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【お薦めの一冊】 人的資産という考え方 / 「驚くほどシンプルで一生使える 投資の極意」 加藤航介

今まで多くの本を読んできました 。

その中には、私の人生に良い影響を与えてくれた本が沢山あります。

そんな本の感想を書き留めておくことで、私自身の備忘のためにも、また、これを読んで下さった方の本選びにも、少しでもお役に立てればと思っています。

1.人的資産という考え方

私たちは、「資産運用」と聞くと、まず初めに、

・どのような株を買えば良いのだろうか。
・日本円だけでなく、外貨預金をした方が良いのだろうか。
・不動産投資は実際に儲かるのだろうか。

といったことを考えてしまいます。

しかし、そこに資産運用における最初の落とし穴があります。

私たちが自分の資産を考えるときに忘れてはいけないものが、「人的資産」です。

この「人的資産」とは、私たち自身が働いてお金を稼ぐことによる価値を意味しています。

2.数億円の価値がある「人的資産」

ではこの「人的資産」にはどれほどの価値があるのでしょうか。

例えば、上場企業の従業員の平均生涯給料は2億3000万円ほどと言われています。

実際、年収500万円で40年働けば、生涯給料は2億円となります。

つまり、私たちは、既に「人的資産」として数億円の価値を有しているのです。

このような大きな価値を持つ「人的資産」ですが、これから資産運用や投資を始めようという方は、この価値を見落として、数万円・数十万円の株式投資の利益ばかり注目してしまいます。

本書は、資産運用に関する書籍ですが、この「人的資産」の価値をしっかり説明しており、これから資産運用を始めようと考えている方にはお薦めできる一冊です。

3.「人的資産」は将来得られる収入が土台

いきなり、私たちは「人的資産」として数億円の価値を有していると言われても、今ひとつ実感がわかないのも無理がありません。

なぜなら、この「人的資産」は直ちに使えるお金ではなく、将来得られるお金を踏まえた価値だからです。

ただし、私たちが、年収500万円で40年働ければ、実際に2億円を得られることも事実です。

一方で、病気等で働く期間が短くなれば、それだけ私たちの「人的資産」の価値は減ることになります。

また逆に、定年後の再雇用等により想定より長く働くことができたり、年収をアップさせることができれば、「人的資産」は増すことになります。

金融資産の運用で、数十万の運用益を狙う前に、私たちは、まずこの「人的資産」を価値を理解し、この「人的資産」の価値を高めることを考えることが必要なのです。

4.「人的資産」の価値を高める

この「人的資産」は、以下の式で表すことができます

「人的資産」=「年収」×「働く年数」

つまり、「人的資産」の価値を高めるためには、

・「年収」を上げる
・「働く年数」を長くする(病気・怪我等で働けなくなることを防ぐ)

という方法があることが分かります。

(1)自分への投資

年収を上げるためには、自己投資により、スキルアップをしたり、また、転職するという方法も考えられます。

いずれにせよ、自分の能力を磨くことが年収アップには必要であり、そんな自分の能力を磨く方法については、以下の書籍が参考になります。

(2)健康であることの大切さ

そして、年収を上げることと同じく重要なことが、長く働くこと、つまり、健康であることです。

私たちが持っている数億円の「人的資産」の価値を実現するためには、健康であることが何よりも必要となるのです。

資産運用において健康が大切と聞くと、とても違和感があるかもしれませんが、人生における総資産を考えれば、数百万円の運用益を得るよりも、数億円の「人的資産」を実現させることの方がよほど価値があるのです。

この「健康であること」については、以下の書籍が参考になります。

5.人的資産と金融資産を合わせた分散投資を考える

投資を少し勉強したことがある方は「分散投資」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

一つの対象に全財産を投資するより、対象を分散して投資した方がリスクも分散出来て望ましいという考え方です。

資産運用や投資を題材とした多くの書籍でも「分散投資」について解説していますが、そのほとんどが「金融資産」にのみに焦点を当てた分散投資の解説になっています。

例えば、

・株式投資については、1社だけに投資するよりも数社に投資すべき。
・日本株にだけ投資するよりも、外国株にも投資すべき。
・日本円だけの預金よりも、外貨での預金もすべき。

といった感じです。

確かに、このような「分散投資」の考え方は大切ですが、既に述べた通り、私たちの「人的資産」は数億円の価値があるので、金融資産のみで分散を考えるのではなく、人的資産を含めて分散を考える必要があります。

6.あなたの人的資産はどこにあるのか

人的資産と金融資産を合わせた分散・ポートフォリオを考えるのであれば、あなたの人的資産はどこにあるのか、つまり、あなたの収入の源泉はどこにあるのかを考える必要があります。

例えば、

日本の鉄道会社に勤めているのであれば、鉄道会社は主に鉄道利用料や駅ビルの運用益などで利益を上げているため、それらの収益は、日本の経済成長に影響されることになります
一方、中国に工場を持ち、中国で多くの商品を販売しているようなメーカーであれば、その収入の源泉は中国に依存しているといえます。

このように、人的資産がどこに投資されているのかを踏まえて、金融資産の分散・ポートフォリオを考える必要があります。

この考え方は、他の書籍ではあまり紹介されていない考え方ですが、参考にすべき考え方かと思います。

より具体的な考え方については、ぜひ本書をご覧下さい。

本書では、この考え方を踏まえた年代別の分散・ポートフォリオの考え方も紹介してくれています。

7.具体的な投資信託の選び方については他の書籍も参考に

本書では、お薦めの投資信託の買い方についても紹介しています。

投資信託には、大きく以下の2種類があります。

A【パッシブファンド/インデックスファンド】
日経平均株価指数や米国S&P500種指数などに連動して値段が変動するファンド。ファンドは、指数の構成銘柄を機械的に買うだけなので、手数料が安い
B【アクティブファンド】
ファンドマネージャーが一定の基準に基づき判断した銘柄で構成されたファンド。ファンドマネージャーによる銘柄調査・運用費用がかかるため、手数料が高い。

本書では、投資の初心者は、【パッシブファンド/インデックスファンド】から積立を始めて、知識や経験を積んだら【アクティブファンド】も保有し、最終的には【パッシブファンド/インデックスファンド】【アクティブファンド】を半分ずつ保有することを薦めています。

ただ、個人的には、知識や経験の有無にかかわらず、投資信託・ETFでの運用であれば【パッシブファンド/インデックスファンド】のみの保有で問題ないと思っています。

この辺りの考え方については、以下の書籍も参考にされることをお薦めします。

8.「人的資産」の考え方を知れる良書

本書は、2人の登場人物の会話形式で進んでおり、読み易さもあります。

2〜3時間もあれば、一回は通読できるはずです。

ただ、内容は「人的資産」という考え方をきちんと紹介・説明してくれており、多くある初心者向けの資産運用・投資に関する書籍において、お薦めできる一冊といえます。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

記事に関する質問など、何でもご遠慮なくコメント頂ければ幸いです。まだまだ勉強不足の身ですが、できる限り回答させて頂きます。