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栴檀双葉

大器晩成の対義語をググったら、まるで聞いたことのない単語が出てきて笑っている。「せんだんのふたば」と読み、ある種の香木が双葉の頃から良い香りを放つ様子を、若くして才能を発揮する人に例えているらしい。

でも欲しかったワードとはちょっと違う。たぶんこれは生まれ持った才能の話だ。天から与えられる能力に僕はあまり興味がない。そういう先天的な資質よりも後天的に獲得し得る才覚にこそ思考を巡らす価値がある。

四字熟語にこだわらなければ「早熟」が一番イメージに近い。スタート地点は同じなのに他と比べて早期に一定水準まで成長する。神童、期待の新人、即戦力など、これをもてはやす言葉は多い。

早く結果を出せる人材が求められている。それはまあ当然なのだが、だからといって求められる人材を目指すのはよく考えたほうがいい。褒められたい気持ちが呪いであるように、役に立ちたい願望もまた呪いだからだ。

求められる形があって、そこに自分を寄せていく。他人の設置したゴールに向かって脇目も振らずに走り出す。最短距離を選ぶのだからそれなりに早く辿り着けるだろう。一定の成功を収めて誰もが幸せな結果に見える。

ただ、センダンの双葉が割り箸になっていないことを切に願う。