駆け出し百人一首(7) 君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも(狭野茅上娘子)

君(きみ)が行(ゆ)く道(みち)の長手(ながて)を繰(く)り畳(たた)ね焼(や)き滅(ほろ)ぼさむ 天(あめ)の火(ひ)もがも

万葉集 15巻 3724番

訳:流罪になったあなたが行く、長い長い旅路を手繰り寄せて折り畳んで焼き尽くしてしまうような天の火があったらなぁ。

You have to go away. I wish the supernal fire burned out your way. Don't leave! Be with me!


後宮で働く下級女官だったらしい狭野茅上娘子(さののちがみのおとめ)。中臣宅守と愛し合うものの、何かしらの理由で、夫は越前国に配流されてしまう。そのことを嘆き悲しむ歌、配流先の宅守とのやり取りなどが万葉集におさめられています。
理不尽な夫の流罪に憤り、深く悲しむ気持ちが「天の火で焼き滅ぼしてしまいたい」というかなり強い表現で表されているのが印象的です。


文法事項

もがも:願望の終助詞。名詞の後、また、形容詞や断定の助動詞の連用形につく。後代は「もがな」と書く方が多い。〜があったらなぁ。


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