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「あの事業所にいけば就職できる」というブランドを目指して~社会参加のファーストステップを提供する場所へ~

 心身の不調によって退職や休職を余儀なくされた方々の社会参加を支援する社会資源のひとつに、自立訓練(生活訓練)事業所があります。
 今回は、私たちインクルードが運営している自立訓練(生活訓練)事業所である「ニューロリワーク 博多センター」に焦点を当て、サービス管理責任者 兼 マネージャーを務める小寺(こでら)さんに支援に対する想いや今後の展望などを伺いました。

アートボード 1

編集部(以下:編)
よろしくお願いいたします。これまでのキャリアについて、前職の内容や取り組み、そしてサービス管理責任者に至った経緯なども含めて可能な範囲でお伺いできればと存じます。


小寺(以下:小)
以前は、総合病院に理学療法士として勤務していました。その中で、骨折や脳梗塞、肺炎、ガン、精神科など幅広い分野を担当していました。サービス管理責任者になった経緯は、理学療法士として勤務中に、患者さんの社会復帰を医療ではなく福祉や行政の目線で支援していきたいという気持ちが芽生えたからです。病院の中だけではできることも限られていたので、社会資源の一端となるため福祉の業界に飛び込みました。


編:
小寺さんの事業所での具体的な業務や仕事の流れはどのようなものでしょうか。一日の主な動きなどをお聞かせいただければと思います。


小:
朝9時に就業が開始し、まずは申し送りや業務の確認をします。その後、スタッフと共に事業所内の清掃を行ってから10時に訓練開始となります。日中はメンタルプログラムの実施や利用者さんとの面談を行い、15時になると訓練時間が終了します。その後はスタッフ間での業務報告や、さまざまな会議を行っています。

アートボード 2

編:
現在、多くの方々に事業所を利用いただいていますが、選ばれる要因や背景にはどのようなものがあるのでしょうか?


小:
当事業所では他の福祉事業所と異なり、悩みや不安といったメンタルヘルス面とそれに伴う生活リズムに着目し、自己分析することで安定した社会参加を目指しているという点が利用者さんに選ばれる要因だと思います。また、年齢層が比較的高いために落ち着いた雰囲気で日中活動ができるという点も、多くの方々に選ばれている要因として考えられます。


編:
なるほど。一口で「福祉事業所」や「福祉施設」といっても提供するサービスや利用する方々のニーズに幅があるということですね。そうなると、実際に博多センターを利用されている方に多くみられる悩みなどの傾向もあるのでしょうか?


小:
博多センターに関していえば、休職からの復職を希望される方は復職が許可されるための実績作りをどうすればよいかという点に悩むことが多い傾向があります。こちらから提供できる支援としては、面談やプログラムを通じて悩みや不安、将来への道筋を一緒に考えていきます。また、普段の様子や悩み、考え方など利用者さんの日々の変化を企業や主治医へ意見書として報告をします。ご本人と企業、主治医との情報共有の橋渡しになることで、利用者さんが安心して復職できるよう支援が可能となります。

アートボード 3

編:
日々の支援を提供する際に、特に意識されていることなどはありますか?


小:
利用者さんの精神状態によって言葉の受け取り方が大きく異なりますので、特に言葉の使い方には注意を払っています。誤解を生むことで利用者さんや自分の精神状態が悪化してしまうため誤解されないように注意しつつ、利用者さんが自分自身で課題を見つける支援を心がけています。


編:
一人ひとりに向き合うことが基本であり、非常に重要ということですね。そういった支援を意識されてこれまでに取り組まれてきた中で、特に大変だったのはどのようなことでしょうか?


小:
「自分自身が何をやりたいか」などの方向性のイメージが何もない方に対して、どこまでご本人の意欲を引き出せるかという点が最も大変でした。押しつけにならないように提案をしますが、利用者さん本人がやりたいことやできることをイメージできるようにならないとなかなか進まないので、この点では大変でした。


編:
これは言い換えれば、利用者ご本人の主体性や意思を可能な限り優先されているということですね。そのような支援を続けていく中で、これまでに特に嬉しかった出来事や成功事例はどのようなものでしょうか?

小:
たとえば、思考のこだわりが強い方はその強いこだわりによってストレスを溜めたり、生きにくさを感じるということも多くあります。ですが日々の通所をする中で、自分自身を客観的に見て現実的な対策や行動を実践できているところをみると、その方の支援に関われてよかったなと思う瞬間もあります。

アートボード 4

編:
事業所を利用することで順調に就労・復職される方がいらっしゃる反面、就労・復職が叶わない方もいらっしゃるかもしれません。こうした方々にはそれぞれどのような違いや特徴があるのでしょうか。また、就労や復職が叶わない方々が抱える課題や問題の解決法にはどのようなものがあるのでしょうか?

小:
利用者さんご本人が自分自身を把握できているか、または病気にかかった原因や休職の原因を把握し、対策まで自分自身に落とし込めていないという場合は復職できなかったり、就活が上手くいかないことが多いように思います。解決方法としては、自分自身にちゃんと向き合えるかどうかがカギになります。このような場合は、他の方の意見を聞いて自分自身に必要なことを考えていけるかどうかをプログラムや面談を通じて認識することで、問題の解決に近づいていくと思います。


編:
ご本人の苦手とするところを、さまざまなプログラムを通じて改善・解決していくということですね。それでは、今後サービス管理責任者やマネージャーとしてさらに取り組んでいきたいことはありますか?


小:
利用者さんが安心して日中活動や意欲的に作業へ取り組めるように作業型集中トレーニングやリフレッシュプログラム、再発を繰り返さないための徹底したメンタルプログラムを拡充していきたいと考えています。また、「あの事業所に行けば就職できる」というブランドをつくっていきたいと思います。そのためにも、今後はいっそう就活プログラムの拡充も図っていきたいです。

アートボード 5

編:
今後もより良い支援・サービスを生み出していただければと思います。最後に、事業所の利用を迷われている方に向けて事業所の魅力や可能性をお伝えいただけますと幸いです。


小:
将来への不安や仕事をする体調が整っていない方は、いったん落ちついて自分を見つめ直す時間を事業所で過ごしてみませんか? 将来的に再発を防ぎ、安定して過ごしていくためには自分を整える時間が必要かもしれません。当事業所ではそんな方々の生活習慣を整えるサポートを提供いたしますので、お悩みであればぜひご相談ください。


編:
今後もさまざまなプログラムでぜひ利用者の方々の社会参加に寄与いただければと思います。

ありがとうございました!

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■Twitter:ニューロリワークニューロワークス

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