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オムニチャネル戦略の塊。MSLの「ロサンゼルスFC」がいろんな意味で熱い!

様々な娯楽が溢れる街・ロサンゼルスに、新たなサッカークラブチームが影響を与え始めている。
2018年にMLS(メジャーリーグサッカー)の加盟し、最大収容人数22000のスタジアム:Banc of California Stadiumスタジアム公式サイト)をどの試合でもほぼ満席という状態を維持する、ロサンゼルスFCクラブ公式サイト)だ。

クラブチームの第一印象は、とにかくイケてる!

クラブチームのカラーも「ゴールド」と「ブラック」というファンシー(こちらだと「イケてる、シャレた」といった意味で使用)な印象を受けるこのチーム。

もともと日本でもJリーグサッカーを趣味として観ていたこともあり、この新加盟のチームの話を聞いてすぐに飛びつきました。
先ほど話したチームの印象だけでなく、メディアの使い方もかなりイケてる。
TwitterFacebookInstagramYoutubeなどのソーシャルメディアを駆使し、チームのサポーター・ファン作りにかなり力を入れているのがわかる。

2018年4月29日、記念すべきクラブチームの拠点となるスタジアム:Banc of California Stadiumのこけら落としは、入念なマーケティングとメディアの運用により、満席という華々しいスタートになった。

ロサンゼルスFCに興味を持つ接点はなにか?

接点1】高速道路から見える、スタジアムの存在感とLEDディスプレイ広告の活用

「ロサンゼルスのダウンタウンに向かう途中に建設中のスタジアムがある。あれはなんなんだ。」
渡米して最初の週末、ロサンゼルスの南部から北部のダウンタウンに向かうフリーウェイから、建設中のスタジアムを見かけた。これが最初の接点
気になって調べてみると、今年の2018年にMLS(メジャーリーグサッカー)の1部に加盟した、ロサンゼルスFCの本拠地となる新設のサッカースタジアムのようだ。

スタジアムの外側に設置されたLEDディスプレイは、フリーウェイを使う人への屋外広告的な効果を狙った位置にある。
試合当日は試合の告知、それ以外ではスポンサーの屋外広告として利用されている。

接点2LAファッションのメッカ、Melrose AvenueでのLAFCトラックのグッズ販売

先ほど述べたようにブラックやゴールドといった、カラーをうまく使ったおしゃれなグッズの多いLAFC。これは試合観戦時だけでなく、普段でも使えるようなデザイン展開が多く、それをうまく生かしたグッズの販売だった。

おしゃれ好きな若者が集まるMelroseでの販売は、シーズンが始まる前からの取り組みだった。販売告知は各種SNSを通して行われたが、物理的な現実での接点を生むのがこの仕掛けだった。

【接点3】クラブチームの屋外広告物の活用

日本国内の街を歩いていても屋外広告はかなり活用されている。
国内のJリーグだとスタジアムのある駅や、新幹線などのアウェイサポーターが一番最初に足を踏み入れるであろう空間にクラブチームの屋外(駅構内)の広告を見かける。

もちろんスタジアムのある街というロケーションは何となくわかるが、私が住んでいる地域だと何の脈絡もなく突然サッカーの屋外広告に出会ったりする。
これは、LAFCだけでなく、LA Galaxyのズラタン・イブラヒモヴィッチ選手のでかでかとした広告などもシーズン開幕時には良く見かける。

このように、チームの存在を知らない人間、チーム名も選手名も検索することが無いような潜在的なユーザーにかなり積極的にアプローチをしている。

あれよあれよという間に、LAFCに吸い込まれていき、スタジアムでの第1戦となるシアトル戦を購入。ロサンゼルスFCの新拠点となるBanc of California Stadiumのこけら落としという奇跡の瞬間に居合わせました。見事な満席。

サッカー専用スタジアムなので、観客とフィールドの距離が近い。コーナー席前はガラス張りで、選手と目線に近い。
アップ中のボールが観客席にしょっちゅう飛んできていたが、それに対して「危険だ」などリスクに対する非難は全くない。むしろ嬉しそう。笑

動画コンテンツがいちいちかっこいい…と思ったらYouTubeがスポンサー!

そして、ロサンゼルスFCというチームに惹かれたきっかけは、実はもう一つある。それはチームスポンサーだ。
YouTubeTV」「Heineken」「TOYOTA」「DELTA」「Banc of California」という顔触れ。

しかもユニフォームは、YouTubeTVのみ。誰にも邪魔させない意気込みを感じる。笑

どのソーシャルメディアを見てもデザインの統一性が行われているのがわかる。しかもTwitterやYouTubeにアップロードされている動画、むちゃくちゃかっこいい。
ロサンゼルスFCに加入選手の発表時は、N〇Kのドキュメンタリーかよって思うくらい、の作り込みだった。

リアルタイムでの情報更新はTwitter。
試合前・試合中・試合後すべての更新頻度がどのクラブチームに比べても圧倒的に多い!

試合前の煽り動画で、試合見る前から興奮。
しかも内容はもちろん選手ものもの多いが、かなりサポーター自身にフォーカスしている。

サポーターが一緒にメディアを盛り上げてくれるってのは、クラブチームとしてもありがたいよなぁ。

ちなみに、こけら落としの試合相手シアトルサンダースのスポンサーはXboxということで「YouTube (Google) VS Xbox (Microsoft)」の構図となり、友人から裏企業対決なんて話を聞きました。笑

ロサンゼルスは多くの移民が暮らし、その地の利をうまく活かしている

ロサンゼルスの人口の国籍について記述しているサイトにあるように、メキシコ人は、人口の31.9%を占めるロサンゼルスで最大のラテン系民族です。

Mexicans comprise the largest ethnic group of Latinos in Los Angeles with 31.9% of the population, followed by Salvadorans (6%) and Guatemalans (3.6%). While the Latino population is spread throughout the city and its metropolitan area, it's most heavily concentrated in East Los Angeles, which has a very long established Central American and Mexican American community.
参考サイト:http://worldpopulationreview.com/us-cities/los-angeles-population/

物理的にメキシコと近いこともあり非常にメキシコの文化を感じる機会が多いのも現地体験済み。
また、ロサンゼルスでできた私のメキシコ人の友人は、熱狂的なサッカーファンが多いですね。そんな彼らの国の代表選手:カルロス・ベラ選手が、ロサンゼルスFCに来るというのは、どう考えても狙ったに違いない。笑

スタジアムで彼の選手紹介が流れた際は、一際大きな歓声が上がっていました。イケメンだし、試合中いつも笑顔で楽しそうだし、惚れちゃう。

この選手紹介時にInstagramとTwitterのアカウント載せるあたり、SNSの力を入れているのがわかる。

このような選手や、地域の特徴までも加味したチーム作り…すごいとしか言いようがない。

ソーシャルメディアフレンドリーな環境のスタジアム

スタジアムに無料の高速WI-FI飛んでおり、Instagramが大活躍!
もちろんタグもロケーション情報もしっかり載せて、サポーターの歌うチャントをBGMにストーリーやLiveにアップロード。

それをロサンゼルスFCのアカウントがシェアしてくれたり、リツイートしてくれるからこそ、さらにモチベーションが上がる。

これから伸びるアメリカのサッカー市場を見据えて、Youtube(Google)が本気を出したチーム

アメリカにきて感じたのは人々の生活とスポーツ文化の密接さだった。休日になれば何かしらのスポーツのどこかしらのチームのユニフォームを来て出かける人が多いこと多いこと。

アメリカのスポーツ産業の市場規模は50兆円。比べて日本は5.5兆円。
アメフト・バスケ・野球などのメジャーリーグに加えて、大学のスポーツ産業の市場規模でさえ8000億円越え、さすがアメリカである。

そんな中で、米国サッカーは米国スポーツ市場の2%(2013年のデータ)ほどなので確かにまだまだ伸び代の匂いがする!
参考サイト:Winning in the Business of Sports

勝利後の集まり。この瞬間が幸せ。でも発煙筒でモックモクで苦しい。
この発煙筒の息苦しさが海外っぽいなと思ったり。笑

もちろん炎上案件もある。

 途中ゴールネットを揺らすも、オフサイドという判定で、0-0のままあっという間の90分が過ぎた。「諦め」を微塵も感じさせないロサンゼルスの攻めが続き、そしてとうとう90分後のアディショナルタイムにもぎ取った1点。
スタジアムの初試合を白星に飾る1−0の勝利。知らないおじさんに担ぎ上げられ、喜びを分かち合った瞬間はこの先忘れることはない。この後の勝利のチャントは何を歌えばいいか全くわからなかったが、次は覚えて試合に臨みたい。

が、その裏で実は差別的なチャントがあった。
これに対するチームの自粛を促す声明もすでに出されていて、運営の対応も素晴らしく速い。このような炎上しかねない内容にも、対応が早いのは運営がメディアに強いからなのか…?

デジタルメディアとスポーツが作る未来の可能性、今この瞬間を逃したくない!

次の観戦予定はドルトムント戦。
海外サッカーに詳しくない私が知ってるチーム=超有名なチームを呼べるってすげー!って勢いでチケット買った。笑

デジタルメディアに強いスポンサーを持つことは、チームの運営やマーケティングに大きく影響を与えてることは間違いないし、スポンサーにいなくともクラブチームがデジタルマーケティングに力を入れる価値は十分にある。

まだまだその2%の米国サッカー市場。
この時代のサッカー産業の成長にデジタルメディアが与える影響を観察するには最高のタイミングだと感じている。

いつか還元できるよう、自己投資に使わせていただきます。