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しがCO₂ネットゼロ次世代ワークショップ|DAY1

しがCO₂ネットゼロ次世代ワークショップとは、滋賀県で持続可能な社会の実現に向けて取り組む地域、団体、企業へのフィールドワークを通して、滋賀県らしいCO₂ネットゼロの行動・取組アイデアを考えるプログラムです。 本ワークショップでの意見交換等を通じて生まれたアイデアを広く発信することにより、滋賀県内のCO₂ネットゼロに向けた取組機運の向上を図ることを目的としています。

自己紹介・アイスブレイク

全5日間のプログラムのキックオフとなるDAY1は、滋賀県総合企画部CO₂ネットゼロ課の萱原慧悟さんによる本事業の説明からスタートしました。
萱原さんからは、滋賀県では「しがCO₂ネットゼロムーブメント」という県をあげて力を入れている取り組みの内容、県内の大学生がデザインしたロゴマークに込められた意味と、今回のワークショップも含め若い世代がCO2ネットゼロに向けた取り組みに参加することへの期待をお話ししていただきました。

次に、このプログラムのファシリテーターを務める成安造形大学 未来社会デザイン共創機構の田口真太郎さんから、この場をより良くするためのグランドルールとして「お互いを尊重する」「わからないを大切に」「傾聴の姿勢」が共有されました。

アイスブレイクでは、3つのグループに分かれて、ジェスチャーゲームを行いました。お題をもらったメンバーのひとりは、言葉を発さずにジェスチャーだけで他のメンバーに伝えます。用意されたお題は、「ゾウ」「料理人」「電気自動車」「干ばつ」「水力発電」など、初級から上級までありました。上級は、今回のワークショップのテーマに関連する内容もあったのですが、ジェスチャーだけでどう表現すればいいの?!と伝える側は困惑していました。
私のチームは、とにかくキーワードをたくさん言って当てるという作戦で、制限時間以内に全てのお題に答えることができました。このアイスブレイクを通して参加者の距離が近くなり、チームワークも一気に高まったように感じました。

アイスブレイクを行う様子

レクチャー

自己紹介・アイスブレイクのあとは、NPO法人愛のまちエコ倶楽部の伊藤真也さんから、愛のまちエコ倶楽部で現在取り組んでいる「菜の花エコプロジェクト」を中心に、その歴史的経緯についてお話ししていただきました。伊藤さんは、このCO₂ネットゼロ次世代ワークショップのプログラムコーディネートを担当してくださり、DAY2以降のフィールドワークをはじめ、CO₂ネットゼロを考える上で参考になる情報を東近江市のローカルな体験から提供してくださることと思います。

菜の花エコプロジェクトとは

「菜の花エコプロジェクト」とは、1998年に愛東地域から始まった地域内資源循環モデルのことです。菜の花を栽培し、菜種から菜たね油を搾り、家庭や学校で調理後天ぷら油など廃食油を回収、廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、農耕機や市内を走る循環バスで利用することですることでカーボンニュートラルを推進し、菜の花を育てることで光合成による二酸化炭素吸収が行われる、というように資源を循環させる取り組みをしながらCO₂の削減という環境負荷低減を目指しています。

せっけん作りや菜の花栽培など菜の花エコプロジェクトを行政・市民と一体になり取り組んでいるのが、伊藤さんらNPO法人愛のまちエコ倶楽部です。愛のまちエコ倶楽部は、東近江市愛東町を拠点に「F(Food),E(Energy),C(Care)」で自立する地域」を掲げ、関係するさまざまな団体や住民を巻き込んで持続可能な暮らしづくりと地域づくりを目指して活動しています。

菜の花エコプロジェクトについてレクチャーを受ける様子

ローカルな暮らしづくりに関わる活動については、DAY2でお話ししていただきます。

環境問題に視点を変えて取り組む

赤潮が発生したことをきっかけに水質汚染/富栄養化を防ぐ運動として「せっけん運動」を生み出しました。しかし、無リンの合成洗剤の登場によりせっけんの需要が減り、廃食油だけが余るようになりました。そんな時、次はエネルギーの問題に着目して廃食油からバイオディーゼル燃料を精製し始めました。現在、発電機や循環バスで使用されていますが、メーカー推奨ではないため故障した際の補償がないという課題もあるそうです。

少しずつ輪を広げる

市民から広がったせっけん運動は、赤潮というインパクトが他の公害問題と比べて自分たちの暮らしにも原因があるという点で積極的な市民の行動につながったといえます。
エネルギーの視点では、今後、滋賀県内の小学5年生が体験学習する「うみのこ」での利用も目指し、エネルギーの地産地消を東近江市から滋賀県に広げていきたいとのことでした。

菜の花館施設見学

伊藤さんのお話を聞いたあと、実際に施設の見学をさせていただきました。まず、せっけんづくりが行われている施設を見せてもらいました。せっけん運動から始まった廃食油を使ったせっけんづくりは、かつて県内で盛んだったものの現在では愛東地域のみになりました。施設内の設備からも年季を感じました。

つぎに、廃食油をバイオディーゼル燃料にする工程を見せていただきました。機械の内部は確認できないのですが、どんなふうに廃食油から変化するのか、ビンのモデルを使って学びました。
(*アルカリ触媒をメタノールに溶解させ、廃食油と撹拌反応することでグリセリンとメチルエステル(バイオディーゼル燃料)に分離される。バイオディーゼル燃料より重いグリセリンが下に沈み、除去します。その後、洗浄・脱水することで完成。)

最後に、土壌に炭素固定できることでカーボンニュートラルにおいて注目されているもみがらくん炭の製造工程を見せていただきました。もみがらを燃やす窯は約600~700度で外からも熱を感じました。このもみ殻くん炭となたね油のしぼりかすを使った肥料「菜ばかす」は、地元の農家さんに人気なのだそうです。「菜ばかす」については、なたね油の搾りかすなので菜種を搾ってなたね油を売らないと生産できないため、肥料の需要課題もあります。
(*キャノーラ油は通常菜種に溶剤で使用して90%以上の油を抽出しますが、ここでは圧搾のため約60~70%ほどしか油が取れないのだそう。菜種の含油率は約40%で、菜種1kgの場合、約300gの菜たね油となる。)

協力していただいた方々、ありがとうございました!

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