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放射線治療が始まりました

私の乳がんがどういうタイプであるかは最初の記事でお伝えしました。腫瘍が 5mm と小さく、画像で見るかぎりリンパ節への転移もなかったので、乳房全摘ではなく、腫瘍のみを切除する腫瘍摘出手術(いわゆる温存手術)を行いました。

手術では、腫瘍の周囲のバファーを含めて少し大きめに切り取り、切除した腫瘍は再度生検を行います。その結果、切断面にがん細胞が見つかると、切除範囲が十分でなかったことになり、再度手術をすることもあるのですが、私の場合、幸いにそれはありませんでした。ただし、がん細胞はきちんと一列になって連続して広がっていくとは限らず、飛び石のように、切除した場所から離れたところにがん細胞が残っている可能性はゼロではありません。そのため、温存手術をした人はその後に放射線治療をするのが標準の治療法となっています。また統計によれば、放射線治療によって再発率を下げることができます。つまり私の場合、放射線治療は再発を防ぐための「予防治療」ということです。

手術した病院には放射線治療の設備がないため、同じく家から 15分のところにある別の病院での治療です。初日、まずは担当の放射線科医から治療の内容と手順について説明がありました。

25回のセッションで合計 50グレイの放射線をあてる、というのが標準的プロトコルであることは執刀医から聞いていましたが、放射線科医の説明によると、コロナの流行中に、通院回数をできるだけ減らすことを目的として、16回の「寡分割照射」を行い、合計 42.56グレイを照射するという新たなプロトコルが開発され、関係学会からもそちらを推薦するようにという通達があったとのこと。医療保険によっては支払の対象となる放射線のグレイ数がいくつ以上と決まっている場合があるので、それも考慮のうえ選んでください、と言われ、結論として私は 16回のリニアック治療セッションを受けることにしました。

リニアック装置

最初のセッションの前日に、照射範囲を決めるための CT を撮り、胸に何やらマジックで印の線を引かれます。そして、医師が女性であるせいもあるのかもしれませんが、期間中どんな下着をつけるのがよいかについて懇切丁寧な説明がありました。放射線治療の副作用で多いのは、いわば軽い日焼けをしたような状態になる皮膚炎で、大多数の人が経験するそうです。最も避けるべきは汗をかいてそのままにすることと、照射部分の皮膚が布などで擦れること。というわけで、(1) 自然素材の、あまり大きく襟ぐりが開いていない半袖のTシャツを、縫い目がちくちくしないように裏返して着る (2) その上からカップ入りのタンクトップなどを着て、Tシャツが動いて皮膚を擦らないようにする (3) 汗をかいたらすぐに着替える——ということを厳重に言われました。

今日で2回のセッションが終わりましたが、1回のセッション自体はものの 15分もあれば終わります。毎回正確に同じ位置に横たわらなければならないのと、施術中はじっと動かないということさえ守れば、痛くも痒くもないので「治療している」という実感はありません。皮膚もまだなんともありません。

「汗をかかない方がいい」を口実に運動不足にならないよう、16回のセッションを元気に乗り切りたいと思います。





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