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パパになれない君へ

叶えてあげたい夢は無限大。君はきっとやってのけちゃうだろうね、愛してやまないあの子の為に。

だから、自分を押し殺してでもあの子の理想の彼氏でいてあげたいし、結婚したら一生懸命働く夫でいたいし、子供ができたらスーパー育児パパでいてあげたかったよね。いつでも、王子様の様に。何故か小さい頃からそういう定めになっていて、やっぱり課題を与えられたらしっかりやり切りたいし、愛してる人の為なら頑張っちゃうじゃん。

スーパー育児パパを提案する君は育児に関する資格を取ったり、インタビューに答えたり、生き生きしてた。育児って女の人に丸投げされててさ、女性の気持ちが痛い程分かる君はいても立ってもいられなかっただろうね。お手本になりたかったよね、きっと。

そんなパパを強調して辛いのは子育ての辛さじゃないよね。育児パパ代表も責任重大だけどさ、そうじゃないよね。パパじゃない時間が欲しい。素敵なあの子にはいくらでも代わりがいるなんて思って、心が曇ると前も見えなくなってボロボロでももう一踏ん張りできる錯覚に陥る。

女の子の愛は無理を叶えてしまったりする。いつも自分は後回し。

日々可愛くなっていく君とスーパー育児パパを同時進行させている君を辛くて見ていられなかった。自分の事の様に分かる気がする女心ってさ、進化でもしたのかってくらいすごい男だからじゃなくてただシンプルに自分の事だからじゃん。もういいよ。女の子なんだから、スーパー育児パパなんてならなくて良いよ。それは男性に任せておいて。

パパになれない君はママで良い。

ジェンダーレスとかジェンダーなんて関係ないって言うけれど、君に関しては違うよね。

置き去りにして欲しくなかった、本当の自分。

やっと気づいてくれた時嬉しかった。

ママとママなら、レズビアン婦妻かな。それとも、もう一人のママは男の人が好きなのかな、分からないね。もう一人のママも自分のペースがあるからね、たっぷり時間が必要かもね。時には少し離れないといけないかもしれない。でもきっと君のことは変わらず愛してるって気づいてくれるよ。だって、女性でも女性を好きになったら誰のせいでもないし、二人はただの好きじゃなくて愛し合ってる。

思春期のやり直し。ちょっぴりおっかないかな。でも楽しみだね。本物の女性になる為の旅に出ると思った?そうじゃない。これからは置き去りにした自分を癒してあげるんだよ。だって、女の子は生まれた時から女の子だから。一部思春期を迎える大人の君は同時にママもしないといけない。そんな君は偉い。君の奥さんも偉いね。その辺の男が基本的な育児をこなすのは偉いより漸くできる様になった程度。それよりずっと偉いし、比じゃない。社会はそうやって女性を抑圧して、君が何かの間違いかの様な気分にさせたり、君が君でいる事がまるで悪い事かの様に扱ってきた。

想像して。二人のママや二人のパパがいる社会。ノンバイナリーのマパがいても良い。制服も好きなの着てね。もっと、もっとある。

そんな社会にいつかなって欲しいと言いつつ、いつもの会話をその場だけに留めて、いつか聞いて欲しいと作品を作っていたよ。

でも君がいなくなって、黙々と大事な作品を温めている間、命を落としてしまう人がいる事に気づかされた。その丁寧さだと思っていた静けさだって沈黙となって暴力に変わる事もあるのだと。


最後まで読んで頂きありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。