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読本レポート Magazine

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大学生のレポート感覚で、月4本を目標に投稿してます。 このnoteを通じて、物事には様々な見方があることを僕自身を含め、皆さんと共有できたらいいなぁと思ってます。 共同運営者募… もっと読む
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記事一覧

さくっとヒッピーについてまとめてみた。

ヒッピーとは何者なのか。 ヒッピーは1960年代半ば、アメリカのサンフランシスコを中心に当時のアメリカの体制に反する文化、’’カウンターカルチャー’’として登場した。(※厳密にいえば、1950年代にヒッピーの前史となる ’’ビート・ジェネレーション’’の存在があるが、ここでは割愛) 1960年代のアメリカはまさに、激動と変化の時代であった。ケネディの暗殺事件やベトナム戦争、黒人たちによる公民権運動など、アメリカ社会全体が混乱と矛盾を抱えるようになり、これに伴い、体制に対し

序章:ヒッピーが残した文化。

「はい、チーズ。」パシッ。 写真を撮るとき、私たちはこの掛け声を聞くと、無意識的にピースサインをしていないだろうか。 LOVE&PEACE。ピースサインは愛と平和を象徴するポーズとして定番だ。しかし、ピースサインがはじめて用いられたときは、ベトナム戦争下であり、ピースサインはVICTORY、「勝利宣言」という意味で、戦争用語として用いられていた。このピースサインが有名になったのは、戦前時のイギリス首相チャーチルがテレビに向かって2本の指を突き指したことから大衆に広まったと

『DEATH NOTE』から考える善悪。(2/2)

夜神月(ライト)の純粋な悪とは何なのか。このことについて述べるために、カントの全の定義である定言命法を取り上げたい。 カントの定言命法とは、簡単に述べると、絶対的条件の順守である。例えば、「人を殺してはいけない」ということを定言命法とした場合、いかなる条件であっても人を殺すことは悪になる。ただ、カントはこの定言命法を具体的に何であるかは定義をしていない。カントの定言命法の有名な例として「嘘をついてはいけない」がある。カントは「絶対に嘘をつかず、お互いに正直に、社会を営むべき

『DEATH NOTE』から考える善悪。(1/2)

過去に2回の記事「あさま山荘事件」、「東京地下鉄サリン事件」を通して、善悪の変容について述べてきた。今回、最後に『DEATH NOTE』を取り上げ、善悪の区別の難しさについて具体性をまとめ、総括していく。なお、引き続きではあるが、今回も大澤真幸『サブカルの想像力は資本主義を超えるか』を参考に論じていく。 『DEATH NOTE』と言えば、ご存知の方が多いと思われるが、主人公である夜神月(ライト)がある日、奇妙な黒いノートを拾う。それは死神のリュークが落としたデスノートであり

東京地下鉄サリン事件の哲学的意味。

前回に引き続き、大澤真幸の『サブカルの想像力は資本主義を超えるのか』を参考に、東京地下鉄サリン事件の哲学的意味について述べていく。 東京地下鉄サリン事件とは、教祖が麻原彰晃のオウム真理教という宗教団体が、1995年3月20日の朝、霞ヶ関を中心とした地下鉄にサリンという毒ガスをばらまき、何千人もの人が被害を受けた無差別テロである。 オウム真理教は、当時、1万人以上の信者がいたといわれており、彼らは形式的には仏教の形をとっていた。そしてその中から出家した者たちが山梨県の富士山

あさま山荘事件の哲学的意味。

人は何か物事を行う際、その行為には善悪の基準が付随する。善行を働けば良い結果、悪行を働けば悪い結果が生まれるのが我々の共通認識である。しかし同時に私たちは、全ての行いが上記の論理で成り立たないことも認識している。今回は大澤真幸の『サブカルの想像力は資本主義を超えるのか』を参考に、善悪の転化について、「あさま山荘事件」と「東京地下鉄サリン事件」先に取り上げ、最後に「DEATH NOTE」を取り上げる。 あさま山荘事件。この事件は、1972年、長野県の軽井沢にある浅間で、当時、

値踏みをするのは男か女か。

売買春。読者の方々は風俗を経験したことはあるだろうか。風俗と言うと、ほとんどの人がイメージとして、男性がお金を払い、女性が身を売るという一連の流れを想像すると思われる。その時、男性の中にはこの買春行為を通じて、女性に価値を与えていると、ある種の誇りを感じている人もいるのではないだろうか。これは勘違いも甚だしいところである。男性社会において、物事を見つめる際、無意識的に男性視線で語られることがほとんどである。買春という行為も男性目線であり、裏返しの売春、つまり女性目線で語られる

フェミニズムとは。

フェミニズムとは簡潔に述べると、男性優位社会において、女性の政治的、法的、経済的などといった社会的地位を回復、取り戻そうとする思想・運動のことである。 フェミニズムの発端は、1789年のフランス革命に始まる。フランス革命は、特権階級のみならず、「市民」に主権を与えるという意味で画期的な革命だった。しかし、フランス人権宣言で記された「市民」には、女性を含まれなかった。フランス革命ではバスティーユの襲撃、ヴェルサイユの行進など、民族蜂起の場面では女性が活躍したのにかかわらず、女