カープダイアリー第8344話「コイが来た夏は遠い夢の中…神宮球場に響く『気合いを入れろカープ』大合唱(2023年8月10日)

噎せ返るような暑さが少し和らいだ午後8時30分、神宮球場にカープファンの願いが響いた。
 
「気合いを入れろカープ、気合いを入れろカープ…」
 
打席には六回から曾澤に替わってマスクをかぶる磯村。結果はヤクルト先発ピーターズのカットボールに反応できず見逃し三振に終わった。続く菊池は初球を打ち上げて右飛、小園も3球目を打って中飛。

3・4月の開幕3連戦でいきなり試練の3連敗を喫したヤクルトの本拠地で、再び同一カード3連敗の危機が現実のものとして迫りつつあることをファンはその肌で感じ取ったのだろう。
 
その裏、四番手でマウンドに上がった戸根は連続四球と最悪の入りとなり、3安打と打ちまくる一番塩見に適時打された。そしてツーアウトから粘る村上に投じた8球目…
 
「神宮の夏の夜空へ、3試合連続アーチ…」(DAZN中継、実況アナ)
 
赤く染まったレフトスタンドに着弾する村神様の2夜連続弾は22号3ラン。1対13の大差がついた。
 
九回、カープファンの声援に乗って大盛に1号2ランが飛び出しても、もちろん焼け石に水。チームはピースナイターでの大敗から数えてあれよ、あれよ、の4連敗で貯金は10まで減った。

その10分後、東京ドームでは阪神が巨人相手に3連勝をマークした。加速する岡田虎は通算7連勝。首位とのゲーム差はイッキに5・5まで開いた。
 
だから野球は恐ろしい。何かのきっかけでそれまでの良い流れを手放すと、あっと言う間にドツボにはまる。
 
8・6のマツダスタジアム。先発の大瀬良は初回、岡本和真に2ランを、二回には長野にソロを、四回には再び岡本和真にソロを浴びせられた。
 
八回にはピースナイターのために呼ばれた河野佳が代打中田翔、岡本和真に連続ホームランを打たれた。必要のない”演出”だった。
 
8・8の神宮球場。二回に3点を失い同点にされた九里は四回、村上に20号ソロを許した。
 
8・9。三回、北村に満塁弾をレフトスタンドに叩き込まれた森翔平は4回8失点でKOされた。
 
「序盤のビッグイニングで少し苦しい展開になったが、野手陣は最後までしっかり攻撃してくれたと思う」
 
5対11敗戦を受け前夜の新井監督はそう話したが、この日のスコアは3対13とさらに厳しさが増した。

防御率リーグ唯一の1点台を誇る床田が初回6失点で試合を壊した。無死一塁で内山にセーフティバントを決められたのが痛かった。さらに山田の遊ゴロを二塁カバーに入った菊池がまさかの落球。無死満塁から村上に2点打され、サンタには3ボールから3ランを運ばれた。
 
勝ったヤクルトはまだ借金が12もある。それでもベンチの雰囲気は明るく、お立ち台の村上もおどけてみせた。
 
-この3試合で9打点、どうですか?
 
「いや、きのう北村君1試合で6打点あげているんで、30点ぐらいです…」
 
“おもしろ”ではどこにも負けない、それが新井カープの良さのはずなのに、お株を完全に奪われている。
 
マツダスタジアムで敗北続きのヤクルトが本拠地ではどうしてこうも強いのか?それは、後輩の新井監督に対して開幕前日会見で「(胸は)貸しません」と話した高津監督の意地と、先発左腕の間に初モノとなるロドリゲスを挟むなどした綿密なプランの成果だろう。
 
「大先輩」にして「名将」との好ゲームを演じるはずが、防戦一方となった新井監督。ピースナイターがアリの一穴となり、花火が打ち上げられる夏祭り の神宮球場で、交流戦以降で強固なものとしてきたディフェンス崩壊の危機…
 
コイがきた夏は遠い夢の中? 空に消えてった?? 優勝話…

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