まず初めにnoteをご覧いただきありがとうございます。

これを読んでいるあなたは何かしらスポーツに関わりがあることだと思います。

"スポーツチームの価値"

そう聞いてどのようなことを思い浮かべましたか？

1番強いチームでしょうか？
ファンが1番多いチームでしょうか？

あなたにとっての答えをイメージして読んでいただければ幸いです。

スポーツチームの総合的な価値

まず初めに私の意見から。

スポーツチームの価値は、
「より多くの人たちと、密接に関わりながら感動と豊かさを与え、実力があり革新を続けること」
だと考えます。

これだけだと意味わからないと思うので、５つの要素に分解しましょう。
１、社会的価値
２、感情的価値
３、経済的価値
４、実力的価値
５、イノベーション的価値

それをレーダー チャートにすると↓のようなイメージ。

とにかく強くないといけない。金が稼げなければ意味がない。という極端な意見もありますが、多面的に考えることが必要です。既にプロスポーツに関わりのある方なら「そんなことわかっている」と言うでしょう。しかしそれを言語化して表現できる人は非常に少ない。そんな曖昧で、本質的な話を掘り下げていきたいと思います。

社会的価値とは

私はスポーツチームはある種公的な存在であると考えます。もちろん最終的に利益を受け取るのは株主やスポンサーであるのは前提になります。
社会的価値は、地域社会や社会全体に対してもたらすポジティブな影響のことを指します。これは、経済的利益を超えた価値であり、文化的、教育的、環境的な貢献や、社会的結束力の強化など、幅広い範囲にわたります。スポーツチームが社会的価値を創出する際には、地域社会のハブとしての役割を果たすことが一つの鍵になります。

• コミュニティの結束：スポーツチームは、共通の関心事を持つ人々を集めることで、結束を促進します。ローカルスポーツでもファンや地域住民が一体となってチームを応援することで、地域社会に帰属意識や誇りを育むことができます。

• 地域イベントの中心：試合や関連イベントは、地域社会に活力をもたらす重要なイベントとなり得ます。これらのイベントを通じて、地域の文化や伝統を祝い、地域経済の活性化にも寄与します。

• 社会問題への取り組み：多くのスポーツチームは、教育プログラム、健康促進活動、環境保護キャンペーンなど、さまざまな社会問題に積極的に取り組むことで、地域社会の改善に貢献します。

• 多様性と包摂：スポーツチームとその活動は、異なる背景を持つ人々を一つにまとめるユニークな力を持っています。チームやイベントは、年齢、性別、民族、社会的地位などに関係なく、すべての人々に開かれているべきであり、そのように機能することで社会的包摂を促進します。

• 教育プログラム：若者向けの教育プログラムやスポーツクリニックを提供することで、健康、チームワーク、公平な競争の価値を伝えることができます。

• 社会意識の高揚：チームが社会的なイシューやキャンペーンに声を上げることで、特定の問題に対する認識を高め、公共の利益に貢献することができます。

スポーツチームが社会のハブとして機能することで、これらの社会的価値はさらに強化されます。チームが地域社会の中心となり、人々を引き寄せ、結びつけることで、経済的な利益を超えた、測り知れない価値を社会にもたらすことができるのです。

感情的価値とは

感情的価値は、個人や集団が関わりを通じて経験する、ポジティブな感情や満足感を指します。この価値は、単なる物質的な利益や機能的な利点を超え、深い精神的な充足感や所属感、誇り、愛着、そして幸福感に関連しています。スポーツチームにおける感情的価値は、ファンやコミュニティメンバーがチームに対して持つ強い絆や忠誠心、そしてチームとの個人的なつながりによって形成されます。
スポーツの根源は娯楽でありエンターテインメントです。いくら数字を追い求めても、これは切っても切り離せないものになります。
また非常に大きな観点になりますが、感情的価値については、個人差が非常に大きなものになります。ここでは社会的な側面で話をしますので、ある個人に特定した話とは棲み分けて読んでください。

• コミュニティへの所属：ファンはコミュニティやグループの一員であると感じます。この所属感は、個人の社会的アイデンティティの重要な部分となり得ます。ファンクラブなどがここに当たります。

• 個人的なアイデンティティ：好きなスポーツチームは自己表現の手段であり、個人の価値観や情熱を反映しています。

• 感動の共有：勝利の喜び、敗北の悲しみ、試合中の緊張感など、スポーツイベントは強烈な感情体験を提供し、これらの共有される体験はファン同士の絆を強化します。

• 選手やチームへの愛着：特定の選手やチーム全体への愛着は、ファンの情熱を燃え上がらせる要因です。選手の人生やキャリアに対する共感や尊敬は、感情的なつながりを深めます。

• 伝統への共感：スポーツチームの歴史や伝統、象徴的な瞬間は、世代を超えてファンに受け継がれ、強い感情的な価値を持ちます。

• 家系のつながり：多くのファンにとって、チームへの応援は家族からの伝統であり、親から子へと愛が受け継がれる重要な部分です。

感情的価値は、スポーツチームがファンの生活に深く根ざす理由を説明し、なぜスポーツが単なるゲーム以上の意味を持つのかを示しています。これらの深い感情的なつながりは、スポーツチームやイベントが個人の生活に与える影響の大きさと、スポーツが社会に果たす役割の重要性を反映しています。

経済的価値とは

経済的価値は、直接的または間接的に生み出す経済的な影響のことを指します。スポーツチームに関連する経済的価値には、チームが直接的に生み出す収益（チケット販売、グッズ販売、スポンサーシップ、放送権料など）や、チーム活動がもたらす地域経済への影響（観光収入の増加、雇用機会の創出、地域のビジネスへの波及効果など）が含まれます。
「スポーツは金儲けの道具ではない」との意見もありますが、日本は資本主義です。スポーツ選手やスタッフへの給与、備品、試合運営などは無料ではできません。永続的に価値を生み出すのであれば、経済的価値は切り離せないものであるべきです。

• チケット販売：試合やイベントのチケット販売は、スポーツチームにとって最も基本的な収益源です。

• グッズ販売：公式グッズや記念品の販売は、チームのブランドを通じて追加収益を生み出します。

• スポンサー/パートナーシップ：企業とのスポンサーシップ契約やパートナーシップは、金銭的支援やサービスの提供を受けることでチームの財務基盤を強化します。

• 放送権料：テレビやオンラインでの試合中継権を販売することで得られる収入は、特に大きなリーグや人気チームにとって重要な収益源となります。

• 地域経済への貢献：大規模なスポーツイベントは、ホテル、レストラン、交通機関など地域のビジネスに顧客をもたらし、地域経済の活性化に寄与します。

• 雇用機会の創出：スポーツイベントの開催やチーム運営には多くの人手が必要であり、これにより地域の雇用機会が生まれます。

• 観光の促進：スポーツチームやイベントは、地域への観光客を引き寄せる重要な要因となることがあります。特に国際的な大会や試合は、遠方からの訪問者を増やし、観光収入を促進します。

スポーツチームが生み出す経済的価値は、チーム自体の財政健全性はもちろんのこと、地域社会や経済全体にとっても大きな意味を持ちます。これらの活動は、経済成長や地域コミュニティの発展に貢献し、スポーツが社会にもたらす多面的な価値の一面を示しています。

実力的価値とは

実力的価値は、競技の側面でのパフォーマンス、技術力、戦略的能力、および成績に基づいた価値を指します。これは、チームや選手が持つ技術的および戦略的な能力により、競技会や試合においてどの程度成功を収めることができるか、という点に焦点を当てた評価です。実力的価値は、直接的な勝利数、獲得したタイトルやトロフィー、リーグやトーナメントでの順位など、具体的な成績によって測られます。
もちろん競技のレベルが高ければ高いほど関心が集まるのは事実です。少年サッカーとワールドカップでは社会への影響力が違うのは当然です。

• 選手の能力：個々の選手の技術、体力、メンタルの強さがチームの実力的価値を高めます。

• チームワーク：選手間の連携やチームとしての組織力も、成績を左右する重要な要素です。

• ゲームプラン：試合における戦術や戦略の立案能力が、チームの成功を支えます。

• コーチングスタッフ：優れた指導力を持つコーチやトレーナーは、選手のパフォーマンス向上に貢献し、チームの実力的価値を高めます。

• 勝利と敗北：直接的な勝利数がチームの実力を示す基本的な指標です。

• 獲得タイトルと記録：リーグ優勝、カップ戦の勝利、記録の更新など、具体的な実績がチームの評価を高めます。

• 持続可能なパフォーマンス：一時的な成功ではなく、長期にわたる安定した成績もチームの実力的価値を形成します。

実力的価値は、スポーツチームや選手が競技においてどの程度優れているか、または成功しているかを示す客観的な尺度であり、ファンやスポンサー、メディアからの評価、チームのブランド価値や市場価値にも大きな影響を与えます。高い実力的価値を持つチームや選手は、多くの場合、高い社会的価値や経済的価値も併せ持ち、スポーツ界全体の魅力や競争力を高める重要な要素となります。

イノベーション的価値とは

イノベーション的価値は、新しいアイデア、技術、手法、またはアプローチを通じて創出される価値を指します。スポーツチームにおけるイノベーション的価値は、競技のパフォーマンス向上、ファンエンゲージメントの強化、運営効率の改善、新しい収益源の開拓、更には革新的な技術の活用など、多方面にわたります。この価値は、従来の枠を超えた思考や創造的な解決策によって、チームや組織が直面する課題を克服し、競争優位性を確保する能力に基づいています。

• パフォーマンスのデータ分析：試合やトレーニングのデータを分析することで、選手のパフォーマンスを具体的に理解し、向上させる戦略を立てることができます。

• ウェアラブル技術とバイオメカニクス：選手の体の動きや健康状態をリアルタイムで追跡し、最適なトレーニング方法や怪我の予防策を開発します。

• デジタルメディアと仮想現実：デジタルプラットフォームやVR技術を活用して、ファンに新しい観戦体験やインタラクティブなコンテンツを提供します。

• ソーシャルメディア戦略：ソーシャルメディアを通じてファンと直接コミュニケーションを取り、コミュニティを構築し、エンゲージメントを深めます。

• スマートスタジアム：IoT技術を活用して、スタジアムの運営効率を高め、ファンの体験を向上させます。

• SDGsへの取り組み：エコフレンドリーな運営方法を採用することで、環境への影響を減らしつつ、社会的責任を果たします。

• 新しいマーケティングとスポンサーシップの形態：デジタル技術やデータ分析を駆使したマーケティング戦略で、新たなスポンサーシップの機会を創出します。

• 新商品・サービスの開発：ファンのニーズを満たす新しい商品やサービスを開発し、収益源を多様化します。

イノベーション的価値は、スポーツチームが持続可能な成長を遂げるための鍵であり、変化する市場やファンのニーズに柔軟に対応し、新しい機会を創出することを可能にします。
昔は流行っていたけど衰退したスポーツに欠けている部分はここだと考えています。実力的価値や感情的価値ばかりを追い求めていれば衰退してしまうのは、過去から学ぶべきです。常に新たな風を入れるということは価値の創造につながります。

価値の尺度

上記５つの要素を高めることは、どのような尺度で測れるでしょうか？
こちらも結論からお話ししましょう。
ここでは「観戦にかかるコスト」と「観戦する人数」だと考えます。
観戦にかかるコストとは、いわゆるチケット価格が主になりますが、交通費や宿泊費、グッズ代や飲食など観戦体験にかかる費用ももちろん、時間的コストも考えられます。ターゲットは誰かによって、そのコストも違ってきます。それでも観戦したいと思わせる価値をファンに与えることができるチームは「観戦する人数」を増やすことができます。
観戦する人数とは、主には集客人数になりますが、近年ではテレビ観戦やLIVE配信など箱が大きくなっているので総じた表記にしています。

観戦する人数が増えれば、
感動する人が増える→ロイヤリティが高まる→会場に来る→グッズや飲食にお金を使う→地域が活性化する→スポンサーが増える→新たな選手獲得につながる→観戦者が増える→財源が潤う→新たなサービスに投資する→観戦者が増える
上記のような正の無限ループに入ります。

しかしながらどこかが欠如すれば、ループがストップし負のループに入ります。
例えば会場のトイレが汚いだけで負のループに入ることだってあるのです。

スポーツチームは自らの価値を高める為にも、その対価以上の価値を提供し続けることが重要です。

最後に

スポーツチームには５つの価値を多面的に捉え、価値を提供することが重要だとお伝えしました。
もちろんローカルスポーツやキッズクラブに価値がないとは思いません。感情的価値でお伝えしたとおり、ある特定の人にとってはプロチームなんかよりも価値があるからです。
かなり構造的な話でしたが、その根本にミッションビジョンバリューがあるのは当然の話です。いつ誰にどんな価値をどのように届けるかによって、そのチームにとっての価値基準は変わってきます。
デジタル技術の発展で、フィジカルはさらに大きな価値を生むと私は信じており、広報という立場、技術でその価値を押し上げていきたいと考えています。
より多くの方にスポーツで感動を届けたい、そんな想いでこれからも活動していきます。

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