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ハートブリード

10年ほど前に発見されたネットワーク周りの脆弱性のこと。とっくに対策が講じられていてサーバー管理者がサボっていなければ穴は塞がれている。脆弱性なんて最初から無い方がいいのだが、警告の意味が込められたこの名称を僕は気に入っている。

常時稼働していなければならないサーバーにも故障やトラブルは起こりうる。その際、すぐに気付いて対処できるように別のサーバーから生存確認が行われる。「生きてるかーい?」という呼びかけに「生きてるよー」と返ってくればサーバーは健在だ。これを定期的に延々と繰り返す。

機能と振る舞いが心臓の鼓動に似ていることから、この仕組みはハートビート(heart beat)と呼ばれる。機械の動きを人間の活動になぞらえているところがエモい。

脆弱性を利用すると「生きてるよー」の後に近況を喋らせることができた。大抵はまったく役に立たない断片的な情報だが、その中に誰かが入力したパスワードが含まれる可能性がある。このリスクが生きている間はずっと続く。

ハートブリード(heart bleed)は直訳すると心臓の出血だ。まさに心拍のたびに流血が伴う危険な状況であることを表している。鼓動を止めれば出血も止まるが、生存確認はできなくなる。

問題点をこれほど的確に表現する言葉は他にないと思う。