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デコボコの地平線

せっかくなので住居と自分の成り立ちについてもう少し考えてみる。人生の大半を過ごす場所なのだから人格に影響しないはずがない。住むところが違っていたらたぶん今の自分はなかっただろう。

現時点だと最も長く住んでいたのは実家ということになる。期間を抜きに考えても幼少期を過ごした場所であり、まさに礎となっていると思う。ご近所の人間関係からも当然影響は受けたが、今回はあくまで住居にのみ注目したい。

うちの実家の最大の特徴はその立地にあった。まあまあ高い位置にあるのだ。山というほど高くはないが、丘というには急すぎる斜面を登らなければならなかった。

これが僕の出不精を確固たるものにしている。外出したら帰りは必ずこの坂を登る羽目になる。しんどい。じゃあ、なるべく家で遊ぼうとなるのは自然なことだ。

家から少し歩いた場所にひらけた駐車場があって東京までの景色を一望できた。ビル群のシルエットで凸凹しているので決して平らではなかったが、ほぼ地平線ということにしておこう。

よく学校帰りに立ち寄ってその景色をぼんやりと眺めていた。それの何が楽しかったのかはまったく覚えていないが、たくさんの顔も名前も知らない人たちの存在を当時から感じていたのかもしれない。