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井中蛙の映画感想51! 2024/1/26(金) 【機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】※ネタバレ注意

 【機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
 鑑賞日:2024/1/26(金)
 視聴方法:劇場(川崎チネチッタ)

 今年の初劇場体験はこれや! 一度2000年代半ばにポシャった認識でいた企画がまさかの20年越しに実現ということで、以前からかなり楽しみにしていたタイトル。SEEDシリーズはリアタイ当時見ていたものの、だいぶストーリーが抜けていたので、去年やっていた総集編7部作の連続上映を全制覇してざっくり復習済みの状況でした。結論から言うと20年前のおぼろげな記憶だけを頼りに見るよりも、キャラへの思い入れを入れ直してから見た方が絶対に良い内容だったので、正解の鑑賞スタイルだったと思います。ちなみにネタバレを踏まずに観たかったので公開初日に突貫。座席も早々に埋まっておりやむなく最前列で見たので、首が痛い&目線移動が疲れてしまった。

・SEEDというと割と陰惨な世界設定とストーリー展開が特徴という印象なので今回もその路線を想定して鑑賞したのだが、テーマ性の深いストーリーでありながら、勝利→敗北→大勝利の王道が2時間に納まっていた上に、往年のファンへのサービスとしてのオールスターお祭り展開も最後にしっかり用意されており、正直かなりテンション上がって大満足でした。SEEDの映画でまさか鑑賞後こんな高揚感を感じるとは。

・20年越しの続編ということでどんな話をやるかは気になっていましたが、SEEDの物語として見ると、DESTINYラストの「デュランダルの理想を否定したキラたち」の”その後”を描きつつ、これまで主人公とヒロインのカップリングでありながら意外と描写が曖昧だった「キラとラクスの関係性」を正面から深堀りする内容で、かなり納得感は強いものだったと思います。当時唐突で宙に浮いた印象のあったデスティニープランについてもようやく今回掘り下げられたということで、遡ってDESTINYの作品評価にも影響を及ぼしそう。

・ストーリー・テーマ的にはDESTINYの正当続編的な要素が強く、本来なら当時テレビ版から間を置かず世に出したかっただろう内容だったので、細部のブラッシュアップは行いつつもプロットなどのベースは企画当時に両澤さんが残したものから大きく変えていないことは伺えました。新キャラクターの声優陣も最近旬の方というよりは、当時から活躍されている方が多かった印象。

・じゃあ話のテーマとして古臭いのかというとそんなことはなく、テレビ版のベースとなっていた「メリトクラシーを背景とした人種対立」という世界設定をうまい具合に今でも通じる形に昇華していると思いました。(モスクワにビームが降る展開はちょっと現実の皮肉っぽいけどこれもたぶん偶然かな)

・大量破壊兵器が気軽に放たれる展開、西川兄貴の挿入歌やラストの男女の裸とかの「これぞSEED!要素」は満載だし、パイロット同士が激しく問答し合いながらのロボットバトルシーンはガンダムの様式美全開で、こういう定番をちゃんと抑えてくれるのは良かった。

・キラとラクスのドラマを中心に置きつつも、サブキャラ周りの描写も短時間ながら要所を押さえていたのは満足度高かった。特にシンはテレビ版での扱いの悪さを吹き飛ばす活躍ぶりでだいぶ報われた感がある。キラ信者でありながらアスランに当たりが強いという立ち位置はちょっと面白いし、子犬みたいな可愛さをところどころ見せててだいぶ好きになった。

・中盤、一人で抱え込み挫けるキラを殴って叱咤する役割を担うのがアスランなのは、シリーズを追ってきたファンとしてはめちゃくちゃ感慨深かった。元々この2人の話から始まったシリーズでもあるからね。

・桑島法子さんの演じるキャラがまさかの生存・・・!

・新キャラの中では大塚芳忠さんの艦長と福山潤さんの早口技術士官が一推しかな。

・アーサーがかつてと同じ様なヘタレの役どころでちょいちょい挟まってきたり、サイやバルドフェルドがセリフが無いながらもチラチラ映ったりと、シリーズのネームドキャラのカメオ出演が多かったのも往年のファンとしては嬉しい要素。

・戦いものの続編作品で恐れるべき展開「前作からの続投キャラが死ぬ」について、「SEEDからのネームドがDESTINYで戦死した例」は無かったはずなのでまあ大丈夫だろうと予想しつつも、DESTINY終盤で準モブとして登場したドムトルーパー3人衆あたりが何となく危ない予感がしてたんですが、嫌な形で的中してしまった。あと予告編から予想はしてたけど無印SEEDから不沈を誇ってきたアークエンジェルが沈むのはやっぱちょっと悲しいわね。

・去年スペシャルエディションを観てからの俺の中でのひそかな推しキャラ、オーブ軍人のアマギ一尉まで出てきた時にはここまでやってくれるのかと感涙してしまった。

・ニコル斬りの回想が2回も挟まるのは流石、期待を裏切らなすぎだろ・・・

・新MSのライフリとイモジャはたぶん前座だろうとは思ってたけど、ストフリ、隠者に加えてデスティニー、さらにはデュエルとバスターまで引っ張ってくるのは熱すぎるだろ! ガンプラが欲しいという気持ちと、一度引っ越しを経験してもう部屋に物を増やしたくないという気持ちがかなりせめぎ合っている・・・!

・ズゴッグに乗って救援に来るアスランは意表を突きすぎだろ!

・最終決戦は盛り上がりまくりで最高だったのだけど、ムウがレクエイムを無力化したあたりでほぼキラサイドの勝ちが確定してしまい、あとは各キャラが順番に無双シーンを披露する消化試合感が出てしまったのはやや残念か。ファウンデーション側にも何かしら隠し球があってもう一往復くらいハラハラする一進一退を観たかったかも。

・企画が再始動して完成・公開に漕ぎ着けたのはめでたいが、20年という月日は続編をやるには間が空きすぎだし、内容的にも当時やっておくべき作品だったとも言える。しかし一方で当時はテレビ版の評価も良くなかったところもあったので、仮に10代の時にこの作品を見て今日と同じ高評価を下したかどうかはわからない。時間が経過した今、シリーズの再評価が進んだ状況の中で復習をして、作品の魅力に気づき直した上で新作に臨む・・・というのは鑑賞タイミングとしてはわりと絶妙だったと思います。

・昔ガンダムSEED見てた人はぜひ、総集編とかでもいいので一旦シリーズに触れ直した上で見に行くことをお勧めします。20年越しのクライマックスを見届けろ!

・余談だが今回初めてムビチケなる物を買って鑑賞したんだけど、カード型でコレクションしやすく、鑑賞歴や思い出の整理にもなりそうで、見たい映画のものは積極的に買っていこうと思った。

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