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棺をのせたナーガ〜カンボジア版 死への準備〜
かろうじてまだ息はあるが、死にゆく準備が着々と進められていた。
伝統の森でお客様の料理を作っているペアの母親。彼女もまた職人。病気を患い、自宅と病院を行ったり来たりしていた。今回は2021年8月ペアの母親の最後の3日間の話。ご興味のある方はどうぞ。
※お婆→ペアの母親
※村人→伝統の森の職人
アチャー(祭司)が主導し様々な供え物を作る。村人達は慣れているのかアチャーからの指示で手際よくそれら
職人とブランドディレクターの溝
みなさん、ストライキを受けたことがありますか?笑
当時は笑い事ではなかったが、今思えば職人達から受けたストライキ的な態度がIKTTにとって良い未来をもたらせた事は間違いない。
森本さんが亡くなってから、順調に事が進んだ訳ではない。
当時、ずっと気になっていた事があった。仕事の音がどんどん聞こえなくなっていた。私の部屋は工房からとても近く、部屋の中でも仕事の音が聞こえる環境だ。しかし当時、糸グル
伝統とモダンの融合の危うさ
思わぬ事から新しい布が生まれる事がある。
新しいタテ糸をセットした織り手に呼ばれ織り機に向かうと、タテ糸に問題発生。少しだけ織ってもらうと、くっきりとストライプ状に模様が浮き出てきた。何色で織っても結果は変わらず、ストライプ状に模様が浮き出てしまう。
こりゃ、普通の布は織れないな。。。
これはちょっとした勘違いから発生した問題であり、普通は発生しないこと。起こってしまった事は仕方ないが、さて、
毎年3月満月に近い土日に開催していた蚕祭り
つまり、この法則でいくと今日が前夜祭。が、しかし、コロナ以降は蚕祭りは開催せず、映像や画像で皆様に楽しんでいただこうと毎年試行錯誤してきた。さて、今年はどうしようと色々考え、括り手と織り手を引き連れてアンコールワットへお礼参りでもするかと思い立ち、比較的軽い気持ちで当日を迎えた。撮影の為ではなく、あくまでも日頃の感謝を伝えるためのもの。
私がアンコールワットに到着した時には、すでに職人達は到着し
仕事の選び方 IKTT Midori編
仕事や条件を選んで入社する。これが普通だろうし、実際自分も今までそうしてきた。しかし今回は違う。仕事を選んだというよりも、これからの人生の中でついていきたい「人」を選んだその先に、今の仕事があった。
ブライダルの仕事を辞めた後、友人との何気ない会話の中で、近場でどこか海外旅行に行こうという話しになった。ベトナム?カンボジア?タイ?友人が選んだのはカンボジアだった。なら、気になる日本人がいるからそ
KIM SRENG 船のピダン(後編)
どうしても、見たい!と、いう私の好奇心で、スレンさんに恐る恐る織りもできないか相談したところ、あっさりOK。いつもの上品な笑顔でOKしてくれた。そうなると、ヨコ糸だけでなく、タテ糸を含めた全ての準備はスレンさんが先頭になって行う。タテ糸整経、染め、筬通し等々。これらは森で作業するため、森の職人達もここぞとばかりにスレンさんのヘルプに入った。
そしていつも穏やかな伝統の森の職人達がちょっと緊張して
KIM SRENG 船のピダン2021-2023(前編)
森本さんが亡くなった後から言われていた「60歳になったらタケオに帰るから」という意思表明。この言葉を言わせていたのは自分が原因だった。KIM SRENG(キム スレン)はIKTTの職人の中でも別格の腕を持つ職人だ。今回はこのピダンを制作するにあたっての物語を私の記憶と共にここに残そうと思う。
私が商品の布全体のデザインやディレクションを初めてから目を付けてきたのが括り手のソキアン(SOY SOK