応用情報技術者試験(AP)の傾向と対策
応用情報技術者試験(以下AP)とは「高度 IT 人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT 人材としての方向性を確立した者」を対象とした、経済産業大臣が行う国家試験です。
平成30年度の実績では合格率は23.1%と低く、受験した4人に1人程度しか受からない計算です。
基本情報技術者(以下FE)も合格率が25.6%と低いですが、統計データから受験者の構成は現役大学生から入社3年目までの社会人あたりが中心だと推測されます。
それに対してAPの受験者の平均年齢は31.4歳で「ソフトウェア業」に勤務する方が多いことから、ITを専門とする中堅のエンジニアが中心だと推測されます。
この受験者構成の中で4人の内の1人に入るのはそれなりに準備が必要だと思います。また、受験機会が半年に1回しか無いため1度落ちると次の受験までモチベーションを保つことは相当に困難な事が考えられます。(結局、直前まで対策をせず2回目のアドバンテージを大して活かせなまま再度受験することになると思われる)
APの受験者の中には業務で必要だからと言う理由な方も多いと思いますが、何度も不合格になっていると意外と周りにチェックされているので気を付けて下さい。(学力が無いと言うより、計画立てて物事を進められない人だと思われてしまう)
これらを踏まえて筆者がAPに合格した勉強法方法を共有したいと思います。
勉強時間は15時間から20時間くらいを想定していますが、FEに既に受かっている(or受かる程度の知識が既にある)ことを前提としています。
1ヶ月前から勉強するなら毎日30〜40分程度の感覚です。
午前の対策
まず午前の対策です。
午前の問題は下記のようになっています。
基本的にはFEと同じ時間と問題数、出題形式となっています。
APだからFEよりも難しくなってるんでしょ?と思う方も多いと思いますが、そんなことはありません。設計や開発分野の問題の難易度としてはほぼ同じです。じゃあどこが変わったの?と言うと、出題範囲が増えています。
APでは情報技術を活用した戦略立案に関する知識を求められるので、上記に加えてシステム戦略や経営戦略、サービスマネジメントなどについて勉強しておく必要があります。
逆に言えば、FEに合格されている方であればこれらを勉強するだけで十分でしょう。
APの午前の出題は下記の9分野なので6から9を中心に勉強するイメージです。FE合格相当の知識がある人は1から5の勉強は改めては不要でしょう。
1.基礎理論(基礎理論、アルゴリズムとプログラミング)
2.コンピュータシステム(コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア)
3.技術基礎(ヒューマンインタフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ)
4.開発技術(システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術)
5.プロジェクトマネジメント
6.サービスマネジメント(サービスマネジメント、システム監査)
7.システム戦略(システム戦略、システム企画)
8.経営戦略(経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ)
9.企業と法務(企業活動、法務)
午前に関しては書籍などを買って勉強する必要はありません。ネットなどに過去問が載っているページがあるのでその勉強で充分です。
例えば、過去問道場と言う過去問を一問一答形式で出題できるサイトがあります。これで「2.分野を指定して出題」を選び"マネジメント系"と"ストラテジ系"を指定して集中的に解いていくことをオススメします。
勉強時間の配分としては、全体の20%程度を当てるので良いかと思います。
午後の対策
次に午後の問題についてです。
APの肝は午後といっても良く、ここをきっちり押さえておく必要があります。また、FEと違って記述式の問いも出てくるので、そのあたりの傾向と対策も必要です。
まず、APの午後の対策には書籍が必須だと考えます。
下記の11分野の内、セキュリティを必須として残り4つが選択式になっています。
1. セキュリティ
2. ストラテジ
3. プログラミング
4. システムアーキテクチャ
5. ネットワーク
6. データベース
7. 組み込みシステム開発
8. 情報システム開発
9. プロジェクトマネジメント
10. ITサービスマネジメント
11. システム監査
過去問をひたすらに解く必要がありますが、HPの過去問だけでは物足りないでしょう。いくつかの書籍を見ましたが、こちらのものが解答もよく纏まっておりオススメです。
基本的にはこちらの書籍を繰り返し学習することが対策になります。
ただし、闇雲に全部の問題を解いていたのでは15から20時間の学習時間では足りません。少なくともポイントを絞ることが大切です。
まず、セキュリティ問題は必須なので少なくとも3年分の過去問は解きましょう。
まずは自分の得意な分野を3年分
次にセキュリティ以外で自分の得意とする分野の過去問をこちらも少なくとも3年分の過去問を学習しましょう。自分の得意とする分野であれば知識としては問題無いため効率的に学習できます。過去問をやることで解答の形式や時間配分の感覚に慣れて置きましょう。少なくとも20分程度で大問を解けるようになっていれば当日、他の問題に多くの時間を割けることが出来るため有利です。逆に業務などで触れたことの無い分野の問題は学習時間を限るのであれば、すっぱり諦めることも肝心です。例えば、組み込みに触れたことの無い方が「7. 組み込みシステム開発」に学習時間を割くことは試験対策と割り切る場合には、オススメしません。
ストラテジ系問題の選択はオススメ
また、APの試験は国語の問題と揶揄されることがあり、きちんと問題文を読解出来れば事前知識なしに解けてしまうものがいくつかあります。この特徴が顕著なのがストラテジ系なので「2. ストラテジ」は積極的に選択するべきだと思います。過去問も基本的にはやる必要は無いと思います。やるとしても記述式の解答文のノリを掴むために1年分やる程度で充分でしょう。ただし、AIDAモデルやRFM分析、SWOT分析などはどうしても用語を知っている必要があります。このために過去問を解くのではなく、いきなり答えを見てしまって、解答内の上記キーワードをチェックしていきます。赤線などを引いて置いて試験直前の休み時間に見直すとさらに良いと思います。(どうせ直前にはその程度しかできません)
ネットワーク系の学習はコスパ良し
ネットワーク系の問題は学習時間に対して効率が良いので、普段ネットワークを専門にするのでは無い方も数年分は学習して解けるようになっておくのが良いでしょう。データベースの問題などは全く知らない人が解くと殆どの出来ないと言った悲惨な結果に終わることもあるかと思いますが、ネットワークはぶっちゃけそんなに難しい問題は出ないのでしっかりと対策していけば少なくとも半分以上は正答出来るようになるはずです。
選択問題の中で簡単そうな物をその場で確認すべし
受験の後に某掲示板などで他の受験者の感触を調べたりしたことがある方なら分かると思いますが、選択問題の中でも難易度にかなりのバラツキがあります。こればっかりは当日に実際に問題を見るまではわかりませんが、最初の5分程度は選択式問題の取捨に時間を使っても良いと思います。ポイントはざっと問題を見たときに大体わかると言う感覚があるかどうかです。パッと見て全く分からない問題は例え事前に学習した分野でも選択しないことです。
最後に
これまで記載したことに注意して学習すれば必ずや良い結果になると信じています。
APに合格した暁にはPMやESなどさらに上位の試験もありますので、さらに高みを目指して頑張っていきましょう!
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