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死のワークショップ「体験的に死ぬ」@名古屋 開催レポート

万人に訪れる「死」を「体験」するとは、どういうことなのでしょうか?



本noteでは、2020年1月19日に名古屋で開催した死のワークショップ「体験的に死ぬ」の様子と参加者の声をお伝えしようと思います。

(ライター・インタビュアー:ひかる


死のワークショップ 「体験的に死ぬ」 とは?

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「死」は日常から隔離された、忌避の対象となっています。しかし一方で、「死」は万人に対して訪れるものでもあります。

死のワークショップ「体験的に死ぬ」では、ストーリー形式で自らの死を体験することで、死に対する向き合い方や本当に大切なものを探求します。


心から大切にしたいものを知りたい方、自分の人生を見つめ直したい方、身近にあった「死」に向き合いたい方、そして他の人の死生観や人生観にふれたい方...

そんな方々に「体験的に死ぬ」を届けられたらと思い、これまでに2度開催してきました。

(「体験的に死ぬ」の開催背景はこのnoteでより詳しくお伝えしています)





それでは、名古屋での「体験的に死ぬ」の様子を少しのぞいてみましょう。


ワークショップでは、はじめに人や物、考え方、思い出の場所といった「自分の大切なもの」を20枚のカードに書き出します。

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その後、ストーリーに沿って「自分の大切なもの」のカードを数枚ずつ捨てる選択を迫られます。

自分の死が近づいていく度にカードは減り、最後の1枚がなくなると「死」を迎えます。



「死」を迎える過程で何を感じ、気づいたのか?頭によぎったものは何なのか?

ワークを終えた後は自由に参加者同士で対話します。他の人の感想を聞いたり、それを通して自分を再認識したりします。

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次に、名古屋の「体験的に死ぬ」に参加された3名にイベントの感想やこれを機に考えたことをお聞きしたので、紹介したいと思います。



いま大切にしたいもの・死ぬ間際に大切にしたいもの –– 東瑞樹さん

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瑞樹さん:このイベントでの大きな気づきは、「いま大事にしてる価値観と死ぬ間際に大切にしたい価値観は違った」ということです。

(ワークで「自分の大切なもの」のカードを捨てるとき)想像以上に迷いなく捨てている自分にびっくりしたんです。大切にしたいものが少ないんじゃないかと少しがっかりしました。


ただよく考えてみると、いま大切にしたいものは「成長したい」といった、“いま自分にないものを求める気持ち・価値観”でした。

一方で、終盤まで残ったカード、つまり死ぬ間際に大切にしたいものは「家族」や「実家」など、“自分にとって当たり前なもの”が多かったです。終わりが近づくと、当たり前のことを当たり前に大事にしたいのかなと感じました。

いま大切にしたいものと死ぬ間際に大切にしたいものが違うからといって、いま大切にしたいものが嘘とは思いませんが、普段からもう少し当たり前に大事にしたいものも大切にしながら生きたいと思っています。



今に目を向ける –– つよしさん

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つよしさん:(ワーク中に)カードを捨てるとき、頭によぎったものの多くは「後悔」でした。もっとこうしておけばよかったな、あれもできていないな... など。

ワークでも感じたのですが、最近始めた日記をつけるときや、学生団体のチームメンバーに送る日報を書くときも、同じ感覚をおぼえます。

1日を振り返るとやりきれなかったことに目が向いて、ふと「いま死んだらいやだ」と感じるのです。

今までは流れるように過ぎていった、今という時間に目を向けるようになったと気づきました。


また、「死」への向き合い方も改めて考えるきっかけとなりました。

昨年祖父が亡くなったのですが、亡くなってすぐの1週間は祖父に対するたくさんの後悔が込み上がっていました。

でも、その気持ちは徐々に薄れていきました。誰かの死を糧にして生きている人もいる一方で、僕の死に対する重みはそれほどないのではないかと思いました。



死ぬときのために今を生きる –– 久保彩香さん

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彩香さん:私は小さい時から「死」に興味があって、これまでにも死生観を考えるきっかけやいろいろな人の死生観に触れるタイミングがあったんです。

死生観や生き方に関する自分の考え方が固まってきたのは1年前ぐらいでした。死ぬことは怖いことではないと思うし、今より良い状態で死ねるように、今を生きたいと思っています。

死生観や生き方に関する自分の考えを趣味のカメラで撮った写真とともに投稿したインスタグラム

なので、今回新たな気づきがあったというよりかは自分の考え方を再実感した感覚が強いですが ... 、昔読んだ『20代で人生は決まる』という本をイベント後に読み返してみました。

本では様々な人の人生が紹介されているのですが、昔はその人生を覗くような感覚で読んでいたのを、今回は「自分がその人のいる状況にいたとしたら、どんな選択をするだろうか」と自分ごと化して読んでいました。

その変化も、生き方への考えが定まり始めて起きたものなのかなと思いました。



おわりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

少しでも「体験的に死ぬ」ことに興味を持っていただけたら幸いです。



昨年東京で開催した「体験的に死ぬ」参加者のインタビュー記事もいくつかございます。興味を持たれたらこちらもぜひ読んでみてください。


- - - - - お知らせ(2020.09.26追記) - - - - -

inclueでは毎月「体験的に死ぬ」をオンラインで開催しています。

次回の日程は、10月4日(日)19:00〜21:15 です。

下記URLよりお申し込みいただけます。ご興味ありましたら、こちらからご覧ください。



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