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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.182 読書 小野不由美 「営繕かるかや怪異譚」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 小野不由美さんの 「営繕かるかや怪異譚」についてです。

ここ最近ハマっている大好きな小野不由美さん。

今回はこれもシリーズ化している「営繕かるかや怪異譚」の第1巻。

家にまつわる怪談短編集で、さまざまな怪現象を営繕屋(家の修理などをする大工さん)が解決していく。

古い家ってやはり独特な雰囲気がありますよね。

”家”は単なる箱ではなく、そこで生きていた人死んだ人の何かが残るのでしょうか。

6編ありますが、どれも落ち着いた現代の話でしっとりと少しぞくっとするお話ばかり。

家の怪談を大工さんが解決するというのが、霊媒師やお坊さんではないところがまた良いですね。悪霊退散するのではなく、ちょっと風通しを良くするような感じで。

不思議とホラーなのに爽やかな印象があります。





第一話は、叔母から受け継いだ古い屋敷。

その家の奥の部屋の襖が何度も閉めても、自然に開いてしまう。

何かがそこから出てこようかとするようだ。

第二話は、屋根裏から何かが動き回る音がする。正体を確かめようと住人が屋根裏に上がると。

第三話は雨の日、喪服を着た女性が鈴の音とともに現れる。

その女性が現れ家にはいると、その家の誰かが死ぬ。

ついに自分の家の近くまで来るようになり、次は自分の番

第四話は、引っ越しした家に知らない老人が徘徊している。

箪笥を開けても、冷蔵庫の中にも。家族にはその老人は見えない。

第五話は念願の一戸建てを買うとそこに井戸がついていた。

主人は井戸の横の小さな祠を壊して、庭をきれいに。

それから庭の草木は枯れ、生臭い怪物が徘徊するようになる。

第六話は、古い物件を買ったシングルマザー、車が壊れ、駐車場のシャッターが勝手に降りる現象がある。ある日駐車しようとバックで車を入れていると、モニターに少年の姿が映る。



そう、さすがゴーストハンターなどを書いている小野さんなので、怪談はさすが一級品の怖さを持っています。

雨の日に喪服を着た女が尋ねると必ず死者が出る話は、映像が浮かぶようで、雨の中、鈴の音が鳴り、黒い喪服の女が静かに歩いている様子はゾクゾクっとしました。

ただ、この本は、主人公が朴訥とした営繕屋(修理をする大工さん)。

何も霊能力もありません。とても真面目な雰囲気の青年。

ただこういう案件(霊にまつわる)を何度もやってきているのか、

いろいろな人から紹介されて、怪現象で困っている人の家を修理に行く。

結局彼のプライベートも、過去も明かされず、掴みどころがないですが

なんだか信頼できて、良い風を感じさせる、人でした。

幽霊を祓うのではなく、共存するか少し距離を置く姿勢が、今作のテーマなんでしょうか?

まあ地震や台風の様に、自然災害と同じように扱っていますね。

怖い話ですが、全体的に優しさに包まれる。

第二弾、三弾もあるそうなのでそれも楽しみです。

今日はここまで。


本来、道の突き当たりに門戸を作ることは避けるものなんです。
魔を、呼び込むから、路殺といって、家相のうえでは凶とされます。
ですから入口は、わざとずらすのが古くからの常識です。
/P.124 小野不由美「営繕かるかや怪異譚」より

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