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映画レビュー『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987)割と地味で穏やか、でもラストのシーンは圧巻!

ガイナックスのデビュー作

本作は、のちに
『新世紀エヴァンゲリオン』で
有名になったアニメ制作会社、
ガイナックスのデビュー作です。

そもそも、ガイナックスは、
当初、この映画を作るために
設立された会社でした。

かつて「DAICON FILM」
という同人制作集団があり、

そこでは自主制作の
アニメや特撮が
作られていたんですね。

DAICON FILM には、
本作を監督した
山賀博之監督や

のちに『エヴァンゲリオン』を
手掛ける庵野秀明監督も
所属していました。

彼らは『超時空要塞マクロス』
(’82~’83)、
『風の谷のナウシカ』(’84)
といった作品の制作に参加し、

プロの現場で学んだのちに、
本作の制作に取り掛かります。

当初は、オリジナルビデオアニメ
として制作される予定でしたが、
バンダイへの売り込みが成功し、

2時間の長編アニメとして
制作されることになったそうです。

このような無名の新人の
手掛けるアニメが
劇場で公開されるのは、
当時としても異例でした。

制作費は8億!15年かけて回収

制作費は宣伝費なども含めると、
8億円とも言われ、

日本での上映に先がけて、
ハリウッドでの
プレミア上映もされました。

主人公の声優に
俳優の森本レオ、

音楽監督として、
坂本龍一が起用されており、
豪華な作品になっています。

興行収入は
3億4700万円で、
制作費を考えると、
かなりの赤字です。

しかし、その後に発売された
レーザーディスクやビデオの
売り上げは好調で、

「15年かかって回収した」
とも言われています。

割と地味で穏やか、
でも、ラストのシーンは圧巻!

本作の舞台は
地球に似ているもう一つの地球で、
1950年代が想定されています。

しかし、実際の50年代よりも
文明は発達しており、
スチームパンク的な世界観の
SF 作品です。

主人公のシロツグ・ラーダットは、
宇宙軍士官でした。

「宇宙軍」と言うと、
聞こえはいいですが、

主人公のいる「オネアミス王国」で
「宇宙軍」は「何もしない軍隊」、
「落第軍隊」
と揶揄されているんですね。

まだ、誰も宇宙に行ったことがなく、
宇宙に行く目的も今ひとつ、
はっきりしません。

そして、宇宙ロケットを
打ち上げたかと思えば、
失敗ばかりで、

一向に宇宙には
到達しないのです。

主人公自身もかなり
だらけた軍人でした。

「早くこんな仕事辞めたい、
 いい仕事ないかなぁ」

そんなことばかり、
考えて呟く主人公なんです。

ところが、そんな彼を大きく
変える出来事がありました。

リイクニという女性との出会いです。

彼女は、熱心な宗教家である
祖母に育てられ、
妹と二人で質素な
生活をしていました。

リイクニは、
シロツグの宇宙軍士の仕事を
「立派な意義のある仕事」
として認めてくれたのです。

そこからのシロツグは
妙なやる気を起こし、

最終的には、
宇宙に飛び立つパイロットに
立候補するまでになります。

果たして宇宙飛行は
成功するのでしょうか。

特に本作は
ラストのシーンが圧巻でしたが、
ネタバレはしたくないので、
詳しいことは書けません。

おそらく、タイトルや
ビジュアルから
派手な感じのアニメを
想像されるかもしれませんが、

内容的には、
意外と地味な感じの
ストーリー展開でした。

主人公もどこか
ボッーっとした印象で、
和やかなムードに
拍車をかけています。

(さらに、声が森本レオ)

どちらかというと、
架空の世界観の軍士の
日常を描いた素朴な作品ですね。

音楽は坂本龍一を
起用しているだけあって、
かなり凄みのあるものでした。

曲数が多くて、
一体、何曲あるのだろう、
と気になってしまうくらい、
楽曲数が多いです。

そういった面でも
’80年代特有のムードが
濃厚に感じられます。


【作品情報】
1987年公開
監督・脚本:山賀博之
声の出演:森本レオ
     弥生みつき
     内田稔
配給:東宝東和
上映時間:119分

【ガイナックスの作品】

※トップ画像は Amazon より
 引用しました。



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