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どうして時計は動くの?の疑問

人は食べてエネルギーを蓄えて動きます。車はガソリンを燃やして走りますが、時計はどうやって動くのでしょうか?このシンプルな疑問に対して、時計の内部メカニズムに迫り、その動きの秘密を探ります。

腕時計の種類

そもそも「腕時計」と一言でいっても色んな種類がありますよね。まずはそこからお話します。

時計の種類には大きく分けて、クォーツ式機械式の二つがあります。日常に親しみにがあるのがクォーツ式時計で、電池を利用して振動子を駆動し、正確な時間を計ります。

機械式は1970年代衰退した?(イラストはこちらより引用)

一方、機械式時計は、電池の代わりに歯車やゼンマイを用い、緻密な機械の動きで時間を刻みます。さらに、自動巻きと手巻きに細分化されます。自動巻きは、腕を振るという日常的動作で自動的にゼンマイが巻き上がる仕組み。そして、手巻きは、1日1回、手動でゼンマイを巻き上げる仕組み。昔遊んだゼンマイ式の車のおもちゃのように、手動で動力を与えるわけですね!それぞれの動きの詳細については、次の記事で書こうと思います。

機械式の”復帰”

機械式は何百年との長い歴史があり、様々な画期的な進化を遂げてきました。それは、内部の機構そのものの技術的進化だけでなく、デザインや外装の進化もありました。しかし、1970年代には、クォーツ式の電池で動く腕時計が市場に登場し、大きな混乱を引き起こしました。これまで職人技に頼っていた時計製造の世界に、安価で10倍以上の精度を誇る時計が登場したのです。この電池式の腕時計による市場の動揺は、「クォーツショック」と呼ばれ、その圧倒的な正確さとコスト面での優位性が際立っていました。

この表を見るとクォーツ式の圧勝・・・

実際には世界中の多くのブランドが生産を停止し、破産に追い込まれました。一時期、機械式時計はその存在感を薄れさせることになります。しかし、その後、人々は再び精巧な機械式時計のメカニズムに魅了され、機械式時計の復権が始まりました。時計は単なる時間計測の道具ではなく、芸術品としての価値が再認識されたのです。

通常の市場原理からすると、安くて正確なクォーツ式時計が優位。圧倒的な地位を築くはずですが、機械式時計が再び人気を博す理由があります。それは、機械式時計の持つ「ロマン」です。この人気は今も続いており、コロナ禍でもさらに盛り上がりを見せています。機械式時計のカラクリや、それを作るための職人技、モノづくりへのこだわり。その内部メカニズムを覗き込むことで、時計がどのように動いているかを理解することができます。

電池ではないバッテリー

さて、本題に戻りましょう。電池式の腕時計が動くのは、電池が供給しているエネルギーだから、というのはイメージしやすいと思います(正確にいうと、水晶に電圧をかけると安定した振動が生まれ、ステップモーターが動力源となり、結果として針が動く)。

でも機械式はどうでしょうか?電池というエネルギーの貯蔵手段がないにも関わらず、どうして動くのか?を見ていきましょう。
実は、機械式時計には独自の「バッテリー」が存在します。これは「ゼンマイ」と呼ばれる巻きバネで、時計の動力源として機能します。ゼンマイ式の車のおもちゃの場合、ゼンマイを巻き上げるとそのままスルスルッとほどけて、車が前進します。そのスピードも巻き上げる度合いで違いますよね。時計の場合は、その巻き上げを「貯蔵」する仕組み、そして一秒一秒正確に針を動かすためにそのスピードを「調速」する仕組み、があります。このメカニズムこそが時計を動かし続ける源であり、機械式時計がヒトを魅了し続ける源です。

機械式時計のカラクリは次の記事にて解説したい

腕時計のすごさ

そして腕時計のすごさは、こんなに微細な機械でありながら、日々我々の生活のお供をしてくれている間に、衝撃や磁気、水気、そして重力などの精密機械にとって大敵にさらされます。しかし、時計製造メーカーはこれらの問題に対処するため試行錯誤を重ね、業界を挙げて、時計の安定性を向上させました。

これらの機能が組み合わさることで、単に装飾品や時刻表示の「道具」という枠を超え、時計は精密機械としての本質を示しています。内部の複雑な仕組みと外部の耐久性を併せ持つことで、時計は単に時間を刻むだけでなく、人々の生活に深く関わる美しいアクセサリーとなっているのです。

おわりに

本日は、機械式時計とクォーツ式時計の基本的な動きと魅力についてお話ししました。時計はただ時間を知らせるだけでなく、その背後には技術と歴史、そして人間のドラマが隠されています。これからも、これらの面白いカラクリと魅力を皆さんにお届けしていきたいと思います。次回もお楽しみに!


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