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時空を超えた友

内村鑑三は、海外を旅することで
得られる有益な成果について、
次のように述べている。

「異国での生活ほど、自己を見つめるのに、適した環境はない。逆説的に聞こえるかもしれないが、自分のことをもっと知りたければ、世界に飛び出すことである。他の民族、他の国々に接する場所ほど、自分のことが明らかになる場所はない。内省がはじまるのは、目の前に別の世界が現れる時で
ある。」と。

そして、いくつかの事柄が相まって、このような結果がもたらされるのだという。

「第一に、異国に滞在する者にとって孤独は避けられないということである。そのような環境では、孤独は、
ひじょうに快いものとなる。
独白と内省が日々の大きな楽しみとなり、客観的自己と主観的自己がたえず、語りあっている。

第二に、人は、自分の国の外に踏み出したら、一人の個人以上のものになる。国家と民族を背負っているのだ。言葉や行動は、単にその人個人のものではなく、民族や国家のものとしても評価される。だから、ある意味で、異国に滞在する者は、みんな国の全権大使なのだ。彼らは国と国民を代表している。世界は、彼らを介して、その国を理解する。責任の重さを感じることほど、人を堅実にさせるものは、ないと、ぼくらは知っている。

第三に、ぼくらはみなホームシックが、どういうものかを知っている。
それは、性分にあわない環境に対する自然の反動である。人々は、商売をして、儲かったり、損したりしている。けれども、故郷を離れたものは、一年を通して、ずっと同じことをしている。自己と対話し、神と対話し、魂と対話しているのだ。

内村鑑三~「ぼくはいかにしてキリスト教徒になったのか」より

我が意を得るとは、まさしく、
このことである。

長年抱えてきた孤独な気持ちが、
ふと癒された気がしたのである。

なぜならば、内村鑑三の言葉の中に、あの頃の自分の気持ちを確かめることができたからである。

時空を超えた友とのつながりは、
何とも言えない至福の喜びである。

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