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藍の力

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タデアイが持っている様々な力についての投稿をまとめます。
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藍染にタデアイの茎が役にたつ

 タデアイの中でインジカン(藍色に発色する前の成分)を含んでいない部位として、蒅(すくも)作りでは基本的に除去される茎。  けれどもしかして、意外と役に立ってきたのかもしれないと考えられる記述や体感があるので、まとめてみようと思います。  藍染めの下準備にお役に立つことがあるかもしれません。 アミノ酸(タンパク質)を豊富に含む茎 タデアイの全草にアミノ酸(タンパク質)が豊富に含まれています。これはインジカンを含む葉にも含まない茎にも同様です。ちなみに、葉と茎のインジカン含有

生薬としての藍顔料:青黛(セイタイ)

 藍分を含む植物からその色を抽出して精製した顔料は、それそのものが生薬として役立てられていました。今回は青黛(セイタイ)と呼ばれた藍顔料の働きかけについてのご紹介です。  東洋医学と西洋医学の垣根を超えて注目を集めつつある素材ですので、是非ご覧ください。  ちなみにタイトル画像は私たちの畑のタデアイの葉と、その葉から抽出した自家製の青黛とそれを配合して作っていた石けんです。 1、藍の顔料である青黛の概要  絵の具として用いるけれど、薬として用いても良い。って面白いです。

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生薬としてのタデアイの葉

 染料として知られている藍ですが、中国では生薬としてよく知られているようです。タデアイの葉は、生薬としては藍葉(ランヨウ)と呼ばれています。  今回は、タデアイの生薬としての側面にスポットを当ててご案内したいと思います。 1、フグの毒をも解毒した藍葉(ランヨウ) 明治時代、藍の染料「すくも」を作り、自分で販売していたある藍師の話です。  長州の顧客にすくもを納品した帰り道、フグ料理を振る舞う料亭に立ち寄り、懐に入れておいた小さな木綿の袋を差し出して、立派なフグ料理のフルコー

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藍染めに殺菌効果はあるの?

1、藍染めに殺菌効果があるとしたら…   藍染めについて紹介されている文章に触れると、「藍染めの生地には殺菌効果がある」と記されているのを目にすることがあります。藍染めに携わるようになるまではほとんど疑問に思うこともなく「それは機能的だなぁ」という程度にしかとらえていませんでした。  実際に藍染めに携わるようになって、その説に疑問を抱くようになりました。藍染めを行う甕は発酵していて、発酵に必要な菌が元気に活動しているはずなのです…殺菌効果があったら、彼らが元気に暮らすことが

和漢三才図会と藍のこと

1、和漢三才図会の序文に藍の事が書かれている? 数年前、お客様からお問い合わせをいただきました。 「和漢三才図会(わかんさんさいずえ)の序文にタデアイの記述がある、と、ある藍染め業者から聞いたことがありますが、探しても見当たりません。どういうことですか?」  …どういうことなのでしょう…私もその藍染め業者さんにお伺いしたいものですが、それはひとまず横に置いておいて、本来お客様がお探しの資料にたどり着けるよう、私なりに探して分かったことをここで共有したいと思います。  和漢三

青は藍より出でるが、なかなか難し

 青は藍より出でて 藍より青し。  有名な諺ですが、藍自身は実は簡単に青くならないように、涙ぐましい努力をしているというお話しです。 1、身を守るために備えた抗酸化成分 藍染めの原料素材のタデアイ。青く染まるから染料に加工されるわけですが、当たり前に青くなると思ったら大間違いなのです。  藍色に染まって見えるあの色の素の成分は、始めは無色透明です。だから、タデアイの葉は青くなく、普通の緑色をしています。  画像は我が家の畑のタデアイです。無色透明の「インジカン」という成分