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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.223 映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎真実一路」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 山田洋次の「男はつらいよ 寅次郎真実一路」(1984/日)についてです。


男はつらいよシリーズ34作目。自分が鑑賞しているこのシリーズは40本。

マドンナは大原麗子さん、今回で二回目。

寅さんと仲良くなった証券会社の課長さんの奥さん役。

今回は恩義のある課長が蒸発し奥さんと探しにいく話。

人妻への禁じられたほのかな恋というのが今回のテーマ。

バブル前猛烈に働く証券会社の様子が、一瞬男はつらいよの映画のことを忘れてしまうほど、リアリティがあり印象に残る。

そして大原麗子さんは相変わらず他の女優の中でも群を抜いて美しい。

美しいだけでなく、あの声、端正な顔立ち、人妻なのに妙に色香が漂う。

寅さんが「あんな綺麗な奥さんがいながら勿体無い。俺なら一日中顔を見ている。」というのも納得。



物語は、柴又に帰った寅さんはタコ社長とあけみの喧嘩に巻き込まれ、その挙句大げんかになりとらやを出る。

上野の焼き鳥屋で飲んでいたけど持ち合わせがなくさくらに電話をかけてお金を持ってきて欲しいと頼むが呆れられて断られてしまう。

たまたま隣にいた証券会社の課長(米倉斉加年)は寅さんが無銭飲食で捕まってしまうと思い、寅さんと一緒に飲んで支払いまでしてくれる。

翌日、昨日のお礼に証券会社に挨拶に行く寅さん。そこでは猛烈に証券会社のサラリーマンたちが働いていた。

課長が仕事が終わるまで会議室で昼寝して、またその夜一緒に飲みに行く。

また意気投合して、課長の郷里の話を聞き、泥酔して課長の自宅つくば市に泊まらせてもらう。

朝起きると課長はもう会社に行っていて、自宅には課長の清楚で美しい奥さん(大原麗子)がいる。

彼女から課長が仕事人間で朝早く行き夜遅く帰ってくると話を聞く。

寅さんは旦那さんが忙しく孤独な悩みを聞き、主人が連れてきた見知らぬ寅さんにとても親切にしてくれた優しい奥さんに好意を持つ。

数日後、その課長は突然出勤途中に失踪する。忙しい毎日とフーテンの寅さんに会って何もかもから自由になりたかったのか。

奥さんから失踪のことを電話で聞いて、筑波まで行き今後どうするか相談して奥さんを励ますためにとらやにも招待する。

また数日後郷里の鹿児島から課長の姿を見たと連絡があり、寅さんはタコ社長から5万円を借り、奥さんと一緒に鹿児島へ課長を探しに行く。

実家に寄った後、課長の思い出の地を回る。親族から温泉で見たという情報があり
宿帳には車寅次郎とわかりやすい偽名で書いてあり確かにこの旅館まできていたことがわかるが、見つけることはできない。

その日は旅館に泊まり、奥さんはどんなことが起こっても覚悟はできていると泣き、寅さんはきっと生きているよと慰める。

奥さんは寅さんと一日あちこちを歩いて、それだけでも楽しかったと言う。

結局課長を探せないまま鹿児島から柴又へ戻ってくる。

寅さんは悶々とし、奥さんを思うあまり課長が戻ってこないことを願う自分に嫌気がさし、奥さんのことを忘れようとまた旅に出ようとする。

そこへボロボロの課長がとらやに現れる。寅さんは一瞬落胆の顔を見せるがすぐ我に返り奥さんの自宅へタクシーで連れて行く。

再会を果たして涙で抱き合う二人を見て、寅さんは去る。

旅先からさくらに電話がかかり自分の醜さから解放された寅さんの声は晴れ晴れとしていた。



モーレツ証券マンを演じた米倉斉加年さんは結構男はつらいよシリーズに出ている。東大の先生や巡査役など。

なんだか抜けている感じが味がある。

今回はスーパーエリートなのに、夜は一人でお酒を飲み、途中で何もかも手放して失踪してしまう証券マン。

この時代はまだバブル前で、とにかくガンガン24時間働くのがかっこいいとされていた時代。それでも仕事で体を壊した人も家庭が崩壊した人も多かったのでしょう。

仕事もしないでフーテンの寅さんと仕事人間の課長さんとの対比が今作は面白い。

好きなシーンは寅さんがお土産にバナナをフサに付けたままを証券会社に持っていく。

課長は迷惑そうにそれをもらうが、会議にそのバナナを持っていき机の上に置いておくと、仕事の話をしながら、無意識に一人バナナを食べながら議論して、また一人バナナを食べ、最後には全員バナナを食べながら仕事の話をするシーンが可笑しい。

そう山田洋次さんの食事のシーンはいつも美味しそうで大好きです。

そして大原麗子さん。

ものすごく美しく品性のある女性だが、やはりハスキーな甘いあの声を聞くと、魔性な女性の片鱗を見てしまう。

今回は人妻。それも恩義のある課長さんの奥さん。寅さんは絶対手を出せない存在。

それなのに、寅さんの心の片隅で、旦那さんが戻らないようにと思ってしまう醜さを感じさせてしまうほど、

やはり大原麗子さんの美しさは魔性ですね。

旅館で寅さんに言った台詞「つまんない、寅さん…」は、やばいです。

どういう意味?


今日はここまで。



「もうひとつ部屋を取ればいいじゃないの」
「好きであんなヤツのところに泊まりに行くんじゃありません。
旅先で妙な噂が立っちゃ課長さんに申し訳ないと思いまして」
「つまんない、寅さん…」
「奥さん、オレはきったねえ男です…」
「ごめんなすって」

寅さんと奥さんが課長を探しに旅館に行って泊まらなくてはいけなくなったとき、寅さんはタクシーの運転手の家に泊めてもらうことに。
/「男はつらいよ 寅次郎真実一路」より











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