目の前で、
巨人に食われてしまったのです。

それに対して、
なんの抵抗もできなかった
エレンは涙ながらに
巨人への復讐を誓います。

「駆逐してやる!」

この時、彼の中で、
すべての巨人を葬ることが
目標となったのです。

哲学的なテーマも感じさせる
奥深いストーリー

その後、大きくなったエレンは
調査兵団に入隊し、
任務の壁外調査にあたります。

兵士として、
人類を巨人から守るのが、
彼らの使命です。

前半では、この調査兵団での
試練の日々が描かれていきます。

兵士として
厳しい試練を乗り越え、
仲間との友情を育みつつ、
巨人との戦いの日々が続きました。

その中で、巨人たちの秘密が
徐々に明かされていき、
この世界の全貌が
見えてくるのですが、

そこに辿り着くまでに
挫折してしまう読者が
多そうなのも、
本作の難しいところでもあります。

一見、単純なバトルものの
ファンタジー作品と
捉えられがちな本作ですが、

物語の構造自体は、
なかなか複雑です。

物語の途中で時間軸が
行ったり来たりするので、
混乱を招きやすい構成に
なっています。

また、物語の本当の全貌が
明らかになってくるのは、
終盤に入ってからのことなので、

(全体の3分の2くらい
 進んでからわかってくる)

それまでは読んでいて
「?」となるところも
多いんですね。

そこを乗り越えつつ、
21巻くらいになってくると、
本作の一番おもしろいところに
到達します。

ここまで読んでしまえば、
イッキに最後まで
読んでしまうでしょう。

本作に関しては、
ネタバレをせずに、
感想を伝えるのが難しいのですが、

最後まで読んでみると、本作が

「人間=善」「巨人=悪」
といった簡単な図式で
描かれた作品ではないことが
よくわかります。

敵には敵の言い分があり、
敵も自分と同じ
「人間」であることが、

物語が進む中で
明らかになっていくのです。

しかも、その描き方が
とても丁寧で、
思わず、どの立場の人物にも
感情移入してしまいます。

「人類」とはなにか、
「生きる」とはなにか、

そんな哲学的なテーマも
含んだ作品なのです。
(別の記事で詳しく
 書いていきます)


【作品情報】
初出:『別冊少年マガジン』
   2009~2021年
著者:諫山創
出版社:講談社
巻数:全34巻

【作者について】
'
86年大分県生まれ。
’09年、『orz』でデビュー。

【映像化作品】


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