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i.lab社内R&D 「Voice Mask」プロジェクト:連載11 ユーザーインタビュー ④

こんにちは、i.labです。

特許取得を機に活動を再開したi.lab社内の取り組み「Voice Mask」プロジェクト。連載第11回目の今日は、4人目のユーザーインタビューのレポートです。

前回(連載10:ユーザーインタビュー③)の記事はこちら↓

インタビューの概要

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山口陽平さん

❶山口さんについて

4人目のインタビューは、トレイルヘッズ株式会社の代表(取材時)として、オフィス空間事業やコワーキングスペースMAKITAKIの企画・運営、サウナ付きプライベートキャンプ場HINOKO TOKYOの企画・運営など、様々な事業に取り組む山口陽平さんです。i.labに関わるメンバーの知人として接点のあった山口さん。仕事だけでなく、自身のライフスタイルとしても、働き方に対して日々色々と試行錯誤・実践し続けている様子を見ていたため、今回の対象者として最適なのではと考えインタビューの依頼をしました。

❷山口さんの属性、選定した理由

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インタビュー対象者を探すにあたり3つの属性を設定しました。山口さんは属性1属性3に該当します。

普段から間仕切りのない自社オフィスで働き、クライアントワークを通じてコロナ禍前後のオフィス空間に対する課題・ニーズの変遷を当事者として見ている点、またコワーキングスペースの運営やアウトドアでの森ワークなど、日々これからの働き方について試行錯誤・実践されている点で、属性1に関係する話が伺えそうだと考えました。また、属性3として、上記活動に伴い普段から現場やアウトドアフィールドなどへの出張が多いことも考えられました。まさに属性1と3の生活者として、「働く場」についての実情や課題・ニーズについての理解を深められるのでは、と期待してお声がけしました。

❸インタビュー場所

インタビューは、渋谷区富ヶ谷にあるトレイルヘッズのオフィスで実施しました。山口さんが見ている課題やニーズを正確かつ具体的に理解したかったため、普段働いている職場環境を訪れました。i.labからはメインインタビュワー(対象者との会話をメインで行う人。あらかじめ用意した質問の投げかけから、回答に応じた深堀質問、時間配分を担当する)と記録係兼サブインタビュアー2人(一人はオンライン)の3名体制で参加しました。

インタビュー内容

では、ここからは実際のインタビューの内容をご紹介します。

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—— 普段の業務ではどういうことをされていますか。

山口さん: 会社の事業は大きく3つあります。一つ目のオフィス空間事業では、店舗なども時々ありますが、オフィスが9割以上で、空間のプロジェクトマネジメントとデザインのディレクションを担当していて、これはクライアントワークです。また、自社事業として、MAKITAKIという自社のコワーキングスペースを運営していて、その企画からプロデュースまでを手掛けました。もう一つ、HINOKO TOKYOという東京の檜原村にプライベートキャンプ場がありまして、その企画から立ち上げ、運営まで行っています。

僕自身の業務としては、クライアントとのコミュニケーションや、チームのディレクション決定がメインの仕事ですね。

—— 社員全員が集まって仕事することが多いですか。

山口さん: コロナ禍に入って一番最初の緊急事態宣言の時はリモートワークにしましたが、それ以降はほとんどのメンバーがオフィスかコワーキングスペースか現場かで働いています。自宅で仕事しているメンバーは、バックオフィスやPRメンバーの一部のみで、それ以外の人はみんな出てきますね。みんなオフィスの近くに居住しているのもあります。ほとんどが自転車か徒歩です。会社としての指示ではなく、いい街だし集まってきました(笑)。

—— 普段の仕事では何をしている時間が多いですか。

山口さん: 割合としては、ミーティングしている時間が半分以上ですね。社内ミーティング、外部デザイナーとのミーティング、クライアントとのミーティングだけで、7〜8割くらいの時間を使っていると思います。

—— 社内ミーティングは自社オフィスで実施されていると思いますが、クライアントや他のチームとのミーティングはどのようにやられていますか。

山口さん: クライアントさんとは、リモートと対面で会っての打ち合わせが半々くらいになるのかな。空間の打ち合わせする時には、手に取れるマテリアルなどが大切で、これが去年のリモートワークの時は、打ち合わせ前にそれぞれの自宅に郵送していました。不可能ではないけど、大きいのは見せられないし、チャレンジングでしたね。緊急事態宣言中でも、なんとかはなっていましたが、やっぱり効率は落ちたし、労力もかかるし、お客さんにちゃんと伝わったのかも熱量が違ったので不安ではありました。オンラインミーティングだと同じサンプルを見ていても、どうしても別の場所でそれを見ていることになるので、反応が「〇〇さんが良いと思うなら良いと思います」見たいな感じになっちゃうこともありました(笑)。CGは嘘というか、伝わらないものがあるので。

—— 外出の頻度はどのくらいですか。

山口さん: 僕はちょっと少なめな方で、2〜3割くらいだと思います。他のメンバーは半分くらいは外出しているかな。

僕は、日によっては一日中オフィスにいることもありますね、ミーティングしながらずっとオフィスにいることも。

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トレイルヘッズの自社オフィス

—— オフィスの座席はメンバーごとに決まっていますか。

山口さん: 一応決まっていて、シャッフルするメリットもないのでほぼ固定化しています。

—— オンラインミーティングはどこでやっていますか。

山口さん: オフィスでオンラインミーティングをする時は、ソファースペースか、一人だと自席でやっちゃいます。物理的に他の人と距離を離してできるだけ声がかぶらないように行っています。同時にミーティングをやると、少し離れていても声量によっては声が入ってしまうんですよね。オフィスは広々として良いけど、オンラインミーティングは少しやりにくいところはあるかもしれないです。今は、音だけ遮断するビニールカーテンをしたいなと思っています。

運営しているコワーキングスペースのMAKITAKIもあるので、物理的に場所を変えることもありますね。MAKITAKIの方がオフィスに行くよりも駅から近いので、電車を使った後はMAKITAKIに来ることが多いです。敢えてコワーキングスペースを選んでいるというよりは、働く場所の選択肢がいくつかある、というイメージです。さらに言うと、自宅が近いので自宅でやることもありますね。

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外遊び好きが集まるコワーキングスペース "MAKITAKI"

—— ミーティングをやるときに一番多い場所はどこですか。

山口さん: 使う場所としては、オフィスと自宅が半々くらいかもしれないですね。チームミーティングで、例えば社内メンバー2人と外部2カ所をつなぐ場合だと、わざわざ社員同士が集まる意味もないですしね。

(自宅でミーティングする理由は)まず一番は、セキュアな話が必要な時ですね。例えば、決算や役員ミーティング、人事、面談とか。こういう話をzoomでやるようになったのはコロナ禍に入ってからで、以前は近くのカフェで対面でやっていました。今後コロナ以前の状況に戻ったとしても、zoomをうまく活用しながらになるでしょうね。カフェに行っても、社内のメンバーに聞かれないというだけで近くの席の人に聞かれているし、外はガヤガヤしているので、あまり話す環境としては適していないと思います。であれば、一人で静かな場所にいながらzoomに入って、ノイズが入らない状態で打ち合わせをするという選択を取る気がします。

—— ミーティング以外の作業も家でやられていますか。

山口さん: 家では作業はやらないですね。場所は様々で、オフィスもそうだし、ゆったりした場所に行って作業することもあります。例えば、ホテルを一室借りて作業する時もあります。会社のビジョンや中期計画とか新しい場所を作るためのアイデア出しみたいなテーマを決めて、その関連書籍をごそっと持って、集中して缶詰をしますね。もうちょっとフレキシブルにアイデアを出したい時とか、テキストを書くときは、コーヒーを飲みにいって、姿勢を少しリラックスさせるような、集中と緩和が共存している場所を選ぶ気がします。そういう場所には一人で行きます。そういう集中したい場所などではオンラインミーティングは極力やらない。ホテルやラウンジで一つのテーマについて考えている時に、ちょっと声をかけられて別の思考になるのを避けたいからですね。

—— コロナ禍の今、オフィス空間のデザインをする際に、オンラインミーティング対策の発注は増えたりしているんですか。

山口さん: コロナ禍に入って圧倒的に求められるようになったのは、テレワークブースですね。周りと仕切られていて一人でオンラインミーティングができる、周りの音が入らないようなブースや個室が求められる量はかなり増えました。外の人とオンラインでミーティングをするという機会がどのお客様も増えていて、明らかにそのニーズが増えました。

テレワークブースは、ワークスペースから少し離れたところに設置するケースが多いかな。電話ブースのような形で、4人タイプとか2人タイプのモジュールで、その中に入ってしまえば音は遮断されます。ただ、コストがかかるので、天井が貼られていなくて後ろが空いている、みたいなものを作る時もあります。その場合は、自席から離して物理的に声が届かないようにしているケースもありますね。

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LiB CONSULTINGのオフィスにあるブース(写真はトレイルヘッズ提供)

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CoDMONのオフィスにあるブース(写真はトレイルヘッズ提供)

—— コストというのは、金額と空間の2つが考えられると思いますが、どちらが大変なんですか。

山口さん: 金額ですね。僕らのクライアントさんってスタートアップやIT企業が多いんですけど、彼らはまだ出社率とかを抑えていて、空間的には余裕があるんですよ。ぎゅうぎゅうでブースを置けないというところはあまりないですね。ただ、ブースは一つ100万円単位でお金がかかってくるんです。例えば、テレキューブという電話ボックスみたいなものがあって、駅に置かれていたりするんですが、これにスプリンクラーが必要だと言われていた時もあったりして、コストは高くなりますね。

—— オンラインミーティングをする際に何か道具は使いますか。

山口さん: イヤホンは絶対で、Airpodsのノイズキャンセラー付きのもの使っています。社内のメンバーが複数人入って外部の人と話し合うミーティングでは、こちらはイヤホンを外して、みんなで使えるスピーカーを必ず使っています。声を拾いやすくなるし聞こえやすいので。

—— オンラインミーティングにおける困りごとは何かありますか。

山口さん: ネットワークですかね、家だとネットワークが遅い時はありますね。それと、話し相手の後ろがうるさいなと思う時もあります。その人は、社内にいても後ろに電話してる人がいたりするし、道路の音とかが入る時もあるし。意外と気になっちゃいますよね。

また、社内でミーティングしている時に、横でやっている人の声が大きい場合は、お客さんにもうるさいだろうなーと思ってしまう。そういう音を意識すると静かに喋ろうとしちゃうんですけど、この静かに喋らなきゃいけない、っていうのはプレゼンの中で絶対必要がない、マイナスでしかないことですよね。僕はそうなったことはないですが、チームのメンバーが声のトーンを落としてくれるんだろうなと感じたことはありますね。

自分の声だけ拾って欲しい状況下で、周囲の音も拾ってしまう。そうなると自分も相手も嫌。でも、チームでやる時は、メンバーの声は拾って欲しいが外の道の音はいらない。その距離感はけっこう重要だなと思います。一人の声だけ拾えば良いというだけではない。複数のメンバーが参加していて誰か一人の声が遠いと、発言の弱さにもつながると思います。クリアに聞こえないことは議論する中で絶対にプラスにはならないと思います。

—— 先ほど「コロナの影響でテレワークブースを求められることが多い」というお話がありましたが、デザイン事例を拝見したところそもそもオープンスペースの事例が多いように感じました。それについては何か意図があるのでしょうか。

山口さん: 実はコロナ禍前から、新しい働き方にフィットしたオフィスデザインとして、スタートアップを中心に「あまり壁のないオープンの空間で見通しを良くし、社内の議論がオープンに飛び交う方が良いのでは?」という考え方が出てきました。僕らが空間をデザインする際にも、もし「ミーティングルームを沢山作りたいんです」と言われても「そんなに必要あります?」というところから議論して、「どうしても声を漏らしたくないミーティングのためには本当は何部屋必要なのか?」といったことを考えながらだんだん数を減らしていきます。例えば、チーム内でプロジェクトの話をするなら完全個室でやる必要はないですし、むしろ個室でやらないメリットもあります。効率的にスペースが使えるという点もそうですし、オープンスペースの空間でミーティングがポンポンと起きている活気のある状態をチームメンバーに見せられるという点もあります。採用で人を連れて来た時にも、今は働いているスペースも絶対に見せると思います。会社として、限られた自席だけで窮屈に働いている状態と、オープンスペースを上手く使いながら個人でも複数人でも働いている活気がある状態のどちらを見せたいかということです。特にスタートアップはコミュニケーションや情報をどれだけ伝達させるかが重要なので、オープンスペースが合うと思います。これはここ数年でめちゃくちゃ盛り上がった考え方ですが、ずっと伝承してきた空間の作り方ではあると思います。それに加えて、コロナ禍で出社率が2~3割に下がる場合は、オープンスペースなら無理して個室のブースを作らなくても距離を離して座ればいい、という考え方もできました。コロナ禍に入る前に受託してほぼプランが出来上がり、工事に入る直前に緊急事態宣言になってしまった時も、ほとんどの事例でプラン変更はせずに済みました。

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PLAIDのオフィスにあるオープンスペース(写真はトレイルヘッズ提供)

—— 音に関しては、漏らしてはいけない会話は個室で行って、それ以外はむしろ周りにも聞こえた方が良いことがあるということですね。

山口さん: そうですね。ただ、コロナ禍になってからは、外の人達とオンラインでミーティングする機会ができました。そのミーティングに関しては周りの声が聞こえる必要はないので、物理的に距離を離したりブースで音を遮断したりする需要は高まってきました

—— オフィスデザインの際に本当に個室が必要かどうか検討するというお話がありましたが、それは結局、会話の声の重なりを受け入れて別のメリットを取ったり、金額的なコストを避けたりしているということなのでしょうか。

山口さん: 色々ありますね。金額を抑えないといけないから「数を見直しませんか」と提案することもあります。個室ではないことのメリットは、コロナ前とコロナ後で少し変わっています。コロナ前はまず「複数人での打ち合わせは個室にこもって行う」という昔からのカルチャーがベースにあり、「密室にこもるのを辞めて、周囲にもわかるようにして活気を出していこう」というのが新しい働き方のトレンドでした。コロナ禍では、「オンラインのミーティングのような、静かな状態で行うのがベストなミーティングのために音を遮断したい」という目的で個室を求められるようになり、そういった場合には「オープンにした方がいい」という提案はあまりないかもしれないですね。

—— 社内の会話をオープンにしていくことは、セキュリティとトレードオフなのではないかと思います。その辺りについてのお考えはありますか。

山口さん: 当然守秘義務が発生するケースがあるのでそれは別ですが、そこまで慎重になって「外の人に聞こえるから」という点を気にしてはいないです。例えば、他の人達もいるコワーキングスペースでも、ミーティングをやらないかと言えば、やっちゃう。ただ、カフェのような全く知らない人がいる空間では、クライアントの打ち合わせはやらないですね。多分みんな、「そういう空間では大事な打ち合わせはやれない」と思っていると思います。

—— 知らない人がいる空間ではできない話として、一番ブレーキがかかる内容は何でしょうか。

山口さん: お金の話はあります。あとは、そもそも移転やリニューアル、新店舗を出すといった情報がまだ公開されていないケースだと話しにくいですね。聞けば絶対にわかるような会社名の場合だと特にそうです。そういった情報の話し方はちょっと気を遣いますね。「家じゃないとできないミーティングがあってMAKITAKI行けないんです」と言われたりなど、「組織によってはコワーキングスペースが使えないんだな」と感じる時はあります。

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ここで一旦区切り、アイデアの説明に入りました。アイデア紹介資料をお見せしながら、モックを試していただきました。

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—— アイデアの説明を聞いてみたあとの率直な感想を聞かせてください。

山口さん: これで本当に自分の声が消えるんだったらすごいことですよね。自分の声を消すってあまり想像しなかったんですけど、これを見て思ったのが、フルフェイスヘルメットを被ったら周囲に音漏れないなって。みんなダフト・パンクみたいになって(笑)。自分の声を物理的に打ち消すっていう発想が無かったですね。完全に打ち消せなくても、会話の内容が聞き取れないようになるなら、セキュリティ的には良いですよね。

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Photo by Cash Macanaya on Unsplash

—— パッと聞いた印象で、世の中にあるもので「これに近いな」と思う製品はありますか。

山口さん: オフィス空間の中では物理的なノイズキャンセリングみたいなものが使われていますね。会議室の音を打ち消すために空調音のようなノイズを出す機械があるんですけど、それを入れると、その空間の中で音を消すというよりも、隣の部屋に音が漏れないようになります。実際に使ってみて効果は多少あったかなと思いましたが、これまで積極的に(クライアントに)紹介することはあまりなかったです。やっぱりコストがけっこう高いので、限られたプロジェクト予算の中で音を打ち消すことに何十万とか何百万とかかけるよりも、もっとオフィス空間で大事なことはあるんじゃないか、というような議論を今まではしていたかもしれないです。

—— その製品はどのような部屋で使われているのでしょうか。

山口さん: 一般的には、上層部向けの会議室やインサイダー取引のリスクがある話をする部屋などでしょうか。とは言っても、会社のセキュリティに対する考え方にもよるかなと思います。例えば、僕らのクライアントで去年上場したスタートアップがあるのですが、そこは上場に至るまでに会議室は一つも作らなかったんです。周囲からも「会議室を作ってほしい」という依頼があったのですが、経営陣が「広いオフィスなので遠く離れれば聞こえないのでは?」と言い切って最後まで作らなかった。どうしてもという時はコワーキングスペースを借りていたみたいですが、それよりもオープンなオフィス空間で皆の顔が見えることが重要という考え方だったようです。

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—— 実際にプロトタイプを触ってみて、サイズ感や形状、改善すべき点など気づくことはありますか。また、山口さんがヘッドホンについて優先することは何ですか。

山口さん: 僕がこの数年ヘッドホンを使っていない理由は、髪が潰れてしまうことと、携帯性かな。かさばるので結局大事な時に持っていなかったということがあるんですよね。Voice Maskを携帯することを考えると、Boseのヘッドホンのように折りたたんで小さなハンバーガーぐらいの大きさになれば、バッグに常に入れておくかなと思います。ポケットにも入れられるくらいのサイズ感は良いかもしれないですね。ミーティングのシーンとしては、複数人で東京の檜原村まで1時間半かけて移動している時の車内や、カフェでも使いますし、オフィスの中でも使いたいので、どこにでも持っていくと思います。

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—— どの程度音が消えると良いと思いますか。

山口さん: 普段のクライアントミーティングであれば、ぼそぼそ言っているのは分かるんだけれども、話している内容はわからないくらいにまで音を消せれば使えると思います。懸念点は、声量の問題ではない場合があるかもしれないということですね。以前カフェで小声で電話をしているだけでスタッフの人に止められたことがあって、対面にいる人と話すのは問題なくても、その場にいない人と話しているという行為が問題な場合もあるのかなと。音は立てずにもごもごしている人がいると、お店の雰囲気としてもイマイチかもしれないですね。

—— なるほど。そうしたシーンも想定して、口元にシェードを付けてみたんですが、口元を隠すということについてはどう思いますか。

山口さん: 現状のプロトタイプだと、結構見えちゃいますよね。マスクで話すのに慣れたので、逆にマスクくらい(密閉性が)あっても良いのかな。実際に見たことがないので、無音のままもごもごしている様子が見えている方が違和感ないのか、気持ち悪いのかは正直わからないですね。あるいは、衣装でインカムを付ける時のように、衣装と口元が一体化して素敵に見えると良いかもしれないなと思います。

(インタビュー終了)

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インタビューの重要事実情報

以上がインタビューの内容でした。このあとは、インタビュー内容を分析するフェーズになります。

これらのインタビューでの発言(事実情報)の中から、アイデアの完成度を高める上で特に重要そうな発言(重要事実情報)を抜き出し、改善のための示唆を導き出していきます。

遠藤さんのインタビューから、i.labが抽出した重要事実は以下です。

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いかがでしたでしょうか?本エントリーでは、4人目のインタビューについてお話しました。次回は、これまでに実施した4名分のインタビュー結果から見えてきた気づきや示唆についてお話します。次回の更新もぜひお楽しみに!

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i.labでは、Voice Maskの実現に向けて一緒に協業していただける技術者や研究者、企業を募集しています。ご興味がある方は以下までお問い合わせください!

問い合わせ先
メール:h-suzuki<at>ilab-inc.jp
担当者:i.lab ビジネスデザイナー 鈴木斉