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【読書感想文#3】 一年前に消えちゃおうと思ってた私へ - こころ/夏目漱石

どうも。いくらと納豆です。
前回の投稿からまた時間が空いて〜の書き始めが、おそらくずっと続く気がしたので、これからは書かないようにします。

さてさて、復職してから約半年。
最近になって「これこれ、このストレス〜」を感じるようになってきました。

これからが勝負と言いますか、

「またぶっ倒れるルート」か
「もう大丈夫ルート」か

そんな恐怖?緊張感?を持って日々生活してます。

今回は休職してた時にふと読みたくなった夏目漱石の『こころ』を、やっと読み終えようという気持ちになったので、読んだ感想を書いてみます。

夏なんか大嫌い

感想に入る前に、ただ私の夏嫌いを叫ばせてください。

なんなんですかね〜。
私、夏が苦手なんですよね。

暑いのがそもそも苦手ですし。
夏だ!太陽だ!ウェェェイ!みたいな空気も苦手ですし。
すぐ体調悪くなるし。

花火とか、お祭りとか、浴衣とか、そういう風情のあるものもいいじゃん!
って言われるかもしれないですが、

「それ、冬でもいいよね?」

とか思っちゃいます。

小春さんの「夏は4番目に好き」という言い回しがとても素敵だなと思って、私もそうやって言うことにしようと思っていたのですが、だめだ。

夏なんか大嫌いです。

私の身体が全くもって動かなくなってしまったのも、夏。
この世からパッと消えたくなっちゃった衝動と闘ってたのも、夏。

夏なんか大嫌いです。

最近、メンタル的にちょっと落ち込むことがあったのですが、
(と言っても、一年前の私から見たら雀の涙程度の落ち込みですけど。)
すべて夏のせいにしてやる。

「いい人」っていつの時代も苦しい

なぜ、突然、こころなんか読もうと思ったかと言いますと、休職中に本屋さんをぶらぶらしてたら、夏目漱石の『こころ』が目に止まりまして。

「話は全く覚えてないんだけど、高校生の時に『こころ』をちゃんと読んでみたいなって思った記憶があるな。」
と、なんかふと思い出して買ったんですよね。

このジャケットかっこいいよね。↓

(今、リンク貼って気づいたけど、Kindleで無料じゃないか…!!)

でも、結局、休職中に読みきれなくて。
外に出る時はいつも持ち歩いていたのですが、ただの「鞄の中に文庫本がはいってたらイケてると思ってる人」と化してました。

こころは有名だし、みんな学校とかでやると思うので、ざっくり説明ですけど。

上 先生と私
主人公の「私」が、何か持ってんなオーラだだ漏れの「先生」に惹かれるお話。先生、かなり闇持ってるな、って思ったよ!

中 両親と私
父の病気きっかけに田舎に帰った「私」が、親の価値観とのギャップに悩む話。この話、現代にも通じるよね、って思ったよ!

下 先生と遺書
先生から突然遺書が届いて、なぜ先生があんなに闇を抱えてしまったのかの種明かしのお話。苦しい、苦しすぎるっ!!

もうねぇぇぇぇぇぇーーーー。

ただただ思ったのが、
「先生、いい人よなぁ。」
なのよね。

叔父さんにお金は取られ、
不器用・鈍感な友人Kには好きな人を取られそうになり、
まず、その境遇にいるだけで、苦しいじゃん。。。
お酒注ぎたくなるよ。まじで、奢りたくなるよ。

私の解釈が正しいのかはわからないんですが、先生の病みポイントって、

「あぁ、自分は正しい人間である、と思っていたのに、自分を苦しめた人と同じように人を出し抜いたことをしたという罪悪感から逃れられない、一生抱えて生きることに耐えられない」

みたいなところなのかなと。

「人間なんてそんなもんだよね」と思えば、全く気にならない人もいるんでしょうが、

でも、先生は真面目だったんでしょうね。
ロジック破綻することが怖かったんでしょうね。

あぁ、苦しい。苦しすぎる。この病みポイント。

しかも、とは言え自分の愛した奥さんには
「汚れを知らないで生きてほしい」と願ってるんでしょ?

(それが自分の保身のためなのかもしれませんが、でも、これは最強の「知らぬが仏作戦」だと信じたい。奥さんのためになっているかは置いておいて。)

先生は現代にも通ずる「いい人」なんですよね。

(ぶっちゃけ、途中から私、
友人K嫌いになりましたもん。
お前なんやねんとか、思いましたもん。
そんな友人Kをどうにか「人間らしくするぞ」
と頑張る先生、可愛い。
友人Kは自分一番感あって、
それはそれで正しい生き方なんだけど、
繊細さに欠けるというか。
なにが、「もっと早く死ぬべきなのに
なぜ今まで生きていたのだろう」だよ。
お前なんやねん(二回目)
先生は友人Kの弱さみたいなものを
感じてたんだろうけど、
なんなの、どの時代もこの構図って
無くならないの?悲しい。)

あぁ、ちょっと思い出しただけで、腹立たしい。
先生は絶対「あ、こいつも闇あるな」って思って助けたはずなのに、自分闇ありませんから感というか。

あぁ、先生のご苦労を考えると、涙がちょちょぎれる。もう。

しかも、特にはっとした箇所が、

こうした階段をだんだん経過してゆくうちに、人に鞭たれるよりも、自分で自分を鞭つべきだという気になります。自分で自分を鞭つよりも、自分で自分を殺すべきだという考えが起こります。私はしかたがないから、死んだ気で生きていこうと決心しました。

〜〜〜 中略 〜〜〜

死んだつもりで生きていこうと決心した私の心は、時々外界の刺激でおどり上がりました。しかし私がどの方面かへ切って出ようと思い立つやいなや、恐ろしい力がどこからか出て来て、私の心をぐいと握りしめて少しも動けないようにするのです。そうしてその力が私にお前は何をする資格もない男だとおさえつけるように言って聞かせます。すると私はその一言ですぐぐたりとしおれてしまいます。しばらくしてまた立ち上がろうとすると、また締めつけられます。私は歯を食いしばって、なんでひとのじゃまをするのかとどなりつけます。不可思議な力は冷ややかな声で笑います。自分でよく知っているくせにと言います。私はまたぐたりとなります。

夏目漱石 こころ pp.295 - 296 角川文庫

なになに、鬱ルート通る人はこの道はみんな通るの?漱石さんも鬱ルートの人?こんな描写かける人、鬱ルート通らないと書けないよ…!!

ここを読んだ時、思わず、

「漱石ーーーーーーーーー!!!!」

って叫びたくなった。というか、少し声に出た。

もう、

「いい人」っていつの時代も苦しい

なんか、その辺の近いところに「死」がいるのも、わかる。
なんか、先生の生き方が倒れる時の私のそれに近くて、苦しい。

自分が「いい人」だと言いたいわけではないんですが、でも、先生も同じ属性の人間なんだろうなと思わざるを得ませんでした。

一年前に消えちゃおうと思ってた私へ

高校の時の思い出なんて、忘れちゃったことの方が多いのに、
なぜか、こころをいつかちゃんと読んでみたい、は思い出したんですよね。

「私、高校時代からメンヘラだったんじゃねーか」

なるほど、こころをちゃんと読んでみたいなと思っていたのは、「先生の鬱さ・闇」に自分の何かがシンクロしてたのか。

しかも、それを思い出すのがメンタル病んでる時って。。。
きっと、闇?病み?にふけりたくなるというか、自分に溺れたい?酔いしれたい?のかな。

先生は一番甘えれる奥さんには甘えられず、
自分の闇についてこれる人間もきっといなかったんだろうな。

あぁ、これが本の中ってのが、悲しい。
この苦しんでいる先生は、一生、苦しんでいるのか。
あぁ、先生に幸せな世界線があって欲しかった。
本の中に入って先生をよしよししたい。あぁ、もう。

これをきっかけに、夏目漱石について勉強してみたいな、と思うようになりました。
国語なんて大嫌いだったのに。オモロ!!

一年前に消えちゃおうと思ってた私へ

あなたはほぼほぼ先生と同じような状態でした。
身体の方が先に強制終了してくれたことに感謝しなさい。

休職前まではなんとか耐えてたけど、
その気持ちの変動は、思った以上に疲れてるよ。
その我慢は、思った以上に疲れてるよ。

休職後には
生活が成り立ってる上での仕事の感覚を持ったし、
人に甘えてもいいのかもと思えるようになってきたし、
ちゃんと人を好きになることもできるようになってきています。

なんて言えばいいのかわからないけど、
身体?心?の強張りも軽くなって、
ふらっと旅でもしようかな、
という気分になってます。

意外と楽しいかもよ。

おわり。


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