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薫製ビールというジャンル

薫製が好きだ。
そしてビールが好きだ。
そんな私にとって薫製ビールとの出会いは衝撃だった。

出会いは忘れもしない新宿にあるBEAMS JAPAN、
そのBEAMS JAPANの地下にあるレストラン、
栃木が誇る老舗西洋風ホテル「日光金谷ホテル」が展開する
「NIKKO KANAYA HOTEL CRAFT GRILL」だ。
なんでもこのレストランは「手作り」をコンセプトに「日本の洋食」を提供しているんだとか。
初めて行った時はそんな事知りもせず、看板メニューである名品「新宿百年ライスカレー」を食べながら「カレーってどこで食っても美味いよねー」なんてほざいていた記憶がある。

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このようにバチクソおしゃれな店内なのだ。

話が逸れたが、そう、薫製ビールだ。
別名「ラオホビール」なんて言ったりする。「ラオホ」はドイツ語で「煙」を意味するという事なのでそのまんまである。

ここ「NIKKO KANAYA HOTEL CRAFT GRILL」にはその名の通りいくつかの国内産クラフトビールが置いてあり、私はイケメンでホスピタリティ高めのウェイターの言葉巧みなテクニックに乗せられ、さらに当時の私には薫製ビールという概念は無かったが連れの前で通ぶりたい浅ましさも手伝って薫製ビールをオーダーしたのだった。

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本格的なドイツスタイルビールで有名な
富士桜高原麦酒さんの「RAUCH(ラオホ)」である。

まず通っぽく香りを確かめる。
驚愕したのがまるで燻製された食べ物の匂いを嗅いでいるかのようなスモーキーな香りが目の前の液体から発せられているという事だ。
子供の時ボーイスカウトでキャンプに行った時に簡易的な薫製を作った事があるのだが、その時の風景が走馬灯のように思い浮かびそして瞬く間に消えていった。
そして私の心は少年の頃に戻っていた。通ぶりたい浅ましさなどは吹き飛んだ。
「なんだこれ、すげえ…」
思わず稚拙な感想がこぼれ、次の瞬間には口に含んでいた。
当時のテイスティングメモを見てみよう。

人生初燻煙ビール。こんな物がある事すら知らなかった。ブナのチップで燻製した麦芽で作っているらしいが、確かに考えてみると有り得るビールだ。色は焦げ茶で濁りはまあまあ。香りがもう今までのどのビールとも違くて、味もビールではない何かのような感じ。後味のスモーク感が意外にもフルーティに感じた。意外と料理との相性も良かった。

どことなく上から目線なのはなんなんだろうか。ぶん殴りたくなるな。

それはともかく、今まで飲んだどのビールとも異なる「燻製ビール」のポテンシャルにえらく感動したのは確かだ。
「意外と料理との相性も良かった」などとほざいているが、違うそうじゃない。
これは緻密な計算に基づいて成り立っているペアリングなのだ。この時一緒に食べていた料理は燻製だった。ペアリングにもいくつか種類があるがこれはその中でも「風味合わせ」にあたるものだろう。さすが日光金谷ホテル、抜かりない。

私と燻製ビールの出会いはこんな感じだった。
衝撃を受けた私はこの頃からクラフトビールにハマっていったのである。


それから couple years later...
私は再び燻製ビールと相対する。

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東京都豊島区唯一の醸造所を持つ
NAMACHAん Brewing さんの「なまちゃんのラオホ」である。

可愛すぎるビンのデザインに言及したい気持ちは一旦置き、
このビールと出会ったのはJR山手線 大塚駅付近に位置する星野リゾート「OMO5 東京大塚」である。大塚に星野リゾート??と思われた方もいるだろうが、ここはとにかく素晴らしい宿泊施設なのだ。話すと長くなるので割愛するが、大塚は私の中で人気急上昇中スポットなのである。

この宿泊施設「OMO5」(読み方は分からない)はロビーにお土産売り場があり、
そこに「なまちゃん」はいた。

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ピントを外してしまっているがもちろんわざとである。狙って外したのだ😎

「なまちゃん」を自宅に連れて帰り、早速飲んでみる。

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なんでIPAグラス?と思われた方、This is all I haveなのでお許しください。

富士桜高原麦酒さんのラオホと共通しているのはやはり圧倒的なスモークのアロマで、ビールを飲んでいるのに鼻を刺激する燻製の香りにまた脳が少し混乱していた。比べてみると「なまちゃん」はややパンチが弱めに感じるが、これはつまり「なまちゃん」の優しさだと解釈した。ラオホビールを初めて飲む人にもオススメしやすい様に仕上がっているのだ。
そして前回とは違い、ペアリングという概念を理解した私は無意識に燻製料理を欲していた。だが自宅に燻製料理など無いので、イマジナリースモークソーセージを用意し無事優勝する事ができたのだった。せつね。


クラフトビールは幅広く、そして奥が深い。
ここで紹介したラオホビールだって広大な土地を持つクラフトビール国の中に数多ある州、その中にある一つの村に住む住民の一人くらいの存在だ。私も沼に足を突っ込んではいるが全く把握し切れていない。
それだけ種類があるのだから「ビールってあんま美味しく無くないっすかあ?」とか言ってる人にもこれは好きかもと思えるビールがあるかも知れない。

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