カープダイアリー第8461話「広島のコンビニでカープ一面残紙たっぷり、大谷ドジャース一面売り切れ…7億ドル契約の水面下で”誤報”もまた二刀流か?(2023年12月12日)

広島市内の雨は明け方には上がり、次第に青空が覗き始めた。あす、カープ新入団会見が行われるリーガロイヤルホテル広島周辺にはしかし冷たい風が吹き、そこから徒歩2分の旧広島市民球場跡地で展開する広島ゲートパークやその南隣の原爆ドーム周辺では落ち葉が舞っていた。

そんな街のクリスマスのイルミネーションは新たに広島に“移住”してくる新人選手8人の目にはどんなふうに映るのか?

ランチタイムまでにそれぞれホテルに到着したルーキーたちは採寸やメディアの囲み取材を受け、あすの大舞台に向けて緊張感を高めていった。

ルーキーたちの取材は時間帯によっては同時に複数行われる。隣の様子も聞こえてくる。そんな中、番記者たちに一番好評だったのが、中村奨成から22番を“もぎとった”高太一だ。

カープ球団への忖度から、中村奨成の22番とは振らず、例えば高橋建二軍投手コーチや佐々木主浩さんを22番に重ねた質問が展開された。愛媛県出身、広陵-大商大という道を歩んできた高太一は広島の街にすでに溶け込んでいるから、明るく元気な受け答えができる。

この日は各紙にとって、新入団会見日以上に重要であり、正月紙面用のインタビューなど企画取材も行われる。

ドラ1右腕の常廣羽也斗は複数の取材をこなし、余裕の表情?あすの本番で何を語るか…

それで言えば、7億ドルの二刀流が、ドジャースの青を身にまといどんな夢を日米ファンに伝えようとするか、が非常に興味深い。

日本野球の頂点に立ったその飛距離とその投球水準は、米国野球をも根底からひっくり返した。投球回20に到達した時点で打者としての20試合のスタメン出場(1試合3打席以上)をクリアしていればTwo-Way-Player登録へと切り替わるという歴史的ルールが2020年に導入された。
 
現状では大谷翔平のみがTwo-Wayをクリアしているが、それに続く者は必ず出てくる。ベースボールのおよそ150年の歴史と投手ひとつとっても分業制が進むその概念を根底から覆しつつある。
 
ところでこの日、海の向こうでは大谷翔平の入団がドジャースから正式発表された。だんどりよく用意された大谷ユニはさっそくオフィシャルショップで売りさばかれた。もちろん背番号はエンゼルス時代と同じ「17」だ。
 
と同時に、来季年俸はわずか200万ドル(約2億9000万円)であることも分かった。これは総額の3パーセントにしか当たらない。
 
「前例がない」が代名詞のTwo-Way-Playerは契約においてもやはりそうだった、ことになる。
 
その超ド級契約を仲介したのが代理人事務所CAA(クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー)だ。
 
今オフのFA市場最大の関心事として8年ないしは9年の長期で史上最高額となる総額5億ドル(約760億円)以上の超大型契約が予想されていたが結果的には2億ドルプラス、に跳ね上がった。
 
米国メディアは、そのあたりの裏事情についてもいろいろ紹介されている。その中には“誤報”を発したジョン・モロシ記者の存在を指摘する声もある。
 
“誤報”の中身はTwo-Way-Playerがトロントに“向かっている流れが主流になりつつあるかも”というものだったが、ブルージェイズ側でも7億ドルに近いような額を用意していた可能性がある。他にもシカゴ・カブスやアトランタ・ブレーブス、サンフランシスコ・ジャイアンツの名前が取り沙汰されており、“価格競争”を“誤報”が煽った感は否めない。
 
そのシナリオをCAAがジョン・モロシ記者との連携プレーで展開させた可能性は果たしてどれぐらいあるのだろうか?
 
5億ドルから7億ドルになたことで仲介者への報酬も目がくらむほどアップされたのだから、そこからジョン・モロシ記者に渡る“報酬”もまた巨額になるだろう。
 
“誤報”と“特報”を操ってこそメディア界の二刀流?
 
そうスポーツとメディアと夢と巨額の報酬のサイクルの中で大谷翔平はさらに異次元の進化の道を歩んで行く…
 
なお、ドジャース入りを報じた前日11日、新聞休刊日のスポーツ各紙、即売特別版の話で言えば、広島市内のコンビニを見た限り、カープネタを一面にしたスポーツ紙は売れ残り、大谷一面のスポーツ紙は売り切れ、という傾向にあった。
 
これは大谷翔平がふだん、プロ野球にはほとんど興味を示さない層の客が購入したことを示唆している。大谷翔平の生き方は、幅広い層から高い支持を集めている。おそらくその支持率は“国内”ナンバーワン…(ひろスポ!メディア特命班&田辺一球)

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