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時計がみた時間の流れ

こんにちは!エディです。
今日は時計の歴史をさかのぼっていきたいと思っています。様々な偉人によるイノベーションや、新技術によって危機を通ってきた歴史に迫っていきます。では早速いってみましょう!

時計の進化の歴史

時計の発達は、時あるいは時刻を保存する方法の発達であり、それとともにその精度の発達であると考えることができる

山口隆二 『時計』

時計の発達はざっくり、いくつかのフェーズに分けられます。

  • 古代から1300年:太陽の動きをつかった「日時計」や、太陽が出ていなくても機能しないという欠点を解消した「水時計」

  • 1300~1675年:機械式時計の発明があり、諸説ありますが、1336年にイタリアのミラノにある宮殿礼拝堂の塔時計が最初と言われている。15世紀にドイツで「ゼンマイ」や「ひげぜんまい」が発明され、時計の心臓部分と言われる「調速機」が発明され(こちらで解説)、精度が飛躍的に向上

  • 1675年以降:機械式時計の小型化が進み、懐中時計や腕時計となり、制作技術の高まりで「複雑機構」と言われる高度な製品が生み出される。20世紀に入ると電子化の波に入り、世界の時計市場を揺るがす

時計史の遍歴

上図にある通り、これらの進化は時代の用途の変化に伴って行われました。詳しくは後述しますが、大きな特徴として「用途が変わった」というよりは、「用途が広がった」という表現が正しい気がしています。これは、世のどの技術をとっても同じことがいえるのではないでしょうか。

  • 住居:単に居住空間としての機能を果たすものから、快適さ・美しさ・省エネ・健康管理などのスマートホーム技術・ステータスといった様々な要素が加わり、多機能化

  • :馬車からの進化形として移動手段から、「移動する空間」に。安全技術の進化、エンタメ、エコ、オフィススペース化、ステータスを含む

  • 携帯:一番わかりやすい例でしょうか。音声通信のためのデバイスから、写真、インターネット、ゲーム、健康管理、決済や教育、ビジネス、様々な機能が統合


これから時計の歴史に極めて重要なイベントを2つ紹介します。
(ちなみに、腕時計の歴史はSEIKOのブログがあるのね、ぜひ読んでみてください)

大イベント①:フランスの宗教紛争

今となっては当たり前のように「スイス=時計」というほど。そもそも、このきっかけとなったのが、16世紀から数百年も続いたヨーロッパ全土の宗教改革でした。マルティン・ルターによって始まり、キリスト教の教義、実践、教会の構造に対する根本的な変革を促し、プロテスタント諸派の分離と成立を引き起こしました。その中で、カルヴァン派の信者たちはフランスなどの国々からスイスに亡命。

彼らの中には高度な宝飾技術を持つ職人も多く、特にスイスも国として新たな産業を支援し(ギルドの解散を命じて、新しい技術やアイデアの導入を促進)、これが後にスイスの時計産業の発展に大きく寄与することになりました。

フランスからの亡命の流れ(出典

大イベント②:”クォーツショック”

そんな成長を遂げたスイス時計産業ですが、大きなダメージを受けることとなります。
時計の電子化は20世紀に入ると着々と進んでいき、1969年SEIKOによるクォーツ腕時計の商品化がなされました。時刻を正確に、かつ安価で消費者に届けられるという、新しいイノベーション。

また、それと同時期にニクソンショックやオイルショックが重なり、世界を牽引していたスイス時計産業は、大大大ダメージを受け、衰退していきました。1800社のうち2/3が廃業、従事者も9万人から4万人に激減したほど。比較が難しいですが、直近の例でいうとコロナが航空業界にもたらしたショック以上の大きさでしょうか。

1970年代の3つのショック

おわりに

いかがでしたでしょうか。掘り下げればもっと大事なイベントはあるでしょうが、今回はここまでで。

時計はこれまで、精度や信頼性の向上に知恵を注いできました。近年は、地球資源や環境保護、消費者保護に重きを置いた製品作りとなり、加えて、光エネルギー発電、金属アレルギー対応、デザイン性・ファッションの多様化の対応… 現代人の要求はたくさんあります。
我々消費者は、ロマンティックな機械式時計の回帰とモダンな現実的追及、の双方を抱いている気がするのです。機能的なバージョンアップを求めつつ、どこか先人達が使っていた機械式時計への愛着もある。

今後も人々の新しい価値観は、年々スピードアップして変化していくのでしょうから、時計産業とどう進んでいくのか、楽しみですね。


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