15年前に10回読み返したカーネギーの「人を動かす」を、誰でも10回読めるように要約しました。
第一部:人を動かす三原則
(1)盗人にも5分の理を認める。
■自分は悪くない。
殺人者でさえ、自分が悪いと思っていない。
人をしかるのは愚の骨頂。なぜなら人は自分が間違えていても自分が悪いと思いたがらない。相手は防御体制をしいて自分を正当化し、自尊心を傷つけられて反抗心をいただくようになる。
悪い人間ほど自分のことを棚にあげて人のことを言いたがる。人を非難するのは天に向かってつばをするようなもので、いずれ自分に帰ってくることを知るべきである。
■賞と罰
動物実験では良いことをして褒美を与えるほうが間違って罰を与えるよりよく物事を覚え訓練の効果が上がることがわかっている。
■リンカーンの思想
リンカーンは完全に人間の心を支配したと言われる。
ある事件をきっかけ二度と人を馬鹿にした手紙を書かず、あざけることをしないように決意した。
南北戦争で司令官を次々取り替えねばならなかった。すべての司令官はミスを犯してしまう。国民は無能な将軍を非難したが、心の平静を失わなかった。「人を裁くな、自分が裁かれないためである。(マタイによる福音書7章1節)」との聖書に従順に従った。
※参考:マタイによる福音書7章1~8節
:01)人をさばくな。自分がさばかれないためである。:02)あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。:03)なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。:04)自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。:05)偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。
■ミード将軍
南北両軍の激戦が繰り広げられたとき敵軍が後退し始め自軍にチャンスが回ってきた。当時の司令官ミードに攻撃の命令を送ったが、ミード将軍は指令通りに行わず、攻撃を拒否した。そのうち、敵軍が退却し勝利の好機を無駄にした。
リンカーンはミード将軍にあてて1通の手紙を書いた。
怒りに沸いたリンカーンの様子が見て取れる手紙だった。
しかし、その手紙はミード将軍に届かなかった。
リンカーンが投函しなかったためである。
もし自分が血で血を洗う戦場の様子を目にしたミード将軍の立場だったなら、本当に攻撃できただろうか?と思いとどまったのではないかと考えられる。
■まとめ
人を非難する代わりに相手を理解するように勤めるべきだ。
すべてを知ればすべてを赦すことになる。
神様でさえ、人を裁くには、その人の死後までお待ちになる・・。
ましてわれわれが待てないはずもない。
第一の原則は「批判も非難もしない。苦情もいわない。」ことである。
(2)重要間を持たせる
■人間の欲求と自己の重要感
普通の人間であれば以下のようなものをほしがる。
1.健康と長寿
2.食物
3.睡眠
4.金銭
5.来世の生命
6.性欲の満足
7.子孫の反映
8.自己の重要感
このうち、めったに満たされないものが8番目の自己の重要感である。
前述のリンカーンにおいては人間はだれしもお世辞を好むと言う考え方がある。
建築家が不朽の傑作を残せるのも小説家が偉大な小説がかけるのもこの欲求による。
身近では最新のスタイルを身に着けたり新車を乗り回したり子供の自慢話をするのもみなこの欲求があるためである。
少年犯罪も自分を英雄視してもらいたいことから犯罪を犯すことが多い。
自己の重要感を満足させる方法によってその人の性格・人格が決まる。
■高い給料を得たシュワップ
A・カーネギーが社長に迎えた人物にシュワッブがいる。
彼は巷の高給取りの実に500倍もの給料をもらっていた。
人を扱う名人だったためこれだけの給料を得た。
その秘訣は本人の言葉の引用から読み取っていただきたい。
「わたしには、人の熱意を呼び起こす能力がある。
これが私にとっては何物にも代えがたい宝物だと思う。
他人の長所を伸ばすには、ほめること、励ますことが何よりの方法だ。
上役からしかられることほど、向上心を害するものはない。
わたしは決して人を非難しない。人を働かせるには奨励が必要だと信じている。だから、人を褒めることは大好きだがけなすことは大嫌いだ。気に入ったことがあれば、心から賛成し、惜しみなく讃辞を与える。」
「私はこれまでに世界各国の大勢の立派な人々と付き合ってきたが、どんなに地位の高い人でも、小言を言われて働くときよりも、ほめられて働くときのほうが、仕事に熱がこもり、出来具合も良くなる。その例外には一度も会ったことがない」
どんな人間でも、何かの点で、私よりも優れている。
自分の長所を忘れて他人の長所を考えてみてはどうか。
そうなればお世辞は無用で、心からの賞賛を与えよう。
相手はそれを心の奥深くまでしまいこんで終生忘れない。
第二の原則は「卒直で、誠実な評価を与える。 」
(3)人の立場に身をおく
■自分に関心がある
みな、自分のことでいっぱいである。
だから、人を動かす唯一の方法はその人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてあげることにある。
これを忘れては、人を動かすことはおぼつかない。
■子供を動かす。
子供のタバコを吸わせたくないなら説教はいけないし、自分の希望を述べてもいけない。
たばこを吸うものは野球の選手になりたくてもなれず、100m走に勝ちたくても勝てないことを説明すればいい。
■必ず返信が来る手紙
あるときカーネギーは甥に手紙を書いて「返事を書くように」などと書かずに返事が折り返し来るかどうか賭けをした。
彼は甥にとりとめもない内容で手紙を書いた。
ただ、追伸に5ドルずつ送ると書き添えた。
しかしその金は同封しなかった。
見事に折り返し“感謝の手紙”が来た。
「お手紙ありがとう・・・」
■まとめ
人間の行動は、心の中の欲求から生まれるので、人を動かす最善の法は、まず相手の中に強い欲求を起こさせることにある。
相手の心の中に強い欲求を起こさせると、万人の支持を得ることに成功し、やれない人は一人の支持者をも得られない。
すばらしいアイディアが思い浮かんだらそのアイディアを相手に思いつかせるように仕向け、自由に発展させてみる。
相手は自分のものと思い込み、さらにすばらしい発想が出る。
人を説得して何かをやらせるときは「どうすればそうしたくなる気持ちを相手に引き起こせるか?」
と考えれば自分勝手なムダ口を相手に聞かせずに済むはずである。
第三の原則は、「強い欲求を起こさせる 」
第二部:人に好かれる六原則
(1)誠実な関心を寄せる。
■友を得る方法
友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも相手に純粋な関心を寄せることが効果的である。しかし世の中には相手の関心をひくために見当違いなど力を続け誤りに気づかない人が多い。
人間は他人のことには関心をもたない。ひたすら自分に関心を持つ。
■奇術師・ハワード・サーストン
ハワードサーストンは有名な奇術師である。
観衆をとりこにする氏に成功の秘訣を尋ねた。
他の人が真似できない二つを持っていた。
第一は観客をひきつける人柄であり、彼は芸人として人情の機微を理解している。身振り、話し方、顔の表情など十分な稽古を積み、タイミングに1秒の狂いもない。
第二に人間に対して真実な関心を持っていることである。
たいていの奇術師は観客を前にすると心のうちで「こんな連中をたぶらかすのは朝飯前だ」などと考える。
しかしサーストン氏は「わたしの舞台を見に来てくださるお客様があるのはありがたいことだ。おかげで私は日々を安らかに暮らせる。私の最高の演技をご覧に入れたい。」
と考え、舞台に立つときは心の中で「わたしは、お客様を愛している。」と唱えている。
■ほめてくれる者を好む。
人間はだれでも自分をほめてくれる者を好く。
第一次大戦に敗れたドイツの皇帝は自国民も彼の敵に回り憤慨していた。
そのさなかに一人の少年が真情と賛美にあふれた手紙を送った。
「だれがどう思おうと、ぼくは、陛下をいつまでも僕の皇帝として敬愛します。」
後に皇帝は少年の母と結婚することになる。
■関心の法則
他人に示す関心は人間関係のほかの原則同様、心底からのものでなければならない。関心を示す人の利益になるだけでなく、関心を示された相手にも利益を生まなければならない。
双方への利益が必要である。
本当の友情を育てたいのなら「誠実な関心を寄せる」という法則を心に刻み付けるべきだ。
(2)笑顔を忘れない。
■動作は言葉より雄弁
笑顔は「私はあなたが好きです。あなたのおかげでわたしはとても楽しい。あなたにお目にかかれてうれしい」と語る。
笑顔の効果は絶大で、顔が見えない電話セールスにおいても声に笑顔が伝わる。
また、動作は感情にしたがって起こるように見えるが、実際は動作と感情は並行するものである。
■仕事で成功者になるには
仕事で成功者になるには勤勉に働いてはいけない。
まるでドンちゃん騒ぎをしているかのような具合に仕事を楽しむ人が成功する。真剣に仕事と取っ組み始めるとだんだん仕事に興味を失い、ついには失敗してしまう。
自分と付き合って相手に楽しんでもらうためにはまず相手とつき合って自分が楽しむ必要がある。
■幸不幸
人は幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれる。
また、物事には本来善悪はなく、考え方で善悪が分かれる。
■好意のメッセンジャー
笑顔は好意のメッセンジャーであり、受け取る人々の生活を明るくする。笑顔は雲間から現れた太陽のようなもので、「世間にはまだ楽しいことがあるんだな」との希望を蘇らせる力がある。
第二の法則は「笑顔で接する。」
(3)名前をおぼえる。
■お世辞よりも名前
自分の名前をおぼえていて、それをよんでくれるということは、気分がいい。それはつまらぬお世辞よりもよっぽど効果がある。
逆に名前を忘れていたり間違えて書くと厄介なことが起きることもある。
5万人の名前をおぼえたジム・ファーレーはルーズベルト大統領の選挙の際、ひとりびとりに毎日数百通の手紙を書いた。
ルーズベルトは工場視察などに出向く際、担当者に対して名前で呼んでたずね、労をねぎらった。説明助手で一言も話さなかった工員の名前までおぼえて声をかけていた。
■鉄鋼王カーネギー成功の秘訣。
実はカーネギーは鉄鋼のことを良く知らなかった。鉄鋼のことを良く知る数百人の人を使っていた。人は自分の名前に並々ならぬ関心をもつことを発見しており、これをたくみに利用して協力を得た。
カーネギーは鉄道会社に寝台車を売り込む際、ビジネスにおけるライバルにジョージ・プルマンがいた。2社は互いに競い合い採算度外視の泥仕合を繰り広げていた。
提携をした方がはるかに得策だと悟ったカーネギーは合併話を持ち込んだ。
その際に新会社の名前を「プルマン・パレス車輛会社とします。」との一言で合併話が収まった。
■冷たい会社を温かくするには
会社は大きくなればなるほど人情味が薄れ冷たくなる。
冷たい会社を温かくするには、名前をおぼえるという方法がある。
重役のうちに名前がおぼえられない人がいれば、それは仕事を覚えられないことであり、仕事の基礎ができていないことになる。
人に好かれる一番簡単でわかりきった一番大切な方法は相手の名前を覚え相手に重要感を持たせることだ。
第三の法則は「名前は、当人にとって、最も快い、
最も大切な響きを持つことばであることを忘れない。」
(4)聞き手にまわる。
■世にも珍しい話し上手
著者はある会の席上で有名な植物学者に会った。植物学者とは一度も話をしたことがなかったので、話に魅せられ何時間もその植物学者と話をした。
最後に植物学者は会の主催をしたその家の主人に対して著者をさんざん褒めちぎり、世にも珍しい話し上手だと話した。
驚くべき事実は著者はほとんど話をしていなかったことにある。
植物学についてはまったく無知で、ただ話に熱心に聞き入っていただけだった。心から面白いと覆って聞いたことが相手に伝わり、うれしくなったのだった。
「どんなほめ言葉に惑わされない人間も、自分の話に心をうb割れた聞き手には惑わされる。」という言葉通りのことが起きた。
■怒りを静める
些細なことにもやっきになって文句を言う人がいる。そういう人に対して真っ向から立ち向かうと事態が収まるどころか火に油を注ぎとりかえしがつかなくなる。
ただじっと終わりまで耳を傾けていればたいていはおとなしくなる。
■相手に嫌われる確実な方法
これらの条項を守ることである。
・相手の話を決して長く聞かない
・終始自分のことだけをしゃべる
・相手が話している間に意見があれば相手の話をさえぎる
・相手はこちらよりも頭の回転が鈍い。そんな人間のくだらんおしゃべりをいつまでも聞いている必要はない。話の途中で遠慮なく口を挟む。
世間にはこの条項を遵守している人が実在する。
話し上手になるにはまず、聞き上手になることが必須である。
第四の法則は「聞き手にまわる」
(5)関心のありかを見抜く
■製パン会社の営業の場合
製パン会社で営業をしていたデュバノイ氏はニューヨークにあるホテルに自社のパンを売り込もうとしていた。そのための戦術として、支配人が何に関心を持っているか、どういうことに熱を入れているかを調べた。
彼はアメリカ・ホテル協会の会員、それも会長であることがわかった。
協会の大会がどこで開かれようと飛行機に乗ってでも出席するほどの熱の入れようだった。
交渉の席で協会の話を持ち出したら目を輝かせて協会のことばかりを話した。それが無上の楽しみで情熱の源であった。結局パンのことは何も話せなかったが、数日後ホテルの用度係りから電話があり、パンの見本と値段表を持ってくるようにいわれ、売り込むことができた。
相手の関心を見抜きそれを話題にするやり方は結局双方の利益になる。
相手次第で成果も違うが、どんな相手と話をしてもそのたびに自分自身の人生が広がることが何よりの成果でもある。
第五の法則は「相手の関心を見抜いて話題にする。」である。
(6)心からほめる。
■争いを避ける方法
人間の行為に関して重要な法則がひとつある。これを守れば友は限りなく増え、常に幸福が味わえる。破ると果てしない紛争に巻き込まれる。
それは 常に相手に重要感を持たせること である。
重要な人物になりたいと言う願望が人間のもっとも根強い欲求である。
この願望が動物と人間を区別するものであるとも言われる。
「すべて人にせられんと思うことは、人にもまたそのごとくせよ」
■レストラン
フランス・ルーアンでレストラン経営をするクロード・モーレーは、幹部従業員の辞職を思いとどまらせた。この幹部従業員は5年間モーレー氏と21人との従業員との重要なパイプ役をしてきた女性だった。
辞職を告げられたときモーレー氏は大変なショックを受けた。
いつも構成に処遇して希望をできる限り満たすようにし、従業員より友人として扱っていたからである。
納得するまで辞表はを受け取れないと思い、彼女を呼んでこういった。
「あなたの辞表は受け取れなません。わかってください。あなたはわたしにとっても会社にとってもかけがえのない人だ。このレストランをうまくやっていくには私の努力は別としても、あなたの協力がぜひ必要なのだ。」
さらに全従業員の前で同じことばを繰り返した。
つぎに彼女を自宅に招いて家族の前でも彼女に対する信頼の言葉を繰り返した。
結局辞表を取り下げるようになった。
モーレー氏は以前よりまして彼女を信頼するようになり、彼女もよく働いてくれるようになった。それからは彼女がレストランにとってどれほど重要な存在かを悟ってくれるように仕向けている。
~人と話をするときはその人自身のことを話題にせよ。そうすれば相手は何時間でもこちらの話を聞いてくれる。~
第六の法則は「重要感を与える-誠意をこめて」である。
第三部 人を説得する12原則
(1)議論をさける
ある夜、催された宴会に参加たとき、隣にいる男が
「人間が荒削りをし、神様が仕上げをしてくださる。」 という話をした。
これはシェークスピアの文句であるが、その男は聖書からのことばだと言い張った。
そのときカーネギーの友人がカーネギーに対して「あなたが間違っている。確かに聖書からだ。」と言った。
納得できなかったカーネギーは宴会後にその友人に向かって、問いただした。
友人は
「もちろんそうだ。しかしめでたい席に招かれた客なのにどうしてあの男の間違いを証明しないといけない?
議論などする必要がどこにある? どんな場合にも鋭角は避けたほうがいいんだ。」
議論はほぼ例外なく双方に自説をますます正しいと確信させて終わる。
議論に勝つことは不可能であり、議論に負けてもその人の意見は変わらない。
コミュニケーションは相手を動かすことだと考えると議論は避けるべきである。
(2)誤りを指摘しない。
●高額なカーテン
あるとき、著者はインテリア・デザイナーに部屋のカーテンを作らせた。
あまりに高額の値段で驚いた。
ある婦人が家に訪ねてきたときにカーテンを見て値段を聞かせると、「ずいぶんなお値段ね、大分もうけられたんですよ。」と言われた。
それに対して著者は自己弁護をしてカーテンのよさを説明した。
数日後、別の婦人がたずねてきてしきりにカーテンをほめそやし、自分も金さえあればぜひほしいものだといった。
著者は「実はこんなものを買う金はありません。ぼられたような気がします。
注文しなければよかったと後悔しています。」と、自分の否を認めた。
●誤りはさりげなく気づかせる。
自分の誤りを自分で認めることは良くある。
相手から指摘された場合、相手の出方が優しくて巧妙だと、あっさり兜を脱いで、むしろ自分の率直さや腹の太さに誇りを感じることがある。
しかし、相手がそれを無理やりに押し付けてくると、そうはいかない。
(3) 自分の誤りをただちにこころよく認める。
(4)おだやかに話す。
上記2点については読んで字のごとし。
(5)「イエス」と答えられる質問をする。
相手にいったんノーといわせると、それを引っ込めさせるのはなかなか容易なことではない。
「ノー」と言った以上、それを翻すのは自尊心が許さない。
「ノー」と言って後悔する場合もあるとしても自尊心を傷つけるわけには行かない。
言い出した以上、それを固執する。
だからはじめから「イエス」と言わせる方向に持っていくことが非常に大切だ。
「ノー」というときには各種の分泌線、神経、筋肉などの全組織を上げていっせいに拒否体制を固める。
逆に「イエス」と言わせれば相手をこちらの思い通りに引っ張ることができる。
(6)しゃべらせる
相手を説得するときには相手にしゃべらせるのがいい。
相手の言うことに異議をはさみたくなっても、我慢しなくてはならない。
相手が言いたいことをまだ持っている限り、こちらが何を言ってもムダである。
内装用の敷物類を1年分購入しようと自動車会社がメーカーに提案を依頼した。
そのうち1社のメーカー担当者はのどをつぶしていて満足に話をすることができなかった。
紙に「のどが痛くて声が出ません」と書いたところ、自動車会社社長が代わりに話すことになった。
この社長がこのメーカー担当者の代弁をし、味方になっていた。 もちろんこの契約はこのメーカーが取った。
(7)思いつかせる。
人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうをわれわれは遥かに大切にする。
人に自分の考えや意見を押し付けるのは間違いと言える。
暗示を与えて、結論は相手に出させるほうがよほど利口である。
あるX線装置の営業が、大学に自社製品を売り込む手紙を書いた。
『当社で最近X線装置の最新版が完成しました。
今回の製品も完全なものと決して思っていません。
いっそう改良に努力したいと考えています。
いちど先生のご検分を賜り、改良の方法につきご意見をお聞かせ願えればこの上ない幸せです。
ご一報くださればお迎えの車を差し向ける用意をしております。』
この教授は購入し、
「それを売りつけられたのではない。私の気持ちが自発的に動いた。
その装置の優秀さにほれ込んで契約を結んだ」
と語った。
(8)人の身になる。
相手が間違っているとしても、本人は間違っていると思わない。
いや、わかっていても間違っていると認めることができない。
かといって相手を非難しても何も始まらない。
賢明な人間は相手を理解しようと努める。
「もし自分が相手だったら、果たしてどう感じ、
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どう反応するだろうか?」」
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と、自問自答してみるといい。
そうすると腹立てて時間を浪費するのがばかばかしい。
原因に興味を持てば、結果に同情を持つことができるようになる。
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一般的に自分の意見を述べるだけでなく、相手の意見も尊重することで話し合いの道が開かれる。
話し合いの目的、方向をはっきりさせて、相手の身になって話を進め相手の意見を受け入れれば、こちらの意見も相手は受け入れられる。
(9)相手の考えや希望に対して同情を持つ。
口論や悪感情を消滅させて相手に善意を持たせ、
言うことをおとなしく聞かせる魔法の言葉は
あなたがそう思うのはごもっともです。
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もし私があなただったら、やはり、そう思うでしょう。
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こういって話を始めるとどれほど意地悪な人間でも
おとなしくなる。相手の立場になれば、当然相手と同じ考えになるため、100%の誠意がこもる。
ある大歌手のマネージャは、いつも手を煩わされた。
夜舞台に立つにもかかわらず、その日のお昼に
「気分が悪い、のどの具合が良くないので今夜は歌えない。」
ということがよくあった。
このマネージャは決して逆らわす、しきりに同情を見せた。
「お気の毒ですね、もちろん、今夜は歌わないほうがよろしい。
取り消しましょう。無理に歌って評判を落とすよりも、2000ドルの契約を取り消すほうがはるかにあなたのためです。」
と伝える。
そうするとその歌手はいつの間にか舞台に立つようになっていたそうだ。
人間は一般的に同情をほしがる。子供は傷口を見せたがる。
同情を得たいがために、自分から傷つけることもある。
大人も同じだ。
(10)人の美しい心情に呼びかける。
通常、人間の行為には2つの理由がある。
・いかにも美しく潤色された理由
・真実の理由
自分の行為については美しく潤色された理由をつけたがるものである。
ある修理会社で修理代を払おうとしない客が数名いた。
部が不当に請求されているということだった。
しかし会社側はサインを取っているため埠頭ではないと感じている。
■このようにすすめてしまった。(果たして正解だったのか?)
①得意先を訪ねて払うように正面からぶつかった
②請求書は間違っていない、客が間違っていると伝えた。
③自動車のことは会社が客より遥かに知っている。
④その結果、激しい議論になった。
■後日、このようにしたところほとんどの客が払った。
①遅滞の修理代に触れず、会社のサービス状態の調査だと訪問した。
②会社側にも落ち度があるかもしれないといった。
③車についてはお客さんが権威者であり、よく知っていると伝えた。
④相手にしゃべらせ、期待通りに同情と興味を持って耳を傾けた。
⑤相手が冷静になったのを見極めて、公正な判断(美しい心情)に訴えた。
「あなたの公正で寛容なお人柄にすっかり感心しました。
あなたでないとできないお願いがあります。それはあなたが一番知っていらっしゃることです。ほかでもございません請求書です。
これをあなたに訂正していただければ、私も安心できます。
あなたが私どもの会社の社長になったつもりで訂正してください。
万事お任せして、ご訂正どおりに取り計らわせていただきます。」
その結果、ほとんどの客が気持ちよく代金を払った。
そればかりでなく、このすべての客から新車注文を会社が受けた。
『相手を立派な紳士とみなして苑つもりで取引を進めると間違いがない』
(11)演出を考える。
現代は演出の時代である。
単に事実を述べるだけでは十分ではない。
事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。
興行的な手法を用いる必要がある。
テレビ・コマーシャルには、劇的効果を利用しているものが多くある。
テレビを見ながら広告業者が知恵を絞って、商品を売り込もうとしている様子を研究するとよい。
筆者が新しいレジの売込みをする際に、ある演出をした。
旧式のレジを使っていた店主に「あなたの店では、お客さんが一人カウンターを通るたびに金を捨てているようなものですよ」という言葉とともにひとつかみの小銭を床に落とした。
その瞬間から店主は筆者の言葉に耳を傾けた。
ドラマチックな演出は子供にも応用できる。
子供が片づけをしないのに手を焼いていたあるお母さんが思いついたのが「汽車ごっこ」でカートに「石炭」に見立てたおもちゃを入れていく演出である。
それによって子供は喜んで片づけをするようになった。
(12)対抗意識を刺激する。
業績があがらない鋳物工場があった。
どれだけおだてても脅してもまったく成績が上がらなかった。
気を揉んでいる矢先に、夜勤と昼勤の交代時間が近づいた。
昼勤の作業員に「君の組は何回鋳物を流したか?」と聞いたところ「6回です」と答えた。
工場の改善を担当したシュワップは何も言わずに床の上に大きな文字で「6」と書いて出て行った。
勤務交代時に夜勤作業員が昼勤作業員に「この文字は何か?」と尋ねたので、
「何回鋳物を流したかを親分が書き付けていった。」と答えた。
次の日の朝には 数字が 6→7 に書き換わった。
次の日の夜には 数字が 7→10 に書き換わった。
業績不良のこの工場はあっという間に生産率No.1工場にのし上がった。
成功者はみなゲーム好きである。
それが自己表現の機会になるからである。
存分に腕をふるって相手に打ち勝つ機会が競争や競技を成立させる。
優位を占めたい欲求、重要感を得たい欲求を刺激すればよい。
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15年前に、社会人なり立てだった私が、まとめていたものを校正しなおしました。
この思想が今でも役立っていますよ。
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